女「AV撮影ですか……分かりました、やります」監督「じゃあこの斧持って」女「え?」
- 2019年11月24日 21:10
- SS、神話・民話・不思議な話
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監督「これから君が主演のAVを撮影させてもらう」
女「AV……!」
女(大女優を目指して今までやってきたけど、もらえる役はいつも端役ばかり)
女(この業界で生き残るにはこれしかないんだとしたら……)
女「分かりました、やります」
監督「じゃあ、この斧持って」
女「え?」
監督「なぜって、AV(アックスビデオ)を撮影するからさ」
女「アックスビデオ……!?」
監督「さあ、早く持って!」
女(重っ! これ本物じゃない!)ガシッ
女「持ちましたけど……」
監督「振り回して!」
女「え? 何を?」
監督「斧を!」
女「は、はいっ!」ブンッ
監督「もっと!」
女「こうですか!?」ブンブンッ
監督「違う、もっと野蛮に! もっと豪快に! もっとスタイリッシュに! もっとクリエイティブに!」
監督「なぁにやってる、全然ダメだ! もっと斧に自分を委ね――」
女「もう嫌! こんなのやめます!」ゴトンッ
女「私、たしかに女優になりたいけど、こんな斧を振り回すような女優なんてゴメンです!」
監督「分かった、今日はこれまでにしよう」
女「今日は……って。もう来ませんよ」
監督「いや……君は来るよ」
女「来ませんって!」
バタンッ!
監督「……」
女(まったく……なんなのアックスビデオって! ふざけてるの!?)
女(あんなんだったらまだ、どこぞの男優と寝た方がマシだったかも分からない!)
女(だけど、斧を握った瞬間……)
ガシッ
女(重かったけど、まるでパズルの最後のピースがやっとはまったかのような感覚だった……)
女(あれは……なんだったの?)
女(私は長年、斧を求め続けてたというの?)
女(私は――)
監督「……来てくれると信じてたよ」
女「すみません、昨日はワガママを……」
監督「いや、いいんだ。さっそく斧を持ってくれたまえ」
女「はい」ガシッ
女「昨日より手に馴染む……」
監督「やはりな……。ドラマで通行人をやっている君を見た時、ビビッときたんだ」
監督「君は斧に愛されていると……」
女「斧に……」
監督「おっと、おしゃべりしている時間が惜しい。撮影を始めよう」
女「お願いします!」
監督「自由だ」
女「へ?」
監督「君の思うように、思うがまま、斧を振り回してくれ」
女「はいっ!」
ブオンッ! ブンッ! ブオオンッ!
監督「! いいぞ、嫌々やっていた昨日より、断然いい!」
女「だりゃあっ!」ブオンッ
女「どぉうりゃあっ!」ブワオンッ
監督「す、すごい! まるで水を得た魚……いやそれ以上だ!」
女「もういっちょう!!!」
ブオオンッ!
監督(風圧が……ここまで届くとは!)
女「……やってみます」
女「……」スゥ…
女「むんっ!」
ドカァンッ!
女「真っ二つです」
監督「お見事……!」
女「ハァ、ハァ、ハァ……そうですか」
監督「素晴らしいビデオが撮れたよ」
女「そういって頂けると嬉しいです」
監督「このビデオは、AV(アックスビデオ)として発売させてもらう。売上等、結果はあとで報告するよ」
女「よろしくお願いします」
女「なんていうか、斧を持ってる時の方が、持ってない時よりしっくりくるのよね」
女「よぉーし、斧特訓開始!」
ブオンッ! ブオンッ! ブオオオンッ!
女「はいいいいいっ!」ギュルルルルルッ
女「はっ!」ビシッ
女「ってやだ、もうこんな時間!? 私ったら三時間も斧振り回してたわ!」
監督「やぁ、また呼び出してすまないね」
女「この前のAVはいかがでした?」
監督「いやぁ、もう大反響だよ! 売上はもちろん、レビューも好意的なものばかりだ!」
『女優と斧が融合(フュージョン)した、まさに究極のAV』
『主演女優が斧を振り回す姿を見ているだけで生きる気力が湧いてきました!』
『人が失った野性や蛮性を呼び起こさせてくれる映像といえよう』
女「これ……褒められてるんですかね?」
監督「褒められてるに決まってるだろう!」
女「ならいいんですけど」
女「やはりAVですか?」
監督「いや、次は映画だ。AVではなくAMになるのかな」
女「映画!?」
監督「伝説の斧に選ばれた女戦士が、巨悪に立ち向かう超大作だ。といっても予算はあまりないが」
監督「君に演じきれる覚悟はあるか?」
女「……」ゴクリ
女「……やります! やらせて下さい!」
監督「本場のバトルアックスだ」
女(さらに重い……)ズシ…
監督「敵役の演者には全員了解を取ってあるが、一歩間違えば大惨事になる」
監督「だから今一度君に聞いておきたい。君にこの斧を振るう覚悟はあるか?」
女「……」
女「あります。本物でなければ意味がありません」
監督「よく言った!」
女(自分でも驚くほど、私は自然と答えていた)
役者A「このアマ……ぶっ殺してやる!」
役者B「うおおおおおおっ!」
女「でやぁぁぁぁぁっ!」ブオンッ
役者A「ぐあっ!」
女「はぁっ!」ブオンッ
役者B「ぎゃあっ!」
役者A(す、すごい……!)
役者A(本当に斧で斬られたような感覚を味わいつつも、絶対に安全だという安心感があった……)
役者B(こんな女優がいたなんて……!)
口コミで話題が話題を呼び、大ヒット映画となった。
ワイワイ… ワイワイ…
観客A「すっげー面白かったな!」
観客B「主演の女優さん、かっこよかったー!」
観客C「ラストシーン、自分が斧で斬られたかと思っちゃったぜ!」
これにより、女はたちまち“斧女優”として、その知名度を爆発的に高めたのである。
女「やります」
「木こりの役でオファーをしたいのですが」
女「やります」
「斧を振り回す連続殺人鬼を演じて頂けないでしょうか。イメージを悪化させてしまうかもしれませんが」
女「やらせて下さい」
主演女「きゃああああっ!」
主演男「うわああああっ!」
女「コロス……コロシテヤル!」ブオンブオンッ
ホラー監督「すごい迫力だ!」
ホラー監督「しかも、主役とヒロインの存在感を食うわけではない……なんという絶妙な演技!」
朝ドラ監督「女さんですね」
女「はい、そうですが」
朝ドラ監督「今度の朝ドラ、どんな苦境も斧を振り回して乗り越える女性の半生を描きたいのですが」
朝ドラ監督「演じられるのはあなたしか考えられないのです。主演をお願いできないでしょうか」
女「喜んでお引き受けしましょう」
女「大丈夫よ、私がこの斧でみんなを守ってみせる! 爆弾も戦闘機も、斧でぶっ飛ばす!」
連続テレビ小説『斧の小町』は、斧の達人である主人公・小町が、
斧を振り回しつつ激動の昭和を生き抜く涙あり笑いありバトルありの快作に仕上がった。
平均視聴率は30%を越え、作中の名言『斧でぶっ飛ばす』は流行語大賞にも選ばれた。
女「あら、あなたはたしかアイドルとして売り出し中の……」
アイドル「私、あなたに憧れて、芸能界に入ったんです」
女「まぁっ、ありがとう」
アイドル「私、剣道をやってて……“歌って踊れて剣を振るうアイドル”を目指してるんです」
アイドル「そう、あなたのように!」
女「頑張って。あなたならきっとなれるわ」
アイドル「はいっ!」
リポーター「では挑戦して頂きましょう!」
女「はい」
リポーター「この大きな木を、斧を何回振って切り倒せるか! チャレンジ開始です!」
女「……」
女「せえやぁっ!!!」
ズパァンッ!
ズズズ… ズシン…
女「できました!」
リポーター「い、一発でしたァ~~~~~~~~~~ッ!!!」
伐採業者「うーむ、うちで雇いたいぐらいだ」
徹子「はじめまして」
女「はじめまして」
徹子「大変立派な斧でいらっしゃるけど、重さはどのくらいなのかしら?」
女「30kgぐらいですね」
徹子「まぁ、すごい。一日に斧はどのくらい振ってらっしゃるの?」
女「オフの日はそれこそ一日中振ってますね」
徹子「本当に斧がお好きでいらっしゃるのね。あなたのそのパワー、ぜひ分けて頂きたいわ」
女「いえいえ……黒柳さんこそお元気でいらっしゃる」
監督「やぁ、お久しぶり」
女「お久しぶりです、監督!」
監督「また君と一緒にAV撮りたいけど、ご多忙だろうしそうもいかないだろうね」
女「すみません、当分はスケジュールがみっちり詰まってて……」
女「ですけど私……」
監督「ん?」
女「私、監督のこと……」
女「い、いえっ! 何でもありません! 失礼します!」
アイドル「女さん!」
女「どうしたの?」
アイドル「かつての女さんのように、私にも大チャンスが巡ってきたんです!」
女「大チャンス?」
アイドル「ある若手監督が私に目をかけてくれて、今度私に“剣アイドル”としての仕事をさせたいって」
女「本当にかつての私みたいね。頑張ってね!」
アイドル「はいっ!」
女「そうなんです。なんとかモノにして欲しいわ」
監督「しかし、その若手監督、あまりいい噂を聞かないんだよな」
女「え?」
監督「たとえば、目を付けた女性に近づいて……」
女「まさか枕営業のようなことを?」
監督「それだったら、まだマシかもしれない。断ることだってできるんだから」
女「え……!?」
若手監督「このスタジオで、君が剣を振るうショートムービーを撮影させてもらうよ」
アイドル「はいっ!」
若手監督「ドアを閉めて、と」
バタンッ! ガチャッ
アイドル「ずいぶん殺風景な部屋ですね」
若手監督「こういう部屋の方がやりやすくていいのさ」
アイドル「……え?」
ゾロゾロ…
手下A「へっへっへ……」
手下B「可愛い~! 明日のスターを夢見てますって感じ~!」
アイドル「なんですか、この人たち!?」
若手監督「押さえつけろ」
手下A「はい」
ガシガシガシッ
アイドル「な、なにするんです!」
若手監督「未来ある若い女の子が、大勢の男に暴行される……」
若手監督「こういうAVが裏ルートじゃ破格の値段で売れるんだよ」
若手監督「それこそ、まともに監督業やるのがバカらしくなるほどの額でね」
アイドル「そ、そんな……!」
若手監督「君、たしか“剣アイドル”になりたいとかいってたよね?」
若手監督「お望み通り、俺の剣で突いてあげよう」ヌギッ
若手監督「誰かに泣きつくことすらできないくらいの目にあわせてあげるよ」ヌギヌギ
アイドル「ひっ……いやぁぁぁぁぁっ!」
「開けなさい!」
若手監督「! 誰だ!?」
アイドル(この声は……女さん!)
手下A「どうします?」
若手監督「適当に理由つけて追い払え」
アイドル「助けてっ! 助けてぇぇぇぇぇっ!!!」
若手監督「あっ、このバカ!」
アイドル「女さん……!」
若手監督「助ける? バカが、その前にこの特設スタジオにどうやって入るってんだ」
若手監督「いっとくが、トラックが突っ込んできてもビクともしねえ作りになってんだぜ!」
「トラック……? フフッ、舐められたもんね」
ミシミシ…
若手監督「え!? ちょっ、揺れ――」
ドゴォンッ! ドガァンッ! ドグワシャンッ!
女「あっけない……もう壊れちゃった。本気だったら一発でいけたかも」
監督「いいAVが撮れそうだ」ジーッ…
若手監督「な、なんだとォ!?」
若手監督「殺人者になる覚悟はないよなぁ?」
女「そうね、さすがに人を斧を斬る覚悟はできてないわ。いくら女の子を助けるためでもね」
若手監督「だろう?」
女「だったら……触れなきゃいいだけなんだけどね」
ブオンッ!
ビュオオオオッ!
「うぎゃ!」 「ぐえっ!」 「うわぁぁぁっ!」
風圧だけで、手下たちは吹き飛んでしまった。
監督「素晴らしい……!」
若手監督「ち、近寄るな!」ガシッ
アイドル「ひっ……!」
若手監督「近づいたらこいつの首をヘシ折るぞ! それとも俺もこいつごと風圧で吹き飛ばすか!?」
女「……」
アイドル「私ごと吹き飛ばして!」
若手監督「余計なこというな!」
女「大丈夫、将来有望なアイドルに、怪我なんてさせないわ」
ブオンッ!
若手監督「え……!?」
若手監督(俺の体が……真っ二つ……に……)
ドザァッ……
女「間に合ってよかったわ」
アイドル「だけど、若手監督はどうして気絶してしまったんでしょう?」
女「斧を振って、“真っ二つにするイメージ”を叩きつけたのよ」
アイドル「そんなことが……」
女「監督、この子のことは――」
監督「ああ、見込みがありそうだ。私が責任を持って、“剣アイドル”にしてみせよう」
アイドル「……よろしくお願いしますっ!」
監督「彼女もすごいよ。君にだって劣らぬ素質を持っていた」
監督「今や“サムライアイドル”なんて呼ばれるほどだ」
監督「今の彼女なら、逮捕された若手監督に襲われても、あっさり返り討ちだろうな」
女「よかった……」
女「ところで、監督……」
監督「ん?」
女(私、ずっと前からあなたのことが……)
監督「君は今や、日本が誇る“斧女優”だ。これからも人々のために、斧を振るい続けるのだろう」
監督「いくら私が発掘したとはいえ、もはや君の斧を独占することは許されない」
女「そうですよね……」
監督「しかし、ファンがいないところ、たとえば家庭では……」
女「?」
監督「私のために……私のためだけに、その斧を振るってもらえないだろうか」
監督「これ……指輪だ」パカッ
女(斧をかたどった指輪……!)
女「……はい!」
司会者「皆さま、美しい衣装に身を包んだ、お二人が入場されます!」
司会者「盛大な拍手をお願い致します!」
ワアァァァァァ……!
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ…
女「皆さん、ありがとうございます」
監督「大勢集まってくれて嬉しいよ」
司会者「それでは、いよいよお二人の共同作業に移らせて頂きます!」
司会者「ただし、ケーキ入刀ではありません! お二人に相応しい共同作業、それは――」
オオッ……
女「じゃあ、この斧持って」ヒョイッ
監督「お、重っ!」
女「大丈夫?」
監督「なんとか……!」
女「せーのっ!」
ズバンッ!
~おわり~
元スレ
女「AV撮影ですか……分かりました、やります」監督「じゃあこの斧持って」女「え?」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1574586484/
女「AV撮影ですか……分かりました、やります」監督「じゃあこの斧持って」女「え?」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1574586484/
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