少女「パパ、ペット飼いたい!」父「コモドドラゴンを飼えッ!」
少女「ねえパパ、あたしもペット飼いたい!」
父「いいだろう」
少女「やったー! 犬にしようかなぁ、それとも猫にしようかなぁ」
父「いや、もっといい動物を飼わせてやろう」
少女「え、どんな動物?」
父「コモドドラゴンを飼えッ!」
父「コモドオオトカゲともいってな。大きい個体は体長3mにも達する世界最大級のトカゲだ」
少女「トカゲ!?」
母「あなた、コモドドラゴンの飼育には特別な許可が必要でしょう?」
父「その点は心配ない。すでに許可は取ってある」
母「まぁ呆れた」
父「それどころか、実はもう家に連れてきてしまったんだ」
コモドドラゴン「……」ノソノソ
父「どうだ、可愛いだろう?」
少女「全然可愛くない……」
父「この気持ちの切り替え、さすが俺の娘だ」
母「だったら名前をつけてあげなきゃね」
少女「コモちゃんがいい!」
父「竜太郎にしよう!」
コモドドラゴン「……」
コモドドラゴン「シャーッ」ノソノソ
少女「あ、あたしに向かって歩いてきた」
母「コモちゃんの方がいいみたいね」クスッ
父「竜太郎ォ……」ガクッ
少女「じゃあ今日からよろしくね、コモちゃん!」
コモドドラゴン「……」コクッ
父「この見た目通り肉を食べる」
父「鹿や猪のような大型の動物も捕食するし、死肉を食べることもあるそうだ」
少女「ふーん」
父「ただし人間のように毎日食べる必要はなく、動物園じゃ、エサの頻度は一週間に一度ぐらいだそうだ」
父「あまり食べさせると太ってしまうらしい」
母「じゃあ餌のやりすぎには注意しなきゃいけないわね」
コモドドラゴン「……」ノソノソ
母「気をつけるのよ~」
主婦「こんにちは、あら恐竜を飼い始めたの?」
少女「ううん、コモドドラゴン!」
コモドドラゴン「……」
主婦「コモド……聞いたことあるわ。インドネシアのトカゲよね。珍しいわねえ~」
少女「ほら、挨拶して」
コモドドラゴン「……」ペコッ
主婦「あら、賢い!」
コモドドラゴン「シャーッ!」パクッ
コモドドラゴン「……」モグモグ
少女「おいしい?」
コモドドラゴン「……」コクッ
少女「よしよし」ナデナデ
母「最初はちょっと不安だったけど、あの子もだいぶコモドドラゴンに慣れてきたわね」
父「さすが俺の娘だ!」
コモドドラゴン「……」ノソッ
少女「どうしたの?」
コモドドラゴン「シャーッ」
少女「もしかして……一緒に行きたい?」
コモドドラゴン「……」コクッ
少女「じゃあ……一緒に行こっか!」
コモドドラゴン「……」ピョンピョン
少女「今日はコモちゃんと学校行ってくるね」
母「しょうがない子ね。気をつけるのよ」
少女「……あっ」
ガキ大将「へっへっへ……」
少女(いじめっ子だ……)
ガキ大将「ここを通りたきゃ、“通行料”を置いてってもらおうか」
少女「お金なんてないよ!」
ガキ大将「ウソつけ! 親から100円ぐらい渡されてんだろ!?」グリグリ
少女「痛い痛い! やめてよーっ!」
コモドドラゴン「……!」
ガキ大将「なんだこいつ!? やる気か!?」サッ
少女「やめといた方がいいよ」
少女「コモドドラゴンには血液の凝固を阻害するヘモトキシンっていう毒があるから、噛まれたら命はないよ」
ガキ大将「うぐ……」
ガキ大将「ちくしょう、覚えてやがれ!」タタタッ
少女(もちろん、コモちゃんはそんなことしないけどね)
少女「……ありがとう、コモちゃん」ナデナデ
コモドドラゴン「……」コクッ
少年「今日はみんなでサッカーやろうぜー!」
少女「やろうやろう!」
少女「コモちゃんもやる?」
コモドドラゴン「……」コクッ
少年「じゃあ、広場に集合だーっ!」
ワーッ!
子供「コモドドラゴン速いな~!」
少女「時速20kmで走れるんだって」
コモドドラゴン「シャーッ!」
少年「はぁ、はぁ……コモドドラゴン全然疲れないな……」
少女「コモドドラゴンはね、スタミナがすごいんだって」
少女「獲物を何日も何日もずっと追いかけることもできるみたい」
少年「うげ……追われる方はたまったもんじゃないな」
少女「この底なしのスタミナこそが、コモドドラゴン最大の武器なのよッ!」
コモドドラゴン「……」
少女「はい、お肉!」
コモドドラゴン「……」ガツガツ
父「ペットと戯れる娘を見ながら飲むビールというのもまた格別だ」グビッ
母「ペットがコモドドラゴンっていうのは多分うちだけでしょうけどね」
フワー…
少女「あ、風船が木に引っかかっちゃった!」
コモドドラゴン「……」シャカシャカ
少女「コモちゃんって木も登れるんだ!」
コモドドラゴン「……」ハムッ
コモドドラゴン「……」シャカシャカ
少女「ありがとう、コモちゃん!」
少女「ガキ大将が川で溺れてる!」
コモドドラゴン「……」
少女「……コモちゃん!」
コモドドラゴン「……」バッ
コモドドラゴン「……」バシャバシャ
少女「コモちゃんにつかまってぇ!」
少女「大丈夫?」
ガキ大将「ああ……コモドドラゴンって泳げるんだな……」
少女「うん、潜水もできるし、数百メートル泳いだ事例もあるんだよ」
ガキ大将「……」
ガキ大将「助けてくれて……ありがとよ。今までいじめて悪かった。許してくれ……」
少女「いいよ、もう気にしてないよ」
少女「やったね、コモちゃん!」
コモドドラゴン「シャーッ!」コクッ
少女「すぅ、すぅ……」
コモドドラゴン「……」
父「二人は?」
母「一緒に眠ってるわ」
母「二人とも、すっかり名コンビになっちゃったわね」
父「子供が親から離れていくというのはちょっと寂しいもんだな」
母「いいじゃない。あなたには私がいるんだから……」ギュッ
父「お、おい……」
強盗「どうだった?」
子分「あのコンビニ、今は一人しかいないっスね」
強盗「カモがネギしょってやがるぜェ、グヘヘヘヘヘ……」
強盗「コモドドラゴンを放てッ!」
子分「分かったっス!」
黒コモドドラゴン「……」ノソノソ…
黒コモドドラゴン「キシャーッ!」
強盗「コモドドラゴンに襲われたくなきゃ、レジから金出しな!」
店員「わ、分かった……!」ガサゴソ
店員「ほら……持っていってくれ!」
強盗「やったな!」
子分「コモドドラゴンを使った強盗は完璧っスね。忌憚のない意見ってやつっス」
黒コモドドラゴン「キシャーッ!」
TV『犯人は黒いコモドドラゴンで店員を脅し、金を奪って逃走……』
TV『コモドドラゴンを利用した強盗はこれで五件目です……』
父「またか……」
母「怖いわねえ……」
少女「コモドドラゴンを悪用するなんて……許せない!」
コモドドラゴン「……」コクッ
少女「やっぱりコモちゃんも許せない?」
コモドドラゴン「……」コクッコクッ
少女「あたしたちでこの強盗をやっつけよう!」
コモドドラゴン「シャーッ!」
父「さすが俺の娘だ!」
母「くれぐれも気をつけるのよ~」
コモドドラゴン「……」ノソノソ
少女「なかなか見つからないね、強盗」
少女「って、そんな簡単に見つかるわけ――」
コモドドラゴン「……!」
少女「コモちゃん!?」
コモドドラゴン「……」チロチロ
少女(コモドドラゴンは視覚・聴覚に優れ、特に嗅覚はものすごく発達している!)
少女(だとしたら、簡単に発見しても不思議はないッ!)
コモドドラゴン「……」シャカシャカ
少女「行こう、コモちゃん!」
子分「はいっス」
黒コモドドラゴン「……」
少女「……いた!」
少女「やめなさーい!」
コモドドラゴン「シャーッ!」
少女「コモドドラゴンを強盗に使うなんて最低! 大人しく自首してよ!」
強盗「生意気なガキだ……こういうガキにはおしおきが必要だよなァ?」
強盗「コモドドラゴンを放てッ!」
子分「はいっス!」
黒コモドドラゴン「キシャーッ!」
少女「ううっ……コモちゃん、お願い!」
コモドドラゴン「シャーッ!」
少女「コモちゃん……!」
コモドドラゴン「シャーッ!」
黒コモドドラゴン「キシャーッ!」
コモドドラゴン「……」
黒コモドドラゴン「……」
コモドドラゴン「……」ジッ
黒コモドドラゴン「……」ジッ
子分「二匹とも、動きが止まったっス……!」
コモドドラゴン「……」
黒コモドドラゴン「……」
チュッ
少女「お互い一目惚れしちゃったみたい! あっちはメスだったんだ!」
強盗「な、なんだとぉっ!?」
子分「はいっス!」
少女「あっ、ダメ!」
――バキィッ!
子分「ぐぎゃあっ!」ドサッ
強盗「子分!?」
父「そこまでだ」
少女「パパ! 来てくれたの!?」
父「娘のピンチに駆けつけない父親なんているわけないだろ?」ニコッ
強盗「……?」
父「あなたはクソだ」
強盗「なんだとーっ!」
ボボボッ! パンパンパンッ!
少女「す、すごい打撃戦だあっ! 速射砲のような拳が飛び交ってる!」
ヒュンヒュンッ ヒュンヒュンッ
強盗「なにっ!」
父「んかあっ!」ガシッ
少女「パパがあっという間にヒールホールドの体勢に入ったあっ!」
強盗「ま、参っ……」
父「ギブアップは通じないんだ。痛いだろうが仕方ないんだ」グンッ
ビキッ
強盗「うぎゃあああああああああああああああ!!!」
少女「膝の靭帯を破壊して、パパが勝ったあっ!」
黒コモドドラゴン「キシャーッ!」モゾモゾ
少女「見てパパ! 二人がプロレスやってる!」
父「いや、あれは交尾だな」
少女「ねえ、二人ともあたしが飼っていい?」
父「もちろんだとも」ニコッ
父「コモドドラゴンを飼えッ!」
黒コモドドラゴン「キシャーッ!」プリッ
少女「あ、パパ見て! クロちゃんが卵産んだ!」
父「おおっ、やったな」
母「大切に孵化させてあげましょうね」
少女「うん! よかったね、コモちゃん!」
コモドドラゴン「……」コクッ
少女「なに?」
母「あなた……お姉ちゃんになるのよ」
少女「やったーっ!」
父「久しぶりにハッスルしてしまったよ」
少女「ってことは、ママのお腹にはあたしの妹か弟がいて……」
少女「この卵はコモちゃんの子供だから、“子供ドラゴン”になるんだね!」
コモドドラゴン「シャーッ!」
― 完 ―
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コメント一覧 (18)
-
- 2019年12月17日 11:32
- ええ話やん、で………続きは?
-
- 2019年12月17日 11:40
- コンビニにコモド強盗が来たあたりから不覚にも笑ってしまった
-
- 2019年12月17日 11:44
- カイザーフェニックスでらんのか?
-
- 2019年12月17日 11:45
- 正直、読んでて楽しかったw
-
- 2019年12月17日 12:07
- コモちゃんはメスだと思って読んでたわ。でもコモドドラゴンて単為生殖するそうじゃない。
色白の女の子と褐色の女の子の百合、と脳内変換させていただいてよろしいかな。
-
- 2019年12月17日 12:28
- 最後まで読んでしまった
-
- 2019年12月17日 12:28
- イモトはこんなんに立ち向かったのか
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- 2019年12月17日 12:35
- コモドドラゴンは
こいつ毒持ってるわ!→毒は持ってないが歯が不潔だから噛まれたら感染症にかかって死ぬわ→やっぱり毒も持ってたわ!の流れが面白い
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- 2019年12月17日 12:37
- これで飯週一でいいのは燃費良いな
-
- 2019年12月17日 13:21
- で、例の画像はまだかな?
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- 2019年12月17日 14:06
- ヒールホールドが効いてるようじゃタフキャラ失格だぞ
-
- 2019年12月17日 15:40
- このコメント欄にコモドドラゴンを放てっ!
-
- 2019年12月17日 16:28
- チイッ なんでコモドドラゴンのSSなんか書いてんだよ
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- 2019年12月17日 16:30
- ぺろぺろですーってしちゃいけないのか
-
- 2019年12月17日 18:36
- タフかな?と思ったらタフだった
-
- 2019年12月17日 19:39
- マジかよ、コモドドラゴン飼うわ
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- 2019年12月17日 20:26
- 長いし話の内容も没個性
-
- 2019年12月17日 22:38
- オオトカゲの中でも小さいサバンナモニターならまぁ
サルバトールの時点でマジ!?ってなるな
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