ゲーム制作会社 社長「ネタが尽きた」
社長「いよいよ発売日だな」
社員A「世界中の人々とサバゲーができる新感覚シューティングゲーム」
社員B「大ヒット間違いないですね」
社長「ここまで至ったのは君達のおかげだ」
社長A「いえいえ!」
社員B「ありがとうございます!」
社長「絶対に成功させるぞ!」
社長AB「はい!」
国民B「銃を用いて人を狙い撃ちする斬新さ!」
国民C「スリル満点で面白い!」
社員A「社長!大成功ですよ!順調に売り上げが伸びています!」
社長「よくやった!この調子で盛り上げていくぞ!」
社員AB「はい!」
テレビ「本日未明、会社員の男性が上司を射殺したとして現行犯逮捕されました」
テレビ「会社員の男性は上司からの日常的なパワハラによって重度の精神的ストレスを背負っていたようです」
テレビ「また、会社員の男性の自宅からは家庭用ゲーム機と思われる機器が発見されました」
テレビ「そのゲームの内容ですが、人と人とが殺し合う残虐なサバイバルゲームと思われ、グロテクスのような描写も含まれています」
テレビ「このゲームを持っている人には決して近づかないようにしましょう」
社長「ふん、争ったところで無駄だ。素直に販売を中止させるしかない」
社員B「ああ…せっかく作ったのに…」
社長「なに、また新しいゲームを作ればいいだけの話だ」
社長「何事にも諦めないことが肝心だ、そうだろう?」
社員A「社長…!」
社員B「その通りだ!また面白いゲームを作ろう!」
社員A「強い力を持った主人公が悪者を倒していく新感覚アクションゲーム」
社員B「大人気間違いなし」
社長「今回は割と力を入れたからな。何も問題がないといいが…」
社員A「いろいろと対策もしましたし大丈夫ですよ!」
社員B「次こそ成功させましょう!」
国民B「武器を使わず相手を倒す堂々たる姿勢!」
国民C「悪い奴らを格闘で倒す爽快感!」
社員B「売り上げが伸びてきていますね!」
社長「この調子だこの調子だ」
テレビ「本日未明、電車の車内にて2人の男性が殴りあっている動画がSNS上に投稿され、一時騒然となりました」
テレビ「目撃者の話によると、電車内でのマナーを巡って争うこととなった模様です」
テレビ「逮捕された男性の一方の家を捜索したところ、日本ゲームス開発の家庭用ゲーム機が見つかりました」
テレビ「人を殴る蹴るなどといったことを目的とした格闘ゲームであり、喧嘩を主に罪のない人を倒しまくる様子が描かれています」
テレビ「このゲームを持っている人には要注意です。気をつけましょう」
社長「なに?」
社員A「また販売停止にしないと会社潰されますよ…」
社長「うーん、どうやら我々はゲーム制作を甘く見ていたようだな…」
社長「ゲームが国民にどのような影響を与えるか今一度考えるべきだった…」
社員A「どうします?」
社長「また新たにゲームを作ろう。次こそ成功させるぞ!」
社員A「次々と出てくるモンスターを捕まえていく新感覚ロールプレイングゲーム」
社員B「これこそ大人気間違いないな」
社長「暴力的な部分は1から10まで全部取り除いた。完璧な出来栄えだ」
社長「次こそ成功させよう!」
社員AB「はい!」
国民B「かっこいいモンスターから可愛いモンスターまでいろいろ楽しめる!」
国民C「こんな癒されるゲーム初めてだ!」
社員A「売り上げは伸びている模様です」
社長「順調だな。ほっほっほ」
テレビ「本日未明、近所の野良猫を滅多刺しにしていた所を巡回中の警察官に見つかり、製造業の男性が現行犯逮捕されました」
テレビ「話によりますと、日々のストレスを発散するために動物に手を出したと供述しています」
テレビ「製造業の男性の家からは日本ゲームスによって作られたと思われるロールプレイングゲームが発見されました」
テレビ「生物をぞんざいに扱うような内容が描かれており、生命を軽んじているような人しかプレイしないようなゲームであります」
テレビ「このゲームを所持している人物とは縁を切りましょう。次に狙われるのはあなたかもしれません」
社長「仕方ないだろう。訴えられている以上、反撃なんてしたら我社の名誉はズタボロになる」
社員B「もう作る気なくなってきましたよ…」
社長「何を言っておる!言っただろう!諦めないことが肝心だと!」
社員AB「!」
社長「次こそ成功させるぞ!早速準備にかかれ!」
社員AB「はい!」
社員A「いろいろな車両で大地を駆け抜けることができる新感覚レースゲーム」
社員B「これはヒットするだろう」
社長「今回は自信作だ。きっと上手くいくはず」
社員A「私達も頑張りましたからね!」
社員B「きっと成功するでしょう!」
社長「よーし、頑張るぞ!」
国民B「リアルなグラフィックで広いステージを走る開放感!」
国民C「車両カスタムの選択肢が多い自由度!本当にレーサーになったみたいだ!」
社員B「売り上げは右肩上がりです!」
社長「よし!この調子だ!」
テレビ「本日未明、高速道路で交通事故が発生し、一時通行止めとなりました」
テレビ「運輸業の男性がトラックを運転していた所、前を走る乗用車に追突し、乗っていた男女2名が死亡しました」
テレビ「トラックを運転していた男性は指定時間に遅れそうになりスピード超過をしていたと見られ、その場で逮捕されました」
テレビ「運輸業の男性の家からはまた日本ゲームスが作ったと思われるレースゲームが見つかりました」
テレビ「車を運転するのが主な目的のゲームにも関わらず、安全性を度外視し、極めて危険な運転をしてでもゴールにたどり着くといった信じられないゲームです」
テレビ「このようなゲームを持っている人に近付くのは自殺行為です。絶対に辞めてください」
社員A「…」
社員B「…」
社長「まあそう暗い顔をするな」
社員A「でも…」
社長「これはちゃんとしたゲームを作らない我々の責任なんだ。自分達の実力のなさを見つめ直す良い機会ではないか!」
社長「次こそ安心安全なゲームを作るぞ!」
社員A「飼い主となって動物を育成する新感覚シミュレーションゲーム…」
社員B「人気が出ればいいですね」
社長「これから盛り上がらせるぞ!」
国民A「これは驚いた!」
国民B「こんな細かい所まで設定できるなんて!」
国民C「まさに神ゲーの鑑だ!」
テレビ「本日未明、隣人の家のペットを誘拐したとして情報通信業の女性が逮捕されました」
テレビ「誘拐犯曰くペットの鳴き声によるトラブルに耐えられなくなったからだと証言していますが、家から動物育成ゲームが発見されたことからこれが第一の原因だと思われ…」
社員A「社長…」
社長「まだだ!諦めるにはまだ早い!」
社長「次はスポーツだ!スポーツゲームでヒットを狙うぞ!」
テレビ「広場でサッカーをしていた若者が道に飛び出したボールを取りに行った際に軽トラに跳ねられました」
テレビ「家からは日本ゲームス作のスポーツゲームが…」
社長「こうなったらミュージックゲームだ!音楽に力を入れるぞ!」
テレビ「こちらのミュージックゲームで使用された曲が犯罪に使用され…」
社長「ギャグゲーだ!面白いゲームを作ろう!」
テレビ「なんとなく知能が下がりそうなこのゲームが販売停止に…」
社長「ホラーだ!怖いゲームを作るぞ!」
テレビ「このゲームがトラウマとなった人達が日本ゲームス訴訟に成功…」
社員A「…」
社員B「…」
社長「誰も新しいゲームの案はないのか…」
社員A「社長…」
社長「おお!何か思いついたか!」
社員A「今日をもってやめたいと思います…」
社長「…何を?」
社員A「社員を」
社長「へ?」
社員A「私知ってますよ。この会社赤字続きで倒産寸前なんでしょ?」
社長「うっ…どこでそれを…」
社員A「誰から聞かなくてもわかりますよ…この会社に収入が入るためしなんてほんの一瞬じゃないですか…」
社員A「その上ゲーム制作に大量の資金投入してるくせに黒字なわけないでしょ…」
社長「で、でもここからだろ!ここから追い上げていって…いつしか国民中から…いや、世界中から愛されるゲーム会社に…」
社員B「社長!いい加減目を覚ましてくださいよ!」
社長「!!」
社長「ぐっ…し、しかし…!」
社員B「こんなやりがいの欠片も感じられない会社に勤めてるだけ時間の無駄です…社長も新しい職場先でも探したらどうです?」
社長「…」
社員A「今までお世話になりました」
社員B「では」
社長「…」
社長「…」
社長「…」
「僕ね!大きくなったら面白いゲーム作りたい!」
「社長になってゲームいっぱい作って世界中の人々を笑顔にするんだ!」
父親「ははは、夢を持つのは良いことじゃないか」
母親「まったく…勉強もちゃんとしなさいよ?」
「うん!」
「しかし…ついに…夢を叶えることができた…!」
「長年積み重ねてきた努力が報われるなんて…こんな嬉しいことはない!」
「これからはゲームいっぱい作っていろんな人に遊んでもらおう!」
「自分の作ったゲームが様々な人の手に…楽しみだなぁ…」
「そ、そんな…君までやめちゃうなんて…」
社員C「俺達が作るゲーム全部販売停止処分じゃないですか!一度でも訴えられなかったゲームあります!?」
社員C「どれだけ魂を込めてゲームを作っても全部廃棄されるんじゃやる気失せますよ!」
社員C「ゲームクリエイターなんてクソ喰らえだ!死ねハゲ!!」
社員A「社長、元気出してくださいよ」
社員B「まだまだこれからじゃないですか」
「うう…グスッ…ひっく…」
社員A「周りが何と言おうと私達は怯みません!」
社員B「僕達は社長にずっとついていきますから!」
「ありがとう…ありがとう…」
社員A「我々と一緒に世界一のゲーム制作会社を目指しましょう!」
─────
─
社長「…」
社長「私は今まで何をやっていたのだろうか…」
社長「こんなに借金を抱えてまで会社を建てたというのに…人々に悪影響を提供していただけじゃないか…」
社長「くだらん…夢なんて叶ったところでその先の未来は暗闇ばかり…」
社長「こんな世界でゲームを売ろうと思った私がバカだった…」
社長「下には誰もいないな…」
社長「この高さなら死ねる…」
社長「もう思い残すことは何もない…借金取りに追われる生活を送るくらいならいっそここで…」
社員A「社長!」ガチャッ
社長「!!」
社員B「何してるんですか!降りてきてください!」
社長「く、来るな!今さら何しに戻ってきた!」
社員A「死のうとするなんて間違ってますよ!考え直してください!」
社長「綺麗事並べてんじゃねえ!私は学習したんだよ!」
社長「私はもともと人々の笑顔が楽しみでゲームを作ろうと思ったんだ!こんな世界でゲームなんか作りたくねえ!」ダッ
社員A「社長!?」
社長「規制の緩い別の世界に生まれ変わってやる!!」ピョーンッ
社員A「社長ーーーーー!!!」
-おわり-
「SS」カテゴリのおすすめ
- 店員「てっ、店っ長ぉ…セクハラで…う、訴えます、よっぉ…!」
- 先輩「私、この部活大っ嫌いなんだ」
- マミ「スカートの中からなんか出てきた」
- 牛股権左衛門「ニュージェネレーションズにござるか」モバマス
- 師匠「アシスタント不足…だと…」
- モバP「朝起きたら女になってた……」
- 彡(゚)(゚)「東京都?」 (´・ω・`)「うん!」
- 悟空P「オラがアイドルのプロデューサーだって!?」
- モバP「旅行に行こう!」
- のび太「それはあなたの想像上の人物なのでは…?」
- ナッパ「へへ…この土なら良いサイバイマンが出来そうだぜ…」
- 武内P「本田さんは体調不良でお休みです」
- ハルヒ「有希、あんたたちいつから付き合ってたのよ?」
- 俺「挿れるぞ…」SOUND VOLTEX「お願いします///」
- 千早「高槻さん、一緒に銭湯に行きましょう」伊織「ちょっと!」
「ランダム」カテゴリのおすすめ
- 食蜂「掌握幻想っていい響きじゃなぁい?」上条「そうか?」
- やよい「でーと、してくれますか?」
- 東郷あい「ふぅ、まったく...」
- 提督「安心してくれ。私はホモだ」
- モバP「密着取材?え、卯月の?なんて命知らずな」
- 男「ボクは世界一のバトル解説役になる!」
- モバP「新しい女子寮の部屋割り?」
- 姫菜「ごめんね?結衣や優美子ほど大きくなくて......」八幡「は?」
- 杏「杏・輝子・小梅のシンデレラジオ 第37回」
- 勇者「魔王倒したらその娘に言い寄られてヤバい」
- 弟「長い雨だね」姉「そうだね……」ジョロジョロ
- 杉下右京「呪怨?」
- 【艦これ】空母棲姫と男の物語
- 女強盗「初強盗です。よろしく」 男「……えっ?」
- 春香(つい、事務所のロッカーに隠れてしまった……)
今週
先週
先々週
コメント一覧 (2)
-
- 2019年12月23日 23:42
- よっぽど鬱憤溜まってるんだろうなと思った
-
- 2019年12月23日 23:46
- 神ゲー作りまくっといて赤字になるわけないんだよな。
相当世渡り下手なんだな。マスコミなんて金渡しといたら黙ってるよ。ポケモンGOの歩きスマホ事件(笑)で証明したやん。パズドラには一切触れずにポケモンGOだけ批判してるの見たらお察しよ。
スポンサードリンク
デイリーランキング
ウィークリーランキング
マンスリーランキング
アンテナサイト
新着コメント
最新記事
読者登録
スポンサードリンク