70154/pixabay
世界最速の鳥として知られている猛禽類のハヤブサ。ハヤブサという和名は「速い翼」が転じたと考えられている。遠方にいる獲物を捕らえる時には、時速386kmものスピードで急降下することができるという。
ダイナミックに空中を大きく回転しながらハイスピードで飛行する姿は、まさに“羽根のついた戦闘機”と呼ばれるにふさわしい。
これほどまでにスピードが出せる理由はなんなのか?
今回は、その速さの秘密に迫ってみよう。
スポンサードリンク
Peregrine Falcons are Feathered Fighter Jets, Basically
優れた視力で遠方の獲物を発見
ハヤブサは通常の水平飛行の速度は100km前後、獲物を見つけて急降落下するときには、時速386kmもの速さとなる。
しかし、そもそも遠方にいる獲物を見るには、優れた視力が必要となる。大きな目を持つハヤブサの視力は、私たち人間の2倍ほどで、中心窩(ちゅうしんか)が2つあるという。
image credit: youtube
人間の場合、高繊細な中心視野を助ける役割をする、中心窩と呼ばれる重要な部分が目の奥にあるが、ハヤブサには目の奥と目の脇部分に2か所の中心窩があり、それが高スピードでの飛行中に奥行間隔を助ける役目を担っている。
目の上の隆起が小さい=飛行スピードを妨げない
image credit: youtube
他のタカ類には、目の上にひさしのように突出した部分があり、それが太陽の光を遮る役目を果たしているが、これがあることにより飛行スピードに影響が出る。
しかしハヤブサの場合、その隆起部分が非常に小さいため、飛行スピードが落ちることなく、他のどの鳥よりも速く飛ぶことができるのだ。
その代わり、ハヤブサの目の下は黒い。これはちょうどスポーツ選手が目の下に黒いペイントを塗るのと同じで、太陽光の反射から目を守る手助けとなっている。
image credit: youtube
羽根が固く翼はコンパクト
ハヤブサが、世界最速の鳥と言われる理由の1つに大きく関係しているのが、翼のサイズとアングルだ。
image credit: youtube
フクロウ(写真中央)やタカ(写真下)の翼と比較すると、ハヤブサ(写真上)の翼はよりコンパクトで斜めになっている。また、1枚1枚の羽根も固く長い。これらは、ハヤブサが速くスムーズに飛ぶことができるサポート的役割を果たしている。
高速飛行時の呼吸を助ける鼻の骨
ハヤブサの鼻の中には、結節と呼ばれる小さな骨がある。空中での高速飛行は、空圧も高く肺に大きな圧力がかかり、窒息の可能性もあり得る。それを防ぐのが、この結節だ。
image credit: youtube
これがあることで、空中飛行時に吸った空気が肺に届く前にスローダウンし、窒息を防いでいるのだ。
獲物を仕留める2つの武器
一旦、攻撃された獲物が地面に落ちると、ハヤブサは長く鋭い爪を使って獲物を捕食する。しかしもう1つの武器は、くちばし上部にある歯状の突起部分だ。
image credit: youtube
爪だけで獲物が仕留められない場合は、この突き出た個所を使って獲物の首に噛みつく。
絶滅の危機に瀕していた過去
image credit: youtube
実はこの美しいハヤブサは、50年ほど前にはアメリカで絶滅の危機に晒されていた。
有機塩素系の殺虫剤・農薬(DDT)などの普及により、ハヤブサの在来種が絶滅寸前に陥ったのだ。
1970年には、米カリフォルニア州のハヤブサの個体数は激減。州全体で、たった2羽のペアが生存しているのみとなってしまった。
そこで、連邦政府は1972年にDDTを禁止。更に、ハヤブサ保護のための非営利団体らが率先してハヤブサの個体数の回復に尽力した。その努力でなんとか絶滅は免れ、1999年になる頃には連邦の絶滅危惧種リストから削除されるまでになった。
最近の調査では、カリフォルニア州には現在300〜350のペアが巣作りしており、全米で2400を超えるペアが生息していると推定されている。
特にカナダとアメリカでは、繁殖プログラムによって毎年個体数を増やすことにも成功しており、現在では、この両国を含む世界の数か所で、ハヤブサの生息数が70年代の減少以前の数よりも増加しているとのことだ。
References:boingboing.netなど / written by Scarlet / edited by parumo
あわせて読みたい
栄光の一位はやはりアイツだった。ざっくり見ていく鳥の速さランキングトップ10
ある朝目覚めたら、ベランダのプランターがハヤブサの子育て会場となっていた
後でおいしくいただく為?岩の中に生きたままの鳥を幽閉するハヤブサの知恵
ハヤブサトランス!ハヤブサの狩りを一人称視点で撮影したダイナミック映像
ハヤブサに追いかけられながら荒野を走り抜ける!マウンテンバイク・チャレンジ
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
いいね!しよう
カラパイアの最新記事をお届けします
「動画」カテゴリの最新記事
「動物・鳥類」カテゴリの最新記事
この記事をシェア :
人気記事
最新週間ランキング
1位 4435 points | 水面を照らすクリムト。第二次世界大戦時の巨大潜水艦基地を世界最大のデジタルアート空間に(フランス) | |
2位 3818 points | 人間の本来の寿命は38歳。DNA解析による脊椎動物の寿命推定(オーストラリア研究) | |
3位 3074 points | ひらめいた!農作物を猿に荒らされ困っていた農民たち、犬を虎模様にペイント。なんと効果あり!(インド) | |
4位 2435 points | 人間の遺体を堆肥に変える世界初の施設が2021年にオープン予定、微生物で遺体を分解(アメリカ) | |
5位 2021 points | 世界の列車の汽笛でパッヘルベルのカノンを!メリークリスマス! |
スポンサードリンク
コメント
1. 匿名処理班
今は都市部に順応して数増やしてるんだっけ。
実はオウムに近い種類とか、結構人懐っこいとか聞いたことある。
2. 匿名処理班
近場で猛禽の定期イベントをしてくれるところがあるけど
生で見るとよりカッコいい
3. 匿名処理班
SUZUKIのオートバイ、GSX1300隼もびっくりのTOPスピード!
4. 匿名処理班
あんまりアップで見たこと無かったけど猛禽類らしからぬ可愛い顔だな何か
新幹線越えのスピードですっ飛んでくるとか狙われたら回避出来ないだろうねこりゃ
5. 匿名処理班
この名前をバイクにつけようと思った
スズキはマジでど変態(褒め言葉)
6. 匿名処理班
実はタカよりもスズメやインコに近いというが、ろう膜の発達した鼻を見ると確かにインコっぽいところがある
7. 匿名処理班
8・8・2・3 海底人♪
8. 匿名処理班
ハヤブサって響きでも格好いいのに初めてアップで見て更に格好いい。まさか、たった2匹のペアだけになった過去まであるとは。。
でも順調に数を増やしていて良かった。
色々とスピードの為に進化して、自然は凄いな( ・∇・)
9. 匿名処理班
>>7
8・8・2・3 謎の人
…あってる?
10. 匿名処理班
マシンが僕だ〜♪
僕がマシンだ〜♪
11. 匿名処理班
※3
ノーマルだと330km/hでいっぱいいっぱいだから、改造しないと敵わないね。
12. 匿名処理班
>>3
GSX1300も上空から落下させたら400km近く出そう。
人間でも220km近く出るしね。