Beeki/pixabay
その昔、日本では農家から米や穀物などが貨幣の代わりにお上に献上されていた。しかし所変われば品も変わるということで、なんとイギリスでは“うなぎ”が貨幣代わりに使用されていたという。
イギリスのイースト・ヨークシャー州にあるハル大学の教授らが収集したデータがプロジェクトを通して公開され、今回中世の研究をしている学者によってツイッターでシェアされた。
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英国中世ではうなぎを貨幣代わりに使用
英国の中世を研究している学者ジョン・ワイアット・グリーンリー博士は、当時の英国ではうなぎが豊富に漁獲され、味が美味で食料として用いられた以外に、貨幣代わりとして重宝されていたことを明かした。
So you're a medieval landlord, collecting property rent from your peasants in eels. How do you measure them?
— Surprised Eel Historian (@greenleejw) December 11, 2019
Eels were usually counted in units called sticks (25 eels) -- likely from the number of eels you can smoke on a stick at one time. 10 sticks of eels was called a bind. pic.twitter.com/ONoNaao75J
グリーンリー博士は、イースト・ヨークシャー州ハル大学の2人の教授によって収集されたうなぎについての地図と資料から、中世の家主が家賃代わりに店子からうなぎを徴収していたと述べた。
25匹のうなぎは1スティックという単位で計算
資料によると、25匹のうなぎは1「スティック」という単位に計算されるという。これは恐らく、1度にスティック(棒)に刺して焼ける数が25匹だったのではと推測されている。
そして1スティック(25匹)×10本で「バインド」と呼ばれる単位に変わる。
当時、うなぎは家賃だけでなく、税金代わりとしても支払われていたようだ。10世紀後半〜17世紀にかけて記録された英国のうなぎの家賃と支払いを表示した地図を見てもわかるが、うなぎが特に貨幣代わりになっていたのは10世紀、11世紀の頃だったようだ。
こちらの表では、10世紀〜11世紀にかけて221件の賃貸契約があり、毎年54万匹近くのうなぎが家賃代わりに支払われていたことがわかる。
image credit:historiacartarum.org
しかし、世紀ごとの区分は恣意的なものであるため、地図上の表示は当時の現存した家賃全てを反映しているわけではないという。
興味深いのは、12世紀には一旦うなぎの支払い数が減少しており、賃貸契約数も減っている。しかし、13世紀には賃貸契約数が徐々に減少しているにもかかわらず、うなぎの支払い量だけが増えている。これは、恐らく家賃が値上がりしたためと推測できる。
地図上では、10世紀〜11世紀にかけては、イングランドに全体的に広がっていた「うなぎ家賃」だが、世紀ごとに場所も激しく変わり、15世紀〜17世紀には賃貸契約数12件とほんの僅かのうなぎ家賃が支払われるだけになったことがわかる。
So may great questions! I'll try to get to them in coming days. But, briefly:
— Surprised Eel Historian (@greenleejw) December 12, 2019
There were LOTS of eels in medieval England. People ate them, traded them, wrote about them, & paid taxes in them. In 1200 there were 500k+ eels being paid in in-kind taxation each year. Here's a map! pic.twitter.com/tHlHqDCDKZ
なお、グリーンリー博士がツイッターでシェアすると、「非常に興味深いデータである一方、当時の自給自足労働者たちが地主によって束縛されていたというだけでなく、事実上所有されていたという残忍なシステムの一部に過ぎない」という声が寄せられた。
これについて同博士は、このように返している。
確かに公平なポイントであり、留意する価値はあります。とはいえ、ここでの私の仕事は、うなぎを歴史の興味深いものとして人々に考えさせることです。
今日のうなぎの収穫を考えて、保全活動にもっと投資されることを願っています。
ちなみに、地図ではイングランドのみの結果が表示されているが、これはグリーンリー博士の今回の研究がイングランドのみに焦点を当てていたためということだ。
References:historiacartarum.orgなど / written by Scarlet / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
中世と言うよりも原始社会みたい。
2. 匿名処理班
そんな昔からうなぎを食べてたのにどうして調理技法が発達しなかったんだろうか?
イギリスのうなぎ料理っていうとゼリー寄せしか思いつかないんだけど。
3. 匿名処理班
借金が返せねぇってのなら、ウナギで払ってもらおうじゃねぇか !
4. 匿名処理班
また平賀源内が訳の分からないことを…
5. 匿名処理班
税の物納はよくあることとはいえイングランド各地でうなぎが税になったのは驚き
それだけ収量と需要が安定してたって事だよね。このデータ、養殖に役立たないかな
6. 匿名処理班
やっぱり太い方が価値があるんですかねえ
うなぎスティックも
7. 匿名処理班
美味だったと感じてたことがびっくり
ゼリー寄せにしたくせに?
8. 匿名処理班
当時のコインつくりは奴隷が作っており金属を冷やすのに
水ではなく尿を使ってた。理由は尿に含むミネラルが最適に
銀を冷やせたからみたいだ
もっとも尿や●は近代まであちこちで使われてるしすげえ物質だ
9. 匿名処理班
※1
日本では平安時代の頃
わが国でも貨幣経済の普及に失敗しておりました
10. 匿名処理班
減ったのは乱獲しすぎたんだろうな
労力が見合わなくなったから誰も積極的に取らなくなって、また増えたからこぞってまた取り出したんだろう
よく取れる場所は嫁にも教えないのが見えるぞ