親友(♀)「あけましておめでとう。」
親友「……ええ。私たちは親友ですもの。学校の仲のいい友人には、LINEを送って済ませたけれど。」
親友「さあ、出かけるわよ。……どこへ、って……決まっているでしょう。初日の出を見に行くのよ。」
親友「今から行けば、日の出には間に合うはずだわ。さあ、さっさと着替えなさい。貴方は親友なのだから、付き合わなければならないの。」
親友「…………なにを言っているの?私が決めた以上、貴方に口を挟む余地はないわ。テレビを消して、こたつから出なさい。はやく。」
親友「……私が間違っているとでも言いたげね。それなら聞かせなさい。貴方が出かけない理由とやらを。」
親友「…………そうね。私は貴方と一緒に初日の出を見ることが、親友らしい行動と断じているわ。他にそれらしいことがあるのかしら?」
親友「……はあ?特番って……そんなもの…………いや……。」
親友「………………。」
親友「…………貴方の考えは分かったわ。つまり、一緒にこのまま正月特番を見ながら朝を迎え、そのまま初詣に行くことが貴方の考える“親友らしい元旦の過ごし方”というわけね。」
親友「……………ふん……。」
親友「…………いいわ。貴方の考えに乗ってあげる。今年はこのまま朝まで過ごしましょう。」
親友「貴方が言ったのでしょう。驚かないでちょうだい。…………隣、失礼するわ。」
親友「……貴方も私の親友として、意見があるということに驚いたわ。ただ私に流されて、望まぬ“親友”を演じているだけだと思っていたから。」
親友「だから…………今年だけよ。来年は、私の意見に従ってもらう。覚悟しておくことね。」
親友「…………来年の話をすると鬼が笑う…?…………。…………調子に乗らないでちょうだい。不愉快だわ。」
親友「それより、一緒に過ごす以上飲み物や茶菓子くらいは用意してあるのでしょうね。……そう。それならいいわ。」
親友「それでは、今から親友らしい元日を過ごしましょう。……………なに?まだなにかあるの?」
親友「……………ええ。今年もどうぞ、よろしく。」
親友「貴方の見るテレビ番組のことよ。バラエティ番組だらけで……馬鹿馬鹿しいわね。」
親友「おかけでこちらはひとつも楽しくないわ。こんなことなら、貴方の意見など聞かなければよかった。」
親友「…………。」
親友「……その通りね。貴方と一緒に過ごせるなら、なにをしていようがどこにいようがそれは些細な問題よ。」
親友「とはいえ……面白くないものは、面白くないわ。」
親友「……普段家でしていること?…………そうね。勉強か読書か……それか、貴方のことよ、○○。」
親友「当然よ。貴方は私の親友なのだから、私にとって……いえ、貴方と私にとってお互いはなにより優先されるべきことよ。だから、貴方のことを考え、計画し、準備を進めることはなんらおかしなことではないわ。」
親友「…………なにか、おかしなことでも言ったかしら。」
親友「……そう。それならその表情をやめなさい。不愉快極まるわ。」
2019年のうちで印象深かった子を書こうと思ったらこの子がでてきた
別に懇親の出来ってわけでもないけどなんか心に残ってた
親友「ええ。一刻もはやくこのだらけきった雰囲気から脱したいから。」
親友「……別に、太陽の光が好きなわけではないわ。ただ、元旦ですもの。新年の初日の出を見ることはとてもお正月らしいことだと思うわ。」
親友「……貴方も一緒に見るのよ。勝手に寝ても叩き起すからそのつもりでいなさい。」
親友「一年のうちのあらゆる行事やイベントは、貴方と共に過ごさなければ意味はない。貴方も私の親友なら、その意識と覚悟は持ちなさい。」
親友「貴方は私の親友であることを、放棄することはできない。前にも、そう伝えたはずよ。」
親友「…………分かっているのなら、いいわ。」
親友「…………。」
親友「…………寝たら、手段を問わずに起こす。怪我したくないのなら、朝まで意識を保ち続けなさい。」
親友「ここにいたいと言い出したのは、他でもない貴方なのだから。」
親友「いくら貴方が私を嫌おうと、貴方が私を拒むことは許さないし、出来ないわ。」
親友「貴方は私の親友ですもの。貴方が私から離れれば、私はそれだけ貴方に近づいてゆく。私たちの距離は、保たれ続ける。」
親友「……新年だからといって、何かを期待していても、それは叶わないことよ。私は貴方の親友であり続ける。私は、貴方を私の親友であり続けさせる。私はそう誓ったのだから。」
親友「叶わない希望は抱くだけ無駄よ。徒労感や絶望感に苛まれるだけ。貴方は貴方の背負った罪を降ろすことは出来ない。それだけは、この私が許さない。」
親友「…………大人しく、していなさい。そうすれば悪いようにはしないから。無為に傷つくような真似は、貴方もしたくはないでしょう。」
嫌っても絶対離してくれないんだよね…
親友「早い時間に来て正解だったわね。まだ人もまばらだから、今のうちにお参りを済ませてしまいましょう。」
親友「……どこへ行くの。まずはお手水で手を清めるのよ。常識でしょう。まったく…………いい?こうして、手本の通りにやるのよ。」
親友「それじゃあ、気を取り直してお参りしましょうか。言っておくけれど、二礼二拍手一礼だからね。間違えないようにしなさい。」
親友「……。……………。…………。」
親友「…………私は、今年も貴方と親友らしい生活が出来るように祈ったわ。貴方は?」
親友「…………馬鹿馬鹿しい。聞いた私が愚かだったわ。」
親友「それじゃあ……次はおみくじでも引きましょうか。互いにおみくじの結果を見せ合う……これも親友同士の行動としては欠かせないもののひとつよ。」
親友「では、私は19番を。……………吉、か。まずまずといったところかしらね。貴方は?」
親友「末吉?…………いつまで経ってもうだつの上がらない貴方らしい結果ね。ふふ。」
親友「もう少し詳しく見ましょうか。…………私の?……ほら、好きなだけ見なさい。」
親友「……貴方はそういうのばかり気にするのね。ええと…………「恋愛:かなう」「待ち人:来る」…………私にはあまり関係のないことね。」
親友「貴方のほうはどうなの?……「恋愛:身近な異性」「待ち人:遠からず来る」……。」
親友「…………その目……未だかつてないほど不愉快だわ…。鳥肌が立つ。しばらくこちらを見ないでもらえるかしら。気色の悪い。」
辛辣ゥー!
でも恋人作ったり告白されてるの見たりしたら激しく嫉妬するやつね
親友「…………いつまでも来ないと思ったら、こんなところで油を売っていたのね。」
親友「帰るわよ。親友である私を待たせるだなんて……貴方、私の親友である自覚があるのかしら?」
親友「……ああ、隣のクラスの坂本さん……だったかしら。もう彼への用は済んだ?それならもう帰らせてもらうけれど。さ、行くわよ。」
親友「…………まだなにか?初めに言っておくけれど、彼に恋人なんて作る余裕はないわ。諦めて他の男を探したほうがいいわよ。」
親友「何故、って…………彼は、私の親友としての時間を過ごすので手一杯なの。だから、悪いけれど貴方の介入出来る余地はないと思うわ。残念だけれど。」
親友「…………へぇ……随分な口の利き方をするのね。関係ない……か。…………でも、本当にそうかしら。」
親友「貴方が彼のことをどんな男と思い込み、どれだけ信用しているのかは知らないけれど、彼にとっては貴方よりも私の方が大切な存在よ。」
親友「つまり貴方は、親友にすら劣る女というわけ。疑っているのなら彼に直接聞いてごらんなさい。自分と私の、どちらが優先されるか。」
親友「…………当然ね。さあ、もう分かったでしょう。それでは失礼するわね。坂本さん、また明日。」
~~~~~~~~~~~~~
親友「……………。」
親友「……なにかしら。用がないのなら話しかけないでちょうだい。」
親友「どうして謝るの?貴方はなにか、私に謝るようなことをしたのかしら?」
親友「…………勘違いしないで欲しいのだけれど、私は貴方の親友よ。それ以上にも、それ以下にもなり得ない。」
親友「それに、私はなにも恋人になるなとは一言も言っていないわ。ただ、恋人らしい時間は期待できないであろうことを伝えたかっただけ。それだけよ。」
親友「ただ……不愉快ね。貴方にまだ、自分に彼女が出来るなどという甘い考えがあるということが。」
親友「私は貴方にとって何よりも優先されるべき存在。そしてそれは逆も然り。それが“親友”と呼ばれる存在よ。それを蔑ろにするような因子がまだ貴方の脳内に残っているのは……とても危険ね。」
親友「……また、もう一度貴方の罪の重さを理解させてあげた方がいいのかしら…?…………人を殺したお前の背には、決して消えぬ十字架があるということを…。」
目に見えてふきげん
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コメント一覧 (2)
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