アメリカ・マサチューセッツ州トーントン川の岸辺で発見された40トンの岩石には、いまだ解読不能の文字のような、線画のようなペトログリフ(線刻)が刻印されている。
1680年、にイギリス人入植者が初めてこの岩石を世に紹介して以来、300年近くに渡り、多くの人がその起源や意味を推測・解読しようとしてきたが、今だ謎に包まれている。
スポンサードリンク
ダイトン・ロックが世に知られるようになるまで
1680年秋、ハーバード大学で学位を取ったばかりのイギリス人牧師であり入植者のジョン・ダンフォースは、マサチューセッツ州南岸のトーントンに立ち寄り、文字か記号らしきものが描かれたダイトン・ロックを調べた。
この岩は300年以上、ダイトンのトーントン川の中にあって、満潮のときには水没していた。
岩の重さは40トン、大きさは長さ3.3メートル、高さ1.5メートル。その表面に文字や記号のようなものがびっしり刻まれている。
ダンフォースは岩に記されたペトログリフの絵を描き写した。彼はこの刻印はアメリカ原住民の手によるものだと考えていた。
1680年にジョン・ダンフォースが描いたダイトン・ロックの記号
その後ダイトン・ロックは今日に至るまで、学者や考古学愛好家、ニューイングランドの先住民族を研究する学生、観光客を魅了してきた。
ダイトン・ロックは、1963年、コッファーダムの建設の為に移動され、ダイトンロック州立公園の博物館に保管された。
ダイトン・ロックの刻印をめぐる様々な説
ダイトンロックに刻まれた謎の刻印は、いったい何を意味するものなのか今だ不明だが、35以上のさまざまな説が生まれている。
聖職者で作家のコットン・マザーは、1689年に行った説教の中でこの岩をとりあげ、のちに「The wonderful works of God 」として出版、偉大なる神のこの優れた所業について語っている。
マザーは、岩に描かれているこれらの記号の詳細について「いつのものなのか、どうやって描かれたのか、今生きている者は誰もわからない」としながら、高貴なピューリタンがニューイングランド(アメリカ合衆国北東部の6州)にやってくる前、サタンに支配されたヨーロッパの探検家がここで朽ち果てた時、この記号を残したのではないかと予想した。
1767年、のちにエール大学の学長になるエズラ・スタイルズは、ダイトン・ロックに描かれた記号はフェニキア語だと断言した。地中海貿易で有名なフェニキア人たちが、北米にたどり着いて、名刺代わりにこの記号を残したのだというのだ。この説は、ヨーロッパでかなり受け入れられた。
そのほかにも、シベリアを経由してアメリカに渡ったアルメニア人が描いたものだという説、アメリカ先住民と日本や中国、その他のアジアの探検家と結びつけようとする説もある。
The Philosophy Chamber — Dighton Rock, an 18th-Century Enigma
1789年、ジョージ・ワシントンが、ニューイングランドを訪ねたときに、ダイトン・ロックの記号は先住民が残したものだと考えた。
ワシントンがヴァージニアで見ていた先住民の描いたものと似ていたからだという。建国の父が、先住民がなんらかのメッセージを残したとするダンフォースの最初の報告を支持したことになる。
1837年、デンマークの作家、カール・クリスチャン・ラフンが、40ページ以上に渡ってダイトン・ロックの分析について書いた『Antiquities Americanae』を出版すると、議論が再燃した。
ラフンは、この岩の記号はスカンディナビア人が描いたもので、"アイスランドの探検家トルフィンと彼の151人の探検隊が、この土地を所有していた"という意味だという。
ダイトン・ロックに関してそれはたくさんの研究がなされたが、同じ見方をする者は誰もいない。
1912年、エドモンド・バーク・デラバールが、新たな説を打ち出した。これは、ポルトガル人がアメリカを発見した証拠だという。
ブラウン大学の学者であるデラバールは、長年ダイトン・ロックの近くで夏を過ごし、描かれている記号の意味を解読しようと途方もない時間を過ごした。
その結果たどりついた説は、1502年にポルトガルから航海に出て、そのまま消息を絶った探検家のミゲル・コルテ・リアルが描いたものだというものだ。
デラバールによると、これらの記号の意味は"我、ミゲル・コルテ・リアル、1511年。この地にて、神の意思により、先住民の長となった"と読めるという。
2002年、ある学者がこの記号は中国語で、中国人がアメリカを発見した証拠だと主張した。だが今だその真相は明らかになっていない。
References:newenglandhistoricalsocietyなど/ written by konohazuku / edited by parumo
あわせて読みたい
古代の宇宙人を描いたものなのか?洞窟に残された謎の生命体が記された5つの壁画
アリに敬意を抱いていたアメリカ先住民、ホピ族が信仰するアントピープルの伝説
1600年前の鉛のタブレットに記された呪いの言葉
完全に一致なのか?火星の岩に古代ペトログリフの彫刻ようなものが(NASA撮影)
更なる恐怖があなたを襲う。世界7つの未解決ミステリー
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
いいね!しよう
カラパイアの最新記事をお届けします
「知る」カテゴリの最新記事
「歴史・文化」カテゴリの最新記事
この記事をシェア :
人気記事
最新週間ランキング
1位 3193 points | がんばってるな、私も付き合おう。夜遅く仕事をしていたら猫が寝落ちした件 | |
2位 2032 points | 世界の列車の汽笛でパッヘルベルのカノンを!メリークリスマス! | |
3位 1979 points | 孤立した単調な生活は脳を縮小させる。南極調査隊員の脳の調査で明らかに | |
4位 1876 points | これはすごい!鳥の飛行軌跡を撮影したら大空を舞う巨大生物に変貌を遂げた | |
5位 1735 points | 施設の犬たちへのクリスマスプレゼント、好きなおもちゃを選ばせてみた。みんな違ってみんないい! |
スポンサードリンク
コメント
1. 匿名処理班
結局、解釈がみんな「うちがアメリカを見つけた」に収束するのがなんとも…
2. 匿名処理班
意外とジョー・ホエール君みたいに落書き大好きな子が書いただけかもしれないね。
3. 匿名処理班
現代人的な感覚で済まんが、
アルファベット的な文字が見えるのが、何か引っ掛かる
B、A、N、P、R、F、I、なんかは、
似ているというより、丸っきりアルファベットじゃん?と思う
4. 匿名処理班
(。・ω・)中国語って・・・中央に思いっきり「RFI」ってありますやん・・・
5. 匿名処理班
画像検索しても他に例がないようだし謎の深い遺物
ただ何となくユーモアさを感じる
6.
7. 匿名処理班
ただの落書き説
8. 匿名処理班
バイキングより古いかな?
アメリカ大陸に到達していたそうだし、彼らの活動場所から近いのでは。
それとラフンの絵、ぜんぜん違うものになってる。
9. 匿名処理班
>>"アイスランドの探検家トルフィンと彼の151人の探検隊が、この土地を所有していた"という意味だという。
ちょうどNHKでアニメやってたヴィンランド・サガだな
漫画原作は、最新話で、ちょうどヴィンランドへ移住する人達の募集をトルフィンがしてるところだ
10. 匿名処理班
::::::
: : :
11. 匿名処理班
芸術でしょうな。壁画的な。
12. 匿名処理班
結局何も分かってませんね....
13. 匿名処理班
※3 ※4
そもそも、RFI(NZ)とあるように見える写し紙は
動画の0:35あたりにある写真(なぜか反転してある)とは
線の引き方が結構別物な気がする。
写真の白線引きでは、到底アルファベットには見えない。
むしろ人が座っている真下あたり「山」っぽかったり。
中央あたりにある元の石の写真を見た感じ
線は浅く風化していて読み取り困難なようだし、
どこを人口的な彫り込みでどこを石本来の凹凸と見るか
人によってかなり恣意的になるんじゃないだろうか。
アルファベットっぽく写し取ったのは、
パレイドリア現象じゃないけど、欧米人の調査員が
円や線の組合せをアルファベットっぽいと感じ
それに引きずられちゃった結果って気がする。
14. 匿名処理班
先住民説に一票。
15. 匿名処理班
岐阜の位山にある巨大岩にもこれと似た線刻あるね。
やはり解読の手がかりがなくてもう研究すらされてないみたいだけど。
16. 匿名処理班
ガキの落書きでしょ