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宇宙でも、都会でも。驚くほど速くぶどうのように実るミニトマトが遺伝子編集で誕生(米研究) : カラパイア

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fotokostic/iStock

 トマトは栽培するには少々厄介な野菜だ。立ち枯れ病になりやすいし、たっぷりと日の光に当ててあげなければならない、倒れないよう支柱だって必要だ。美味しくて栄養たっぷりのトマトだが、育てるのは楽じゃない。

 そこである植物生物学者が考案したのは、遺伝子を編集することで、低木のようなしっかりした茎に、まるでぶとうのように実るミニトマトだ。しかも従来のミニトマトよりも短期間で収穫することができるという。

 このトマトなら栽培スペースが狭い宇宙船の中でも都市部でも栽培できるし、約40日間で収穫できるという。
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葉と花の成長バランスをコントロール


 アメリカ・コールド・スプリング・ハーバー研究所のザッカリー・リップマン氏によると、どんな顕花植物にも葉の成長を止め、花を咲かせるホルモンの情報が書かれた、普遍的な遺伝子システムが備わっているのだそうだ。

 自然界では、葉と花の成長期間はうまい具合にバランスが取れている。しかし、農家が主に関心を示すのは、野菜として食べられる葉っぱの部分を成長させる期間だろう。

 一方、花の成長だってやはり美味しい実と種を作り出す。リップマン氏らが花の成長期間を伸ばす研究をしていたのはそのためだ。そして、花の成長を速めるために編集しなければならない3つ目の遺伝子を発見した。

 3つ目というのは、花と実の成長を直接コントロールする遺伝子ならすでに2つ見つかっていたからだ。ただ、この2つを編集しただけでは求めたトマトはできなかった。そこで茎の長さをコントロールする第3の遺伝子が必要だったのだ。

 これらの遺伝子のスイッチを遺伝子編集ツール「CRISPR-Cas9」でオフにしてしまう。すると、40日未満で実を実らせる低木のようなミニトマトが誕生した。

 通常のミニトマトなら種まきから収穫まで約3.5か月かかると言われているから、その成長速度もかなり速い。

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3つの遺伝的突然変異を組み合わせ、適切に調整することで、コンパクトで花束のようなミニトマトが誕生した。遺伝子2つだけの編集では普通のトマトが短くなるだけ(左枠内)。3つを編集することで、ぶどうの房のような形状になる。
Cold Spring Harbor Laboratory

現代の環境に適合した作物作りが急務


 植物の遺伝子改変技術は歴史があり、数千年もの昔から営まれてきたことだ。

 人類は大昔から、突然変異によって普通よりたくさん収穫できたり、速く成長したりする作物を選別して育ててきた。また植物が自らの力で遺伝子組み換えた事例も報告されている。

 昔とは状況が激変している現代では、新しい環境や形状で育つ作物が必要とされている。それも可及的速やかに、だ。

 温室効果ガスを減らし、増加を続ける世界人口に食料を供給するためにも、すぐに収穫できる作物の開発が望まれており、遺伝子編集技術の出番となる。

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スペースの限られた宇宙や都市での栽培に最適


 リップマン氏らは、花束ミニトマトのことを「都市農業トマト」と呼んでいる。というのも、今回の研究は、スペースの限られた都市部であっても育てられる作物を作り出す研究の一環としてなされたものだからだ。

 高層ビルなど、都市の環境で育てるには、コンパクトかつ効率的で、縦に伸びて成長する作物でなければならない。

 今回の研究は、顕花植物に普遍的な遺伝子を利用しているため、さまざまな作物で応用できるという。

 現在アメリカの各地では垂直農業が成長産業とみなされているが、栽培されているのは葉物野菜だけで、トマトのような実の野菜が待ち望まれていた。
 
 またトマトは栄養価も高く、これからの今よりも暖かい気候でもきちんと成長してれるという点も考慮された。

 この研究は、NASAも注目しており、狭い宇宙船内でも栽培する作物の1つとして視野に入れているという。

 なお、一番気になるこのミニトマトの味はというと、一般的な普通のミニトマトと遜色のないおいしいトマトだそうだ。

References:cshl.edu / physなど/ written by hiroching / edited by parumo
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コメント

1

1. 匿名処理班

  • 2020年01月10日 18:32
  • ID:bN5rf8xS0 #

安全性は?食べても影響はないの?

2

2. 匿名処理班

  • 2020年01月10日 18:45
  • ID:jDAxGkfc0 #

トマトの遺伝子をいじってはいけない
アタック・オブ・ザ・キラートマトの悲劇を繰り返すな!

3

3. 匿名処理班

  • 2020年01月10日 19:00
  • ID:27STsx5Q0 #

成長速度みるに肥料ドカ食いしそうな品種だ……
プランターみたいなすぐに栄養を補充出来る環境ならすごく便利かもしれない

4

4. 匿名処理班

  • 2020年01月10日 19:07
  • ID:x77Ul.Jm0 #

急速成長のために土地から栄養を吸い尽くしそうで怖いな
適切な管理が必要になりそうな反面、栄養吸い尽くして雑草駆除に使えたりして

5

5. 匿名処理班

  • 2020年01月10日 19:22
  • ID:tMNoG.9v0 #

トマト好きな私にとっては朗報。これで美味しいトマトがたくさん実るなら嬉しい。

6

6. 匿名処理班

  • 2020年01月10日 19:39
  • ID:3pQqqCxG0 #

食べ残されたトマトが野生化して宇宙を埋め尽くす

7

7. 匿名処理班

  • 2020年01月10日 19:40
  • ID:yxnTbk240 #

トマトなら水耕栽培や人工照明でノウハウがあるし、将来有望かもしれないな
株単位で収穫適期を揃えられれば更に効率的になる

8

8. 匿名処理班

  • 2020年01月10日 19:43
  • ID:18OLcnP80 #

貨物港ターミナル端っこになってたミニトマト並に
食う気も起こさないぜ

9

9. 匿名処理班

  • 2020年01月10日 20:48
  • ID:EQT2l3OU0 #

食べたい

10

10. 匿名処理班

  • 2020年01月10日 20:55
  • ID:yWf.K.Hm0 #

早く一般人にも届くようにしてほしい。庭で育てたい。
いまは、スーパーで買ってほうがコスパ良いが、これなら!

11

11. 匿名処理班

  • 2020年01月10日 21:12
  • ID:8OcD3qcI0 #

鳥の卵胞みたいだな

12

12. 匿名処理班

  • 2020年01月10日 21:15
  • ID:gIL10r3o0 #

この遺伝子操作したミニトマトがミントやワルナスビに並ぶテロ兵器にならないといいが…

13

13. 匿名処理班

  • 2020年01月10日 21:33
  • ID:B3AX5R5F0 #

宇宙でも育つけど、味はスッペェッス!

●≡=

14

14. 匿名処理班

  • 2020年01月10日 21:47
  • ID:Q1nhX4sw0 #

古い人間故に安全性を先ず心配してしまうねえ。

15

15. 匿名処理班

  • 2020年01月10日 21:56
  • ID:hH0ECM6V0 #

トマトはケチャップとミートソース以外はまっっったく食べれない私にとっては鳥肌ものだなぁ。

16

16. 匿名処理班

  • 2020年01月10日 22:16
  • ID:2pPFRAsZ0 #

こういう植物を持ち込んでくる怖い宇宙人の話あるよな

17

17. 匿名処理班

  • 2020年01月10日 22:19
  • ID:.Dw3gW0A0 #

茎の成長が、とまっと

18

18. 匿名処理班

  • 2020年01月10日 22:19
  • ID:fkbEZOJK0 #

宇宙でフレッシュなトマトが食べれたら嬉しいだろうな。
でも宇宙線浴びてさらに変異した化け物トマトが乗員を食い尽くして、、、てなことにはならないか。

19

19. 匿名処理班

  • 2020年01月10日 22:20
  • ID:FQyltlkJ0 #

カテゴリーとしては遺伝子組み換え食品だから市場に出回るには、かなり先だろう。
栄養価が優秀なゴールデンライスとかも規制されて未だに広まっていない、人工的に手が加えられた食品を人が何世代に渡って摂取しても何ら問題が無い事を証明するには、実際に人が食べて100年単位での検証が必要となる。
短期間の動物実験だけでは安全性の証明はできないのは理解できる。
食べるか否かが Dead or Alive の状況にならなければ食べるって選択肢を認める状況には成り難い。(他に食べる為の選択しがあるのだから)

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