女店員「ご試食いかがですか?」男「君を……試食したいな」ニチャア
- 2020年01月17日 22:10
- SS、神話・民話・不思議な話
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女店員「いらっしゃいませー!」
女店員「こちらのウインナー、おいしいですよー!」
男「……」
女店員「あ、ご試食いかがですか? おいしいですよ!」
男「君を……試食したいな」ニチャア
女店員「私を……ですか?」
男「どうかな?」
女店員「それじゃ……閉店後にいかがですか?」
男「待ってるよ」
女店員「お待たせしました」
男「じゃあさっそく試食させてもらおうかな」
女店員「えっ……」
男「ヒヒヒヒヒ……」メキメキメキ…
男の体はみるみる肥大化・硬質化し、手足には鋭い爪が生え、特に口の大きさは――
男「さあ、試食してあげるよぉぉぉぉぉ!!!」
男「!?」
女店員「まずは……四肢を砕く!」
ドンッ! ドンッ! ドンッ! ドンッ!
男「ギャアアアアアアアッ!」
男(銃だと……!? しかも改造してある……!)
銃口を口の中にねじ込む。
男「まさか……お前……ハンター……か……!?」
女店員「そうよ」
ドウッ!
遺影に手を合わせる。
女店員「お父さん、お母さん、兄さん……」
女店員「今日もまた一匹、あなたたちを喰らった“人喰らい”を倒したわ……」
女店員「だけど、私たちの戦いは終わらない……」
女店員「“人喰らい”を絶滅させるまで……」
店長「今日はセールの日ですので、お客さんがたくさん来ると思います。はりきって参りましょう」
店長「今日も一日よろしくお願いします!」
角刈り「おうっ!」
おばちゃん「あいよ!」
女店員「はい」
清掃員「……はい」
主婦「これ、さばいてくれる?」
角刈り「任せて下せえ!」
主婦「自分でやると大変だからありがたいわぁ~」
角刈り「へへへ、喜んでもらえて嬉しいですぜ」ザクザクッ
女店員(角刈りさんの包丁さばきはすごいなぁ。私も見習わなくっちゃ)
おばちゃん「これも」ペタッ
おばちゃん「これも」ペタッ
女店員「あの、ちょっとシール貼りすぎじゃありません? まだ昼間ですよ?」
おばちゃん「あたしゃ半額シールを貼るのが大好きだからいいんだよ!」
女店員「だけど利益が出ませんよ?」
おばちゃん「利益なんてクソ喰らえさ! アッハッハッハッハ!」
女店員「まったくもう……」
清掃員「……」キュッキュッ
清掃員「……」ゴシゴシ
女店員「わぁっ、キレイ! どうもありがとう!」
清掃員「……いえ」
女店員(清掃員君は無口だけど、きっちり自分の仕事をして、頼りになるわ……)
女店員「ご試食……」
チンピラ「試食してぇなぁ」ヌッ
女店員「お一つどうぞ」
チンピラ「ただし……アンタをだ」
女店員「分かりました……じゃあ閉店後にお会いしましょう」
女店員(こいつも……“人喰らい”ね)
チンピラ「ヒャッハァァァァァ!!!」メキメキメキ…
チンピラ「食ってやる! 食ってやるぜェ!」ブオンッ
ドゴォッ!
右拳が女店員の腹部を直撃する。
ドザァッ…
チンピラ「くたばりやがった。あとは死体を喰らうだけ――」ジュルリ
女店員「ふぅ……」ムクッ
チンピラ「なにっ!? 生きてるだと!?」
チンピラ(こいつ、殴られる寸前に自分から後ろに飛んで衝撃を殺しやがった!)
チンピラ「ンだとォ!」
チンピラ「だったらァ……」メキメキ…
両腕が刃のような形態に変化する。
チンピラ「切り裂いてやるぜェ!」
ビュオンッ!
チンピラ「……消えた!?」
ドンッ! ドンッ! ドンッ! ドンッ!
チンピラ「ガァッ!?」
チンピラ(両手足の関節部分を……! 動けな……!)ガクン
女店員「……トドメよ」
ドウッ!
口の中に弾丸をブチ込む。
コソッ…
部下「このところ、我らの同胞が何人も消されているが……」
部下「なるほど……あの女の仕業だったというわけか」
部下「ボスにお知らせせねば!」
ボス「何者だ?」
部下「あの女、普段はスーパーの店員を装っていますが、正体は紛れもないハンターです」
部下「体に“人喰らい”を呼び寄せるフェロモンをまとい、我らをおびき寄せ」
部下「ひとりひとり始末していたのでしょう」
ボス「そういうことだったか」
ボス「ハンターが現れたとあらば、そんな回りくどい手段を取る必要もあるまい」
ボス「私の縄張りであるこの地域の配下を全て集め、そのハンターを始末する!」
ボス「今までに殺された同胞の復讐も兼ねてなァ……」
部下「はっ!」
店長「さあいらっしゃいませー! いらっしゃいませー!」
店長「安いよ安いよー!」
ウイーン…
店長「いらっしゃ……」
ゾロゾロ…
ボス「どけ」ドンッ
店長「うわっ!」
ボス率いる集団が、店内に突き進んでいく。
ボス「なるほど、たしかに試食したくなる匂いを発しているな」クンクン
ボス「そうやって、我らを罠にかけてきたというわけだ」
女店員「なんのことでしょう?」
ボス「とぼけるな。すでに貴様がハンターだということは分かっている」
ボス「だからこうして、手勢を全て率いてやってきたというわけだ」
女店員「全員で私にかかってこようってわけ? いいわよ、受けて立つわ」
ボス「全員で貴様一人を? ほざくな、小娘」
女店員「え?」
ボス「今から始まるのは戦いなどではなく、楽しい楽しい食事会だ」
ボス「つまり、獲物はこのスーパーにいる“全員”だということだ」
女店員「なんですって!?」
ボス「全員、正体を明かせ! スーパーにいる者全て喰らい尽くせ!」
部下「はい」メキメキ…
メキメキ… メキメキ… ビキビキ…
女店員「や、やめなさいっ!」
部下「同胞を殺された恨みだ。みんなたっぷり食べろ」
人喰らいA「こうやって大っぴらに暴れるのも久しぶりだぜ!」
人喰らいB「どいつから喰ってやろうかなぁ……?」キョロキョロ
ワァァァァ… キャァァァ… ヒィィィィ…
逃げまどう客たち。
部下「……ん?」
角刈り「う、ううう……!」
部下「お前は逃げないのか。いや……恐怖で動けなくなってるだけか」
部下「まずお前からいただこうか!」クパァッ
部下「……え?」
角刈り「へっ、魚よりも斬りがいがないぜ」チャキッ
部下「な、なんで……」グラ…
ドチャッ…
ボス「なんだと!?」
ボス(まさか……あの角刈りもハンター!?)
人喰らいA「なにを貼り付けやがった、ババア!」
おばちゃん「半額シールさ」
おばちゃん「これであんたの寿命も半減ってわけだねえ~、ひっひっひ」
人喰らいA「ボケてやがるのかババア……!」
人喰らいA「食いではなさそうだが、てめえから喰ってやる!」クパァッ
ガシッ!
人喰らいA「……!?」
人喰らいA(首を……掴まれて……ッ!)
おばちゃん「ふんっ!」グイッ
ゴキィッ!
人喰らいA「ぐぶっ……」ドサッ
おばちゃん「おやおや、半減どころじゃすまなかったねえ。全部なくなっちまった」
角刈り「“人喰らい”を素手でハントするハンターなんて、おばちゃんぐらいのもんだぜ」
おばちゃん「あたしゃ、どうも武器(どうぐ)が苦手でねえ」
清掃員「……」
清掃員「お前を掃除する」ヒュルルルルルッ
人喰らいB「そのモップでか? 笑わせんなァ!」
清掃員「……」ジャキンッ
人喰らいB(え、モップに刃物が仕込んで――)
人喰らいB「あ、がが……」
モップは“人喰らい”の口から脳髄まで貫いていた。
ドサッ…
清掃員「……」ヒュンッ
角刈り「ヒュ~、相変わらずすげえ突きだぜ」
おばちゃん「さて、残りのザコもとっとと片付けちまおうかねえ」
清掃員「……うん」
ボス「な……どういうことだ、これは!?」
ボス「なんでスーパーにハンターがこんなにいるんだ……!?」
女店員「まだ分からないの?」
女店員「スーパーマーケットってのは仮の姿……」
女店員「ここはあんたたち“人喰らい”をおびき寄せ、一網打尽にするための場所……」
女店員「いわば、“人喰らいホイホイ”なのよ」
ボス「……!」
店長「お客さんは全員安全な場所まで避難させたよ」
店長「さ、思う存分やりなさい」
女店員「はいっ!」
ボス「ならば、私一人で貴様らを全滅させるまで!」メキメキ…
ボスも“人喰らい”としての本性を現す。
女店員「……!」
女店員(こいつ……今まで倒してきた相手とは違う!)
女店員(落ち着いて……セオリー通り、四肢を!)チャッ
ドウッ! ドウッ!
ボス「……」キキンッ
女店員(効かない!?)
ボス「装甲に優れた“上級人喰らい”なのだからなァ!」
ボス「ガアッ!」ブオンッ
バキィッ!
女店員「きゃあっ!」
ドガァンッ!
棚に叩きつけられる。
女店員「う、うぐ……」
ボス「クックック……お望み通り、頭から試食してくれるわ!」
ドドドウッ!
連射で、ボスの右脚が破壊される。
ボス「グアアアアッ!?」ガクッ
店長「“上級人喰らい”の装甲は確かに厚いが、全く同じ箇所に銃弾をブチ込めば、貫くことは可能だ」
女店員「店長……!」
角刈り「すげえ……“上級”は俺らでも手こずるってのによ」
おばちゃん「さすがあたしたちの上司だねえ」
清掃員「……」ゴクリ
店長「あれくらい一人で倒せるようになってもらわんと、先が思いやられるぞ」
女店員「は、はいっ!」
ボス「グ……!」ヨロヨロ…
ボス「グオオオオオオオオオッ!!!」
負傷にもかかわらず、ボスが猛スピードで突撃する。
キィンッ!
女店員(やはり硬い! だけど、店長のように――)
ドンッ! ドンッ! ドンッ!
ボス「ギッ!」
同じ箇所に弾丸を命中させる。
女店員「もう一発!」ドウッ!
ボシュッ!
ボス「ガッ!?」
ボス「ギャアアアアアアアアッ……!」ボシュゥゥゥゥゥゥ…
女店員「ありがとうございます!」
角刈り「ハンターとして、だいぶ成長してきたな!」
おばちゃん「昔のあたしを見ているようだよ」
清掃員「……グッジョブ」
女店員「みんなも……ありがとう」
女店員(皆がやりたいフェロモンを身にまとう役を、一番経験の浅い私にやらせてくれたし……)
店長「よって、このスーパーも閉店する」
女店員「分かりました」
おばちゃん「せっかくこの地域にも馴染んできたのに、残念だねえ」
角刈り「ま、しかたねえさ。一ヶ所に留まることはできねえ。これが俺たちの仕事だ」
清掃員「……」
店長「というわけで、今夜はパーッと飲みに行こう! もちろん私のおごりだ!」
角刈り「おっしゃあ!」
おばちゃん「うふふふ、朝まで飲むよ~!」
清掃員「……嘔吐厳禁」
女店員(“人喰らい”がいる限り、“私たち”ハンターの戦いは終わらない)
女店員(だけど大丈夫! 私にはこんなにも頼もしい仲間たちがいるんだから……!)
― 完 ―
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