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細菌感染を感知すると色が変化し、治療してくれるスマート包帯が開発される : カラパイア

iStock-937697882
Stockcrafter

 抗生物質耐性菌は人類にとっての脅威となっている。耐性を身に着けた菌は抗生物質が効かなくなるため、感染症が治りにくくなるのだ。

 人類は耐性菌との終わりなき戦いを強いられているが、そんな中、画期的でカラフルな武器が戦場に現れた。

 それは傷口に潜む細菌の危険度に応じて色が変化するスマート包帯で、色に応じて治療に必要な薬剤を投与してくれる。

 これにより、治療はもちろん、感染拡大を抑えることができるという。
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細菌の危険度に応じて信号機のように色が変化


 中国科学院の研究グループが開発した素材は、細菌感染が作り出す酸性微環境に接触すると青から黄色や赤へと変色する。そう、まるで信号機のようにだ。

 もちろん「青」なら細菌はほぼなし、安全だ。これが「黄色」なら細菌がいるという意味で、包帯に仕込まれていた抗生物質が染み出して、自動的に殺菌してくれる。

 ところが、感染した細菌が薬剤耐性菌の場合、それが出す酵素に反応して、今度は「赤」に変色する。

 抗生物質耐性菌に抗生物質はなかなか効果を発揮しない。そこで赤になったら光を当てるのだ。包帯には活性酸素種が仕込まれており、これが光に反応して耐性菌を弱らせる。かくして抗生物質は十分効果を発揮するようになる。

 マウスを使った実験では、普通の大腸菌と薬剤耐性のある大腸菌の感染をどちらも治療することに成功したとのことだ。

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ACS Central Science 2020

抗生物質耐性菌対策として


 抗生物質の乱用によって生じる薬剤耐性菌は世界中で大問題となっている。
 
 だからこそ、感染を検出し、その薬剤耐性をチェックすることは、最適な治療法を決める上でとても大切であると研究グループは話す。しかし、それには専門的な人材や高価な機器が必要になる。

 だが、このスマート包帯ならばそのような専門的な人や機器は必要ないし、持ち運びも簡単なので、さまざまな地域で使うことができる。

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wildpixel/iStock

医師の診察がなくても包帯を巻いておくだけで治療できる


 このスマート包帯なら、何度も病院に通うことなく、包帯を巻いておくだけで適切な薬剤が使用され、早いうちに感染が悪化する危険の芽を摘むことができる。

 また医師も、包帯の色を見れば、患者は感染の状態がどうなっているのかリアルタイムで知ることができる。こうしたメリットがもたらす可能性はきわめて大きいだろう。

 たかが包帯と侮ることなかれだ。技術の進歩により近年いくつか大きな進歩が見られている。

 たとえば、細菌を吸い寄せ、傷の治りを早くするナノファイバーメッシュや、細菌の増殖を抑え、感染のリスクを低める火傷用包帯といったものがあり、ただの布切れに思えてなかなか奥深い世界だったりするのだ。

 この研究は『ACS Central Science』(1月29日付)に掲載された。

References:eurekalert/ written by hiroching / edited by parumo
追記:(2020/02/09)本文を一部訂正して再送します。
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コメント

1

1. 匿名処理班

  • 2020年02月09日 17:08
  • ID:tdu6f7dS0 #

包帯を巻くような箇所は感染症がない方がいいに決まっているんだから
色なんて変わらなくとも、長期間の殺菌効果がある物で良いのでは?
それに包帯はこまめに取り替える物だし

使用前に使って大丈夫かどうかの判別には使えそうだけどさ

2

2.

  • 2020年02月09日 17:10
  • ID:H.Agm6JL0 #
3

3. 匿名処理班

  • 2020年02月09日 17:14
  • ID:.nI5qTrw0 #

この包帯を俺の右腕に巻いて
「パターン赤 ! 抗生物質耐性菌を確認ッ ! 活性酸素種、発動ッ ! 」
とかできるわけだな。

4

4. 匿名処理班

  • 2020年02月09日 17:22
  • ID:H.Agm6JL0 #

運動したり汗かいただけで赤くなるんじゃない?
それ以上の酸性環境じゃないと赤くならないレベルだったら
もう皮膚がヒリヒリ痛くて分かると思うけど

5

5.

  • 2020年02月09日 17:34
  • ID:iqxMshdu0 #
6

6. 匿名処理班

  • 2020年02月09日 17:48
  • ID:jb5.Lpzh0 #

包帯にしみ込ませる抗生物質は何系なんだろうね?
ってか、力価を維持したまま包帯にしみ込ませるだけでもすごいのに
他にもいろいろと効能があるとか驚異的ですね

7

7. 匿名処理班

  • 2020年02月09日 19:14
  • ID:iOmSTgGA0 #

どっかのSFアニメで見たわ。
そんなよーな包帯というか貼るだけで治っちゃうテーピングみたいなやつ

8

8.

  • 2020年02月09日 19:35
  • ID:SpnflDx70 #
9

9. 匿名処理班

  • 2020年02月09日 19:45
  • ID:ugyuY6sS0 #

ほう、たいしたものだな

10

10. 匿名処理班

  • 2020年02月09日 19:57
  • ID:vH098.zx0 #

自分の性格を考えると、実際色が変化して細菌の存在を実感したら気になって何も手に付かなくなりそう

11

11. 匿名処理班

  • 2020年02月09日 20:21
  • ID:eqMz2LdB0 #

※1 もう一度よく記事を読もう。耐性菌が発生していたら特別な処置が必要で、この包帯は菌にあわせて治療方法が選択できるということ。まめに包帯を変えられないような貼ってtン途上国向けに期待されていることなどが書いてある。

12

12. 匿名処理班

  • 2020年02月09日 20:26
  • ID:eEhgrTQe0 #

※11
ごめん貼ってtンで笑った

13

13. 匿名処理班

  • 2020年02月09日 22:18
  • ID:A1.XHhmq0 #

抗生物質を乱用して耐性菌を次から次へと産み出した国が作ったのか。たぶんすぐに真っ赤に染まるんじゃないかな?
後、緑膿菌に対しては妙な誤解も生まれそう。あれに感染して膿が出ると本当に緑に染まるからね。

14

14. 匿名処理班

  • 2020年02月09日 23:00
  • ID:9mNL3mWG0 #

※10
包帯も手に付かないってかw

15

15. 匿名処理班

  • 2020年02月09日 23:41
  • ID:4kGlix3A0 #

画期的なんだけど、だいたい先進国では内服の抗生物質の方が問題なんだよね。けど途上国や内戦(紛争)国なんかの外傷が多そうなとこでは有り難いかもね。

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