約110年前にニューヨークで撮影された映像が、AI技術によりカラー化され復活した。。その出来栄えは驚くべきものだ。
この映像はもともと、1911年、スウェーデンの製作会社Svenska Biografteaternが、アメリカを訪れた際、ニューヨークの様子をフィルムにおさめたものだ。
スポンサードリンク
1911年の臨場感あふれるニューヨークの様子
[4k, 60 fps] A Trip Through New York City in 1911
この動画は、ニューラルネットワーク(脳の神経回路をモデル化した分散情報処理システム)を使って画質を高めカラー化したものである。
色をつけただけでなく、フィルムスピードを毎秒60フレームに速めて、画像の解像度を4Kに上げ、よりシャープな映像を復活させた。
古いモノクロ写真をAIで自動的に着色してくれるDeOldifyを使って色を加えた。
これは、プラットフォームGitHubで利用可能なオープンソースのAIツールで、AIアルゴリズムの一種である敵対的生成ネットワーク(Generative Adversarial Networks=GAN)を使用して、動画や画像を修正する。generatorとcriticというふたつのニューラルネットワークを使っている。
「カラー化されるモデルが次のモデルcriticを取り込んでいくよう学習させることから始まります。criticがカラー化を評価し、それをgeneratorに教えて、より解像度の高い画像を生み出していくというプロセスが基本です」クリエーターのジェイソン・アンティックは言う。
「criticモデルもまたニューラルネットワークなので、単純な方法ではできない"本物"らしさを生み出すニュアンスをたくさん理解することができるのです」
AI技術で復元されるかこの映像
昨今、AIで復元された昔の映像がもてはやされている。今年始め、リュミエール兄弟が撮影した1896年の「ラ・シオタ駅に到着する列車」という映像が復元された。
列車が駅に到着する場面は、とくにスリリングなものではないが、オリジナルのこの映像が初めて公開されたとき、観客は驚いてのけぞったらしい。
The first video in history, and people's reaction to it
初めてこれを見た人々は、パニックになって、列車に轢かれないよう映画館から逃げ出したという逸話すらある。実際に観客が映画館から逃げ出した証拠はないが、だが、もし当時の人々が、以下のカラー化復元されたバージョンを見たら、本当に逃げ出したかもしれない。
リマスターされたカラー映像
[DeOldified] Arrival of a Train at La Ciotat (The Lumiere Brothers, 1896)
他にもかつての歴史的映像が次々とリマスターされている。
マーティン・ルーサー・キングの演説
DeOldify Colorization Experiment: Martin Luther King - I Have A Dream Speech [HD]
映画『メトロポリス』
Metropolis (1927) - DeOldify Restoration Demo. Based on Deep Learning
written by konohazuku / edited by parumo
あわせて読みたい
4Kで鮮明に蘇る、ワム!のラストクリスマスのミュージックビデオのリマスターバージョン
脳が騙される案件。モノクロ写真がカラー写真に見えてしまう錯視
HDフルカラーで見る、敗戦直後のドイツ・ベルリンの風景(1945年7月
あのダンシング・ベイビーが20年の時を経て高精細度(HD)になって帰ってきた
バーガーキングがAI(人工知能)に脚本を書かせたCMを公開。キングの扱いが残念なことに...
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
いいね!しよう
カラパイアの最新記事をお届けします
「動画」カテゴリの最新記事
「歴史・文化」カテゴリの最新記事
この記事をシェア :
人気記事
最新週間ランキング
1位 3099 points | 猫の国トルコだもの。オーケストラのステージに迷い込んだ野良猫、演奏中もステージ中央に鎮座 | |
2位 2641 points | スミソニアン博物館、280万点以上の作品をデジタル化&無料ダウンロード可能に | |
3位 2110 points | 「おまわりさん、迷子になりました」自ら警察署に出頭した犬(アメリカ) | |
4位 1849 points | 雪に穴を掘り6匹の子犬を寒さから守ろうとした母犬(アメリカ) | |
5位 1557 points | 実年齢は59歳だが体は23歳。DNA研究で明らかとなった、老化が遅いスーパーエイジャーの存在(米研究) |
スポンサードリンク
コメント
1. 匿名処理班
こうやって文明は受け継がれてくんだね。強く生きてきてくれてありがとう、先人たち。
2. 匿名処理班
走行中の車体への環境光の写り込みまで考慮された着色すごい
3. 匿名処理班
しかしディープラーニングがこの辺の技術を発展させるとは思わなかったわ。やっぱディープラーニングって汎用性激高だな
4.
5. 匿名処理班
列車の映像に驚いて観客が逃げ出したという
逸話は有名で発明や技術の歴史を勉強した人なら
いろんなところで見かけたことがあると思うから
最低でも「驚いて立ち上がって叫んだ人がいた」
くらいまでは間違いのない事実だと思われる。
現代でもVRゴーグルを装着してビルから落ちる
映像を観て叫ぶオッサンの動画とかあるけど
ああいう感じだったんだと思うよ。
6. 匿名処理班
想像してたより違和感ないね〜。特に洋服とか帽子の色。
ご婦人方のお帽子素敵。
7. 匿名処理班
当時の男は、山高帽、カンカン帽、ハンチングをかぶっていたんだな。
8. 匿名処理班
議論が続く恐竜の色もこれで一発
9. 匿名処理班
将来的には通信速度が遅くて低解像度で色空間も狭い画像しか送れないような状況でも、
端末側で綺麗にして表示できるようになるだろうな。
10. 匿名処理班
っつかみんなスラッとしてるな
やっぱ移動手段と食生活か…
11. 匿名処理班
モノクロの動画は2018年4月の記事「1911年。100年以上前のニューヨークの街並みを撮影した貴重なモノクロ映像」にあるので見比べてみるのもいいですね。4K化とスピード調整はその時点でされているのでDeOldifyによるカラー化の具合がわかりやすいかも。
12. 匿名処理班
他のカラー化した物も見たけど、まだまだ伸び代が有りそうな技術だよな。
今後、ただカラー化させるだけだ無くて、動きとかも調整出来て、モヤモヤ
した画質も今の映像と遜色ない位まで再現できそう。
そして、AIとかで音声も再現出来て・・・。
13. 匿名処理班
コンピュータで扱う資料としての『画像』そのものの信用性が問われる時代がもうすぐ来る
熟達した人なら現代でもごく自然に見えるように加工、合成、改ざんできるけど
これが知識が無くてもオートでできる機能が更に高性能化したらあらゆる事が可能になる
14. 匿名処理班
ゴッドファーザー2やん
15. 匿名処理班
男性の乳首透けについての議論をする時に「男性はシャツが下着のようなもので、上着か少なくともベスト着用が常識だった」と聞くけど、確かにほとんどの成人男性が上着を着てるね。女性の帽子のデカさも目立つんだが、あれも一種のエチケットなのか、ただのオシャレなのか、どっちなんだろう。
16. 匿名処理班
車のハンドル位置が右だけど
これ映像が左右反転してね?
17. 匿名処理班
なんつうか、イメージ通りの「古き良きアメリカ」って感じだな
18. 匿名処理班
※8
人工知能「あ、これジュラシックパークにいたやつだ!じゃあ赤だな!」
19. 匿名処理班
古き良き時代のノスタルジック、というやつかな。何か好きだこういう映像。
やっぱり当時は、列車に乗って旅をするというのは、ちょっとした非日常なイベントだったんだろうな。今だったら国際線の飛行機で、遠い海外へ旅行に行くみたいな。
乗客の皆さん、紳士淑女なファッションでキメキメにしてるもんな。
20. 匿名処理班
※8
相対的に明度差がわかるような画像さえないからなぁ
当時の大気組成から空気こんな色かなぁとか予想は出来るけど
なんだかんだこっちは写真や映像があるからねえ
21. 匿名処理班
服の柄については日本のほうがおしゃれだったのでは?
日本ではこの当時でも矢絣や絣をはじめ多種多様な柄を楽しんでいたと思うけど
22. 匿名処理班
カラー化&高画質化された映像がなんだか70年代の動画のような雰囲気あって良いなぁ、なんて
23. 匿名処理班
白黒写真の時代でも、現実の世の中はカラーだったというのは、
当たり前なんだけど、すごく不思議な感じがする。
白黒の時代でも、人々は我々と同じ色を見ていたんだよね。
24. 匿名処理班
この映像に映ってる人々の99%が既に亡くなってるって考えるとすごく悲しく虚しくなる
25. 匿名処理班
1911年だとまだギリ明治だねぇ
26. 匿名処理班
O・ヘンリの小説の世界みたい!
27. 匿名処理班
服装がオシャレだな。
2120年の人々が今の日本を観たらどう思うかな?
28. 匿名処理班
※20
写真は無くとも壁画くらいは残ってないのかな
29. 匿名処理班
我々もすぐに「100年前に亡くなった人々」になってるよ。