男「デスゲームでよりよい人生を」
茶髪「だけど、どうしてもやる気が起こらないんだよな」
女「ねー」
男「俺たちずっと、こんな感じでダラダラした人生を送りそうだな」
茶髪「マジでそうなりそうだわ。ずっと低空飛行でいきそう」
女「何かきっかけがあればねー」
友「だったらボクがきっかけを作ろうか?」
男「どうやって?」
友「三人には今からデスゲームをしてもらう」
男「は……?」
友「ルールは……だらけたり落ちぶれた人生を送ったら君たちは死ぬ、ってのはどう?」
男「ああ、なるほど。そういうつもりで……ってことか」
茶髪「面白そうじゃん?」
女「やろうやろう!」
茶髪「たしかに。さすがにちょっとサボったぐらいで死ぬんじゃ、無理ゲーすぎる」
男「だよなぁ。バイトでもなんでも適度なサボりは絶対必要だし」
女「まあそこは友君の裁量に任せていんじゃない?」
男「そうだな。常識的な範囲で、“こいつの人生はダメだな”ってなったら死亡ってことで」
友「ん、了解!」
女「そうだね。一生デスゲームはさすがにねー」
男「じゃあ、きりよく30歳になるまでってのはどう?」
茶髪「いいんじゃね?」
女「私もそれでいいよ。30歳かぁ……私どうしてるだろ」
男「独身おばさんだったりして」
女「やだー!」
友「決まりだね。じゃあデスゲーム……開始(スタート)!」
男(いつもは授業中、グダグダと下らないこと考えてたりするけど……)
教師「えー、この問題は……」
男(今日はものすごく集中して授業を聞けてる)
男(なんたって、だらけたら死ぬんだからな)カリカリ
男(他の二人も似たような感じになってるようだ)
茶髪「……」カリカリ
女「……」カリカリ
茶髪「お、いいなぁ。分からないところ教え合おうぜ」
女「賛成!」
母「あんた、このところ熱心に勉強してるわね。やっと自分の将来について真剣に考え出したのね?」
男「なにしろデスゲームに参加してるからね」
母「デスゲーム……?」
男(志望大学入るために追い込みかけなきゃ!)
男(それに俺は……だらけたら死んじまうんだから!)
男(暗記して……過去問解いて……間違ったところは復習して……できる限りのことはやるんだ!)
…………
……
茶髪「まさか、三人とも志望大学に受かるなんてな」
女「これも友君がきっかけ作ってくれたからよ!」
友「よかったね、三人とも」
男「これからはみんなバラバラになっちゃうけど、精一杯人生楽しんでいこうな!」
茶髪「おう!」
女「そうだねー!」
男(三人とはすっかり疎遠になってしまったが、デスゲームのことはなんとなく頭の片隅に残っていた)
男(だから講義はサボらず――)
学生「次の講義は出席取らないし、教授がポンコツだし、サボろうぜ」
男「いや……俺は出るよ。一度取った講義はサボらないって決めてるんだ」
学生「マジで? お前真面目だな~」
男「次の部長は……俺がやりたいんだけど」
部員「お前ならきっちりやってくれそうだな。頼むよ!」
店長「どうかな? この日、出てもらえないかな?」
男「いいですよ」
店長「助かるよ~!」
面接官「あなたの強みを、一分程度でアピールして下さい」
男「はい、私は勉強もサークル活動もアルバイトも命がけでこなし……」
面接官「命がけとはすごいね……」
男(おかげで俺はそれなりの企業に就職することができた)
男「はい、任せて下さい!」
課長「今時の若者は仕事や出世よりプライベートを大切にする、なんていうが」
課長「君はよく働いてくれるねえ。こっちが心配になるぐらいだ」
男「……」
男「なにしろデスゲームやってますから!」
課長(デスゲーム……!?)
男(俺は会社で、運命的な女性と出会い――)
男「あの……これ」パカッ
同僚女「これは……指輪!」
男「必ず幸せにします! 結婚して下さい!」
同僚女「……はい!」
男(時は流れていった……)
……
男「行ってきまーす」
妻「今日は早く帰ってきてね」
男「え、どうして?」
男「あ、そっかぁ!」
男「俺ももう30か……。時が経つのは早いなぁ」
妻「まだそんなこというような年でもないでしょ」
男「それもそうか」
男「じゃ、なるべく早く帰ってくるよ!」
男(さいわい今日は残業せずに済んだ。きっと豪勢な食事用意して待ってるんだろうなぁ)
男「……ん」
友「やぁ」
男「?」
友「ボクのこと、覚えてない?」
男「……! お前、もしかして友か!?」
友「ああ、高校卒業以来かな?」
男「だよなぁ。お前全然変わってないなぁ。あの頃のまんまだ!」
男「変わってなさすぎて、逆に分からなかったよ!」
友「ああ、いいっていいって。分かってる。ボクの用件はすぐ終わるから」
男(? ってことは、ここで出会ったのは偶然じゃないってことか?)
友「ゲームクリアおめでとう!」
男「へ?」
友「覚えてない? デスゲームの期限、30歳になるまでだったろ?」
男「あ……!」
男「今、俺がこうして充実した人生を送れてるのも、あのデスゲームのおかげでもあるしな」
友「そっか! なら、よかった」
男「あれから十数年……色々あったなぁ」
男「あ、そうだ! そういや他の二人はどうしてるんだろ? 知ってる?」
友「死んだよ」
男「え?」
友「ボクが殺した」
男「は……?」
友「残念ながら、二人はゲームをクリアできなかったんだ」
友「茶髪は、大学入ったらすっかりだらけて、単位を落としまくって留年……」
友「だから殺した」
友「女はアパレル企業に就職はできたが、ホストにハマって借金まみれになって……」
友「だから殺した」
友「基準はかなり緩くしたつもりだったけど、残念だったよ」
男「な……!」
友「そうだよ」
男「ど、どうやって? 高校卒業してからは、みんなバラバラになってたのに……」
友「そりゃあ主催者だからね。それぐらいできて当然だろ?」
男「ってことは、ずっと俺のことも?」
友「ああ、高校卒業から今までずっと見てきた」
友「どんな授業を受けたか、どんなバイトしたか、どんな仕事してるか、全部知ってる」
友「今日、奥さんから“早く帰ってきて”っていわれてることもね」
男「だからどうやって……!」
男「……!」
友「それじゃ、これでデスゲームは終わりだけど、これからも人生しっかりね」
男「おい、ちょっと待て! まだ聞きたいことが……!」
友は男に背を向けると、煙のように――
男「……消えた……」
― 終 ―
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コメント一覧 (2)
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- 2020年03月12日 22:24
- 天国に一番近い男かなーと思ったけどそういう話ではなかったか……
-
- 2020年03月12日 23:52
- まあ頑張って良かったじゃんwww
茶髪と女の落ちぶれかたがリアルでちょっと引くwww
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