image credit:nova_meat/Instagram
スペインのスタートアップ企業『ノヴァミート(Novameat)』が、3Dプリンター技術を使用した植物性たんぱく質を原料とするステーキを開発したのは2018年のこと。
その革新的なアイデアと技術は世界初ということで当時も話題になったが、最近更に技術が進み、一層見た目や食感、味が本物とはまるで変わらないほどのクオリティの高いステーキを作成することに成功した。
企業側は、今年後半にはステーキ市場での販売を開始する予定だと話している。
スポンサードリンク
NOVAMEAT - by EIT-Food
3Dプリンター技術を使用して世界初の植物由来のステーキを開発
バルセロナに拠点を置く『ノヴァミート(Novameat)』は、2018年に植物性たんぱく質を原料とするステーキを、3Dプリンター技術を使って作成するという世界初の開発にチャレンジした。
植物ベースのたんぱく質の構造を顕微鏡レベルで“微調整”することで、味も食感も繊維部分も外観も牛肉のステーキそのものというミートフリーステーキを作り出すことができた。
しかもこの斬新な植物ベースの肉は、本物のビーフステーキに代わる持続可能な代替品として、より魅力的な食品に仕上がっている。
ノヴァミート創設者で、ミートフリーステーキの開発者ジュセッペ・ションティ氏は、革新的な植物ベースの肉は、組織工学と生体プリント技術を最新の調理法と組み合わせることで誕生したと述べている。
今年後半には販売開始予定
Beyond MeatやImpossible Foodsといった企業は、ハンバーガーパテなどの植物由来のひき肉の代替品に焦点を当てているが、ノヴァミートは牛肉やサーモン、豚肉などの繊維状の肉を植物由来の代替品として3Dプリントでいかに本物らしく作成するかというところに力を入れている。
最近では、同社は更に肉愛好家が望むような外観と食感のミートフリーステーキを開発。
同社の目標は、より優れた3Dプリンター技術を用いて、本物の肉と同じ栄養価を持つ見た目、食感、味のある食物ベースの代替品を作ることだ。
今年後半には、ステーキ市場での販売を開始する計画をしているノヴァミート。更に来年からは機械の商業導入を始める予定だ。
そうなれば、最新の技術を伴う3Dプリンターにより、1時間あたり10kgのステーキを大量に作成することが可能になるという。
企業の勝負はこれから
現時点では、サーロインやフィレなど、ユーザーがプリントしたいステーキの種類の選択肢が限られているが、種類を追加していくことはそう困難ではないそうだ。
ノヴァミート共同創設者のアダム・ラハヴ氏は次のように述べている。
将来的には、肉屋や小売業者が独自の製品を設計できるようになるかもしれませんが、今のところ我々はそこまでは注目していません。
ちなみに、肝心の公開味覚テストがまだ行われていないため、現時点ではあくまでも開発に成功した最初の段階であり、この植物由来のステーキがどこまで人気を呼ぶか、本当の勝負はこれからといったところだろう。
なお、ミートフリーのステーキ肉を一歩先に開発したのは、オランダのヴィヴェラ(Vivera)社で、「本物とは区別がつかない」とされる100%植物ベースのステーキと話題になったが、3Dプリンター技術は使用されていないということだ。
References:siftedなど / written by Scarlet / edited by parumo
あわせて読みたい
3Dプリンターで作る植物性タンパク質が原料のベジステーキが誕生(スペイン)
肉汁ジュワーで食感も味も本物の牛肉。オランダの企業が植物100%のビーフステーキを開発。受注販売開始
見た目も味も超リアル!マグロとサーモンの刺身そっくりなベジタリアン向け商品が登場していた(オランダ)
世界初、実験室で育った人工肉、培養ミートボールが公開される(米研究)
牛に頼らず牛乳をつくる。3Dプリント技術でイースト菌から味も栄養価もまったく同じ合成牛乳をつくるプロジェクトが発足
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
いいね!しよう
カラパイアの最新記事をお届けします
「知る」カテゴリの最新記事
「サイエンス&テクノロジー」カテゴリの最新記事
この記事をシェア :
人気記事
最新週間ランキング
1位 4018 points | 動物保護施設が寄付者にペットの似顔絵を提供。その似顔絵がいい味ですぎて希望者殺到(アメリカ) | |
2位 3395 points | 紫外線の熱で感染を防ぐ。新型コロナウイルスを撃退するボディシールドが設計される(中国) | |
3位 3286 points | 猫の国トルコだもの。オーケストラのステージに迷い込んだ野良猫、演奏中もステージ中央に鎮座 | |
4位 2645 points | 江戸時代の日本の消防士「火消し」の衣装が粋でいなせでカッコいい! | |
5位 2526 points | 中世のペスト専門医師が着用していたマスク(ドイツ医学史博物館) |
スポンサードリンク
コメント
1.
2. 匿名処理班
なんだこれ!?食べてみたいな…
3. 匿名処理班
ヴィーガンの是非は自分には判らんから置いとくとして、人造肉やったぜ!ディストピアごっこが捗るぞ
4.
5.
6. 匿名処理班
私は遠慮しておきます
7. 匿名処理班
疑問に思うことがあります
野菜を育てる肥料には、動物由来の物があるんですが…
食用に適さない部位(内臓、脂肪、骨など)を加工し、肥料にしています
売られている野菜のほとんどが、トサツされた動物の肉や骨を養分として育った野菜です
そしてそれらを何度も何度も使っているので、今の収穫量が保てます
オーガニックで育てられた野菜だけでは、必要としている収穫量はほとんど賄えません
8. 匿名処理班
よく精進料理とかベジタリアンの料理で「見た目は肉を使ってるように見えますが、肉は一切使ってません」とか「肉そっくりですが植物で作ってあります」ってのを見ると、滅茶滅茶肉食いたがってるじゃん!無理してるだけじゃん!と、何時も思う。
9. 匿名処理班
こういうのはロマンを感じる
10. 匿名処理班
自然食自体が高級品になるSF的未来も近いか?
11. 匿名処理班
栄養素は?
12.
13. 匿名処理班
極めて何か植物に対する侮辱を感じます
14. 匿名処理班
最終的には人工肉の使用を義務化するんだろ
15. 匿名処理班
どこでも肉食えるようになるな
しかも災害時には手軽に現地で作れるし
保存するための倉庫も小さくできるので
維持管理も安くなる
16. 匿名処理班
もう肉くえ
17. 匿名処理班
昆虫食よりこっちの方に期待したい。
虫ダメなんすよ…
18. 匿名処理班
3Dプリンターで人工赤ワインも作って
19.
20.
21.
22. 匿名処理班
食感はプリントのパターンで多少変えれるかもしれないけれど一つのペースト状の物から作るのだから味は何処食べても同じだよね?
23. 匿名処理班
賭けてもいいが
「動物食への欲求を断ち切れていないのであれば
ヴィーガンとは言えない」等といって批判する勢力が現れる
24. 匿名処理班
似せる意味がちょっとわからない。
25. 匿名処理班
ホラードラマのネタになること請け合いだなw
26. 匿名処理班
動物愛護や何かのトラウマが原因で肉が駄目な人は見た目は再現されない方が喜ばれそうだ
27. 匿名処理班
ダイエットに良さそう
28. 匿名処理班
見た目はステーキとは程遠いじゃん
29. 匿名処理班
ちょっと食べてみたいな
30. ナパチャット
値段…
31. 匿名処理班
>>8
ノンアルコール飲料とかも同じじゃない?肉好きでも健康や環境のことを考えて食べないんだから肉に似せて何が悪いの?肉の味が好きじゃなくて食べない人はこういうのは食べないよ。
32. 匿名処理班
牛タンの代わりになりそうな見た目だな。
33. 匿名処理班
SFやマンガ、アニメの世界でよく見かける「人造肉」「人工肉」だな
大量生産すれば単価は下がるだろうけど、今の段階では、素直に肉食えよと言いたい
そこまでして肉が食いたいのなら、肉食えよ、と
34. 匿名処理班
3Dプリンターは、外側はみっちり中身はスカスカというコントロールが自在なので、この技術が普及した将来、激安をうたったスカスカ肉が出回らなきゃいいけど。
※22
動画でもデュアルノズルのヘッドが見えたので、たとえばペーストの種類を変えて狙った場所に出力すれば、赤身と脂身、希望すればナンコツといった具合に、味と食感を変化させることもできるようになるかもね。
35. 匿名処理班
※7
日本では肉骨粉自体が作れなくなってるはずだけどと思って調べたら
2001年から牛以外 2014年から厳重管理の元に牛も再開されてるんだな
36. 匿名処理班
じゃあ次は植物性たんぱく質の栽培工場を作らないとな
……正直こっちこそが本命だと思うんだよ
37. 匿名処理班
>>31
多分8が言いたいのはそういう人達じゃなく、動物の命を喰らうのは罪…みたいな思想の人達のことかと。
ミートフェスの真横で悲しんでる牛の写真を掲げるような。
38. 匿名処理班
なーんか美味しそうだと思えなかったな…悪いけど。
何枚目かの写真にある断面見てみ?
なかなかのゾワワ案件だから(())
39. 匿名処理班
最終的には、焼き具合まで指定して最初から調理済みのが印刷できるようになるのかな