女「手でコイてあげる!」男「ほ、本当かい!?」
- 2020年05月08日 20:10
- SS、神話・民話・不思議な話
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女「それっ!」プッ
男「おおっ、手から屁が!」
女「連発もできるよ」プップップッ
男「おお~!」
男「ちょっと溜めれば……」
女「大きなのも出せるし」ボフッ!
男「すごい……!」
男「タネ?」
女「私の両手の掌には、穴があるんだ。ここから屁が出せるの」プッ
男「なるほど!」
女「どう? ……引いちゃった?」
男「いや、そんなことない……俺は感動してるよ! 君のような子に会えて嬉しいよ!」
女「ホント? ありがとう!」
男「どうして?」
女「だって、私は――」
ゾロゾロ…
ボス「見つけたぞ、お嬢さん……。テアナ族、最後の生き残りよ」
女「今は説明してる暇はないわ!」
ボス「今日こそ貴様を捕え、その体を研究してくれるわ! ――捕えろッ!」
手下A「はいっ!」ダダダッ
女「かかってくるなら……戦うしかないわね!」
女「右手屁(ライトッペ)ッ!」ブボッ!
手下A「ぐはぁっ!」
手下C「なんて屁だ!」
女「左手屁(レフトッペ)ッ!」ブボッ!
手下B「うぎゃあああっ!」
手下C「ぐわぁぁぁぁ……っ!」
ボス「ちっ……! ならまとめてかかれっ!」
タタタタッ… タタタタッ…
女「両手屁(ダブルッペ)ッ!」ブボボッ!!!
モワァァァァ…
「うがあっ!」 「ぐわあああっ……!」 「く、苦しい……ッ!」
ボス「む……!」
ボス「くそ……逃がしたか!」
女「うん……」
男「どこか行くあてはあるのかい?」
女「……」
男「だったら、とりあえず俺の家に来なよ」
女「でも……」
男「君とここで別れたら、俺は気になって、交通事故にでも遭うかもしれない」
男「俺のことを気遣うのなら、家に来てくれ」
女「うん……ありがとう」
女「ううん、おいしいわ」モグモグ
男「ところで、あいつらは君のこと“テアナ族”っていってたけど……」
女「ええ、私は手に穴があるテアナ族最後の生き残り……」
女「奴らは私を捕えて、なにか研究するつもりなの」
男「いったいどんな?」
女「それは……分からないわ」
男「まあ、しばらくはここでゆっくりしていくといいよ」
男「よかったら先にシャワーでもどうぞ」
女「じゃあ……遠慮なく」
女「……あら?」
女「シャワー浴びた後なのに、靴下履くんだ」
男「ああ、これは……」
女「もしかして、冷え性?」
男「そんなんじゃなくて、これは……」
男「な、なんだ!? ドアが……!」
ドカドカドカ…
手下A「やっと見つけたぞ!」
手下B「さあ、ボスのところに連れてってやる!」
手下C「屁を出す掌に気をつけろ!」ガシッ
女「きゃあっ!」
男「お前たちは……!」
手下A「うるさい!」バキッ!
男「ぐっ!」
手下B「よし、とっととずらかるぞ!」
手下C「外に車が待機させてある! 急げ!」
ドカドカドカ…
男「ま、待て……!」
女「いやっ……!」
手下B「車を出せ!」
ブロロロロ…
男「くそっ……!」
男(こうなったら……)
手下B「屁を出せないよう、両手は縛ってあるので安全です!」
ボス「ご苦労」
女「私をどうするつもりなの……?」
ボス「解剖させてもらう」
ボス「バラバラにして、全身隅々まで観察し、その体の仕組みを徹底的に調べさせてもらう」
女「……!」ゾクッ
ボス「む!?」
女「男さん!」
手下A「あいつはさっきの……!」
手下B「こっちは車だったのに、なんで追いついてきてんだよ!」
手下A「はい!」
手下B「ここでなら殺したって問題ないぜ!」
男「悪いが……」
男「裸足の俺に追いつける奴はいない」ブボッ!!!
ギュンッ!
手下A「えっ!?」
手下B「消え……!」
ドガガガガガッ!!!
手下A「ぐはっ……!」
手下B「ぎゃふ!」
手下C「うぎゃあっ!」
ボス「な、なんだこいつは!? ものすごいスピードだ!」
女「屁だわ……!」
ボス「へ?」
女「足から屁を出して、その推進力があのスピードを生み出してるんだわ!」
ボス「足から屁を……? ということはまさか――」
女「彼は……アシアナ族だったんだわ……!」
「ぐはぁぁぁっ!」ドサッ…
男「これで手下は全滅した。ここまでだな」
ボス「うぐっ……!」
女「ねえ、教えて。どうして私をつけ狙ったの? どういう研究をするつもりだったの?」
ボス「……」
ボス「……風呂だ」
男「風呂?」
ボス「だが、この年になると、屁をもよおすたび湯船から立ち上がるのはどうにもおっくうでな……」
ボス「しかし、手から屁を出せるようになれば、体はお湯に浸かったまま屁を出せるだろう!?」
ボス「だから……! だからっ……!」
男「……」
女「……」
ボス「許して……くれるのか……?」
女「……」サッ
男女「手足屁(テアシッペ)!!!」
ブボワァァァッ!!!
ボス「ぐぎゃああああああああああああ!!!」
女「……ありがとう」
女「驚いちゃった。あなたがあのアシアナ族だったなんて」
男「俺もだよ。だけど、テアナ族の人に会えて嬉しかった……」
女「私も……」
男「俺たち……これからずっと一緒に生きていかないか?」
女「うん……ぜひお願いします!」
男「やったぁ! 必ず幸せにするよ!」
女「あ! ってことは……」
男(穴兄弟みたいでちょっと嫌だな……)
おわり
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- 2020年05月08日 23:00
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