617: 本当にあった怖い名無し:2012/04/05(木) 03:02:17.78 ID:b4E2Ka3q0
祖父の遺品
3年前くらいなんだけど、半ボケの80歳を迎えた祖父が亡くなった時の話。
頑固な爺さんで、絶対に息子夫婦の世話にならないと言って、築70年くらいの家でずっと一人暮らしだった。

家を取り壊すからってんで、遺品とかの整理をしにボロ屋に行ったんだよ。
庭なんか荒れ放題。荷物を外に出す時に草が邪魔だってんで、適当に雑草とかを始末しようとしたんだ。
そしたら、石に足をぶつけて転んでしまった。

なんだよもぅ、とか思って、地面からひょっこり隆起してる石を見るとさ。
なんか、石なんだけど耳みたいのがついてるんだよ。よく見ると耳どころか顔までついてる。
掘り返してみたら、すげぇ古いお地蔵さんが出てきた。
それも一体じゃなくて、六体(もっと掘ったらまだあったかも)。

そんなに広くもない庭からごろごろ出てきたんだ。

うへぇと思って、家族全員で気味悪がってたんだが、
おかんだけそのお地蔵さん達の額をじーっと観察しながら、真っ青な顔をしていた。

どうしたの?って聞いたら、

「このお地蔵さん、額に私達の名前が彫ってある……」

泥をちゃんと拭き取って、よぉく見てみると、確かにひらがなで俺らの名前が掘ってあった。
雑な彫り方だったし、たぶん爺ちゃんが自分で彫ったんだと思う。
でも最近思うんだが、老人が一人でこれだけの数の地蔵を運んで埋められるとは考えにくいんだよな。

ちなみに婆ちゃんは親父を産んで2年で亡くなってる。
若い頃に埋めた?でも孫の名前まで書いてある。

本当に意味がわからない……その後俺達に特に何があったわけでもないんだけどさ。
千葉県。家はもうないけど場所はまだあるよ。
オーブ


70 :あなたのうしろに名無しさんが・・・ :2000/09/28(木) 02:55
テープレコーダー
ある男が一人で登山に出かけたまま行方不明になった。
3年後。湿地帯でその男の遺骨が発見され、遺留品も回収されたが、
そのなかにはテープレコーダーがあった。

テープには大声で助けを求める男の声が録音されていた。
男はどうやら何か怪我をして、動けなくなったらしかった。
テープのことはマスコミにも公表されたが、遺族も警察関係者も公表をひかえていた部分があった。

そのテープには、助けを求めるメッセージとは違うものも録音されていた。
何かに非常におびえた男の声だった。
どうやら夜に何かが起こっているようだった。
男は必死にテープにむかって口述している。

一日目
「夜になると人の声がする・・・呼ぶ声がする・・・
こんな夜中に誰もいないところに・・・だれもいないのに・・・」

二日目
「たすけて・・・声がする。
夜になるとあいつがやってくる・・・
暗闇から呼んでいる・・・昨日より近くなっている・・・
おそろしいよ・・・おねがい、たすけて・・・
とてもこわい、とても・・・だれかたすけて・・・」

三日目
「近くまで来ている・・・たすけて・・・人が・・・
ヒッ・・・・・こわい・・近くまで来ている・・・
おねがい、たすけて・・・おねがい、おねがいよぶ・だれも・・・
ひ・あいつ・・ちか・・・・こわいよ・・たすすぐそばまで・・たすけ・こえが・・・おねがい、・・た・・・・て」

こうしてテープはそこで切れている。
それ以後、男はテープに何も録音していない。

警察はこのテープを詳しく分析した。
テープはずっとその男の声だけで、他の怪しい物音は入っていなかった。
しかし、三日目のテープが最後に切れるところで、これまでとは違う音が録音されていた。

そのことに関して、分析家も理解不能だった。
それは、遭難した男の声とは違う、別の人間の声だった。
レコーダーのすぐそばで発せられている。
耳元でささやかれたかのように、はっきりと。

「オイ」



474 :ヒバリー・ヒル:2000/11/11(土) 04:34
階上の子どもたち
自動車事故にあって鞭打ち症になったAさんは、
仕事もできなさそうなので、会社を一週間ほど休むことにした。
Aさんは結婚しているが、奥さんは働いてて昼間は一人だった。

最初の数日は気楽だったが、さすがに3日目くらいになると暇をもてあましてきた。
それでもどこかへ出かけるには体がつらいので、家でじっとしていなければならなかった。

そんなある日、お昼も過ぎた頃、ぼんやりとテレビを見ていると、
上の階の部屋からドスンドスンと音がして、子どものはしゃぐ声が聞こえてきた。
学校が休みなのかといぶかしく思ったけれど、気にもとめなかった。

そして翌日も、昼頃から子どもの声が聞こえてきた。
どうやら上の家には子どもが2人いるようだ。

Aさんが住んでいるのは大規模なマンション住宅地だが、
昼間は意外とひっそりとしており、子どもたちの声は階下のAさんのところにもよく聞こえた。
しかし、うるさく感じることもなく、
むしろ退屈さと団地の気味の悪い静けさを紛らしてくれるので、ありがたかった。

そして翌日、暇をもてあまし、昼食を作る気もうせたAさんはピザを注文した。
30分ほどでやってきたピザは思ったより量が多く、Aさんは結局まる一枚残してしまった。
普通なら奥さんのためにとっておくのだが、ふと階上の子どもたちのことを思い出し、
親切心も手伝ってAさんは、上でに持って行ってやることにした。

Aさんは自分の真上の部屋に誰が住んでいるのか知らなかったが、呼び鈴を押した。
気配を感じたが応答がない。
もう一度呼び鈴を押した。
のぞき窓から見られているような気がした。

かすかに「どなたですか・・・」という声がドアのむこうからした。
Aさんは、階下の者であること、ピザが余ったのでもらってほしいことを話すと、ドアがかすかに開いた。

(続く)


475 :ヒバリー・ヒル:2000/11/11(土) 04:35
(続き)

家の中はやけに暗かった。
5センチほどの隙間から、女性が顔を半分のぞかせた。

女性はひややかに言った。
「ありがとうございます。でもいりません」
うす暗くて顔の表情がよく見えない。

Aさんは急に自分が場違いなところにいるような気がしてきたが、
もう一度わけを話し、子どもたちにあげてくれるよう頼んだ。
ドアの隙間から生暖かい空気が流れてきた。嫌な臭いがする。

ふと、女性の顔の下に子どもの顔がふたつ並んだ。
ドアはほんのわずかに開いたまま。
2人の子どものうつろな目が、こっちをじっと見ている。

三人の顔が縦一列に並んでいる。
「じゃあ・・・そう・・・いただくわ」
Aさんはドアの隙間にピザの箱を入れると、すっと真横から手がのびてきてうけとった。

3つの顔はドアの隙間からAさんを見つめている。
「ありがとう・・・」
かすかな声が聞こえた。
Aさんはそそくさと退散した。

気味が悪かった。何かが違和感が頭の片隅にあった。
子どもの顔が脳裏に焼き付いている。
顔・・・
背中がぞくぞく震えだした。

・・・顔、並んだ・・・
足早になる。一刻も早くあの家から遠ざかりたかった。
エレベーターがこない。
・・・並んだ・・・縦に・・・
ボタンを何度も押すがいっこうに来る気配にない。

非常階段にむかう。
ひどく頭痛がした。吐き気もする。
非常階段の重い扉を開けるとき、Aさんは背中に視線を感じた。
振り向くと、10メートルほどむこうの廊下の角に、3人の顔があった。

ドアの隙間から見たときと同じように、顔を半分だけ出して、うつろな目でこちらを見つめている。
冷え冷えした真昼のマンションの廊下にさしこむ光は、3人の顔をきれいに照らし出した。
Aさんは首周りのギブスもかまわず階段を駆け下りだした。

普段は健康のためエレベーターを使わず、
いっきに4階まで階段を駆け上がることもあるAさんだが、
上までが途方もなく長く感じられた。

・・・・縦に並んだ顔・・・・ありえない・・・・・・
・・体が・・・ない・・・
そして、顔のうしろにあった奇妙なものは・・・
頭を・・・支える・・・手・・・

そのあとAさんは、近くのコンビ二で警察を呼んでもらった。
警察の捜査によれば、Aさんの階上の家では、
その家の母親と子どもの死体が風呂桶の中から見つかった。

死体には首がなかった。首はのこぎりで切断されており、死後3日ほどたっていた。
その日のうちに夫が指名手配され、やがて同じ建物内で隠れているところを逮捕された。
母親と子どもの首もその男が一緒に持っていた。

男が発見されたのは彼の家ではなかった。
警官が血痕をたどっていったところ、彼が隠れているのを見つけたのだった。
警察によると、彼はAさんの家の押入れの中に潜んでいたそうだ。



412:カメラマン:02/11/20 16:18
彼女からの電話
もう4年くらい経つのかな・・・
当時、親友(以下A)には、大学で知り合った○恵ちゃんという彼女がいました。
私達と2人はよくつるんでいて、どこに行くにもほとんど4人で1セットという関係でした。
話は4年前の、こんな寒い季節の夜でした・・・


413:カメラマン:02/11/20 16:19
その日、Aは深夜までのレンタルビデオ(某ウ○アハウス)のバイトを終え、
自宅に戻ったのは夜中の2時頃だったといいます。
週末のせいかいつも以上に忙しかったので、帰宅するとそのまま寝入ってしまったそうです。

暫くしてから、不意に着メロが流れたそうです。
携帯を取ると○恵ちゃんから・・・
「なんだよ こんな時間に」と、時間も時間だけに不機嫌そうにAが言うと、
いつもは明るく答えるはずの○恵ちゃんが、その時は明らかに何かが違う様子だったそうです。

『まだ、起きてたんだ。ごめんね』
彼女の最初の返事はこれだったのですが、何か電波状態の悪いところにいるみたいで、
時折『ジー』とか、『シャー』とかいう音が、語尾に混ざっていたそうです。

「どこにいるんだ?」と親友が尋ねると、
『前に言ってあったけど、今日は田舎から友達が出てきてるから、みんなで深夜のドライブ中』
と、彼女は答えたそうです。


415:カメラマン:02/11/20 16:19
親友は、「そういえば、そんな事いっていたなぁ」と、その事を思い出したので、
「あんまり、夜遊びしないで帰ってこいよ。電波悪いなぁ、高速からか?」
と、眠気もあったので、早めに電話を切ろうとしたそうです。

だけど、なぜかその日は、彼女がなかなか電話を切ろうとせずに、
しまいには「就職するならここがいい」とか、「○○くんは胃が弱いんだから食べ過ぎるな」とか、
どうでもいいことを、ひたすらしゃべっていたそうです。

親友が「どうした?なんかあったのか?」と聞くと、最初は○美ちゃん黙っていたのですが、
なぜか涙声で、「ごめんね。ごめんね。なんでもないの。ごめんね」と、繰り返したそうです。
Aも気になったそうですが、眠気には勝てず、明日会う約束だけをして電話を切ったそうです。

次の早朝でした。Aが、○恵ちゃんのお母さんからの電話で起されたのは・・・
首○高速湾岸線から四○木方面に向かう分離帯で、
○恵ちゃんの乗った車がハンドル操作を誤って、分離帯に激突するという事故を起したのでした。
高速隊の人の話では、乗っていた4人は全員車外に放り出され、ほぼ即死状態だったそうです。
○恵ちゃんも近くの病院に搬送されたそうですが、途中で亡くなったそうです。


416:カメラマン:02/11/20 16:20
Aがお昼過ぎに○恵ちゃんの自宅に行くと、憔悴しきった顔のお母さんがいきなりAに泣き付いて、
「ごめんね○○くん。もう○恵とは会えないの。ごめんね」と、繰り返したそうです。
その時、なぜか昨日の○恵ちゃんの、「ごめんね」を繰り返していた電話を思い出したそうです。

そして、落ち着いた頃に、あるものを手渡されたそうです。
それは、○恵ちゃんの持っていた壊れた携帯でした。
おかあさんの話では、搬送先の病院で、右手にしっかりとストラップが絡まっていたそうです。

ただ、搬送された時間をお母さんに聞いて、Aはふと疑問を感じたそうです。
搬送先の病院についた時間が、“午前2時35分”だったそうです。

しかし、その時間は、確かにAが電話で話をしていた時間だったので、
理由をお母さんに説明し、○恵ちゃんの履歴を調べようということになりました。
・・・確かに履歴は、2時35分を過ぎてからも通話中だったそうです。

Aは今でも、この話を思い出すと、
「あの時、電話を切らなければ・・・」と、電話を切ったことを悔やむそうです。



230 :本当にあった怖い名無し:04/08/22 11:08 ID:nUF1W2xN
閉じ込められる
彼はエレベーターの管理、修理をしている。

ある日、病院のエレベーターが故障して止まってしまった、と連絡を受けた。
すぐに車を飛ばしたが、到着した時には2時間がたっていた。

現場へむかうと、人だかりができている。中には看護婦が閉じ込められているらしい。
「大丈夫ですか!」
彼が呼びかけると、怯えた女性の声が返ってきた。
「出してください。はやくここから出して!」
がんがん扉を叩く音がする。
「待ってください。今すぐに助けます」
道具を並べ、作業に取り掛かった。

「扉から離れていてください!」と叫ぶ。
「はやくはやくはやく!」
がんがんがんがんがん!!

「扉から離れて!」
彼はもう一度叫んだ。
がんがんがんがんがんがんがんがんがんがんがんがん!!!
扉は狂ったように内側から叩かれている。ちょっと尋常ではない。


231 :本当にあった怖い名無し:04/08/22 11:10 ID:nUF1W2xN
パニックになっているのだろうか・・・。周りの人も不安げに顔を見合わせている。
見かねて院長が、扉に近寄って怒鳴った。
「扉から離れなさい!危険だから!」
「離れてます!!」
女の悲鳴のような声が聞こえた。

「暗くてわからないけど・・・ここ、なにかいるみたいなんです!」
彼はぞっととした。じゃあ、今目の前で扉を殴打しているのはなんだ?
つとめて考えないようにして、大急ぎで作業にかかった。

扉を開けたとき、看護婦は壁の隅に縮こまり、しゃがみ込んで泣いていた。

彼女曰く、電気が消えた後、何者かが寄り添って立っている気配がしたという。
気配は徐々に増え、彼が来る頃には、エレベーターの中はそいつらで一杯だったそうだ。



191 :本当にあった怖い名無し:2005/10/17(月) 16:02:19 ID:tH97nqhpO
母親の影
私が小6の時の夏休み、薄暗い明け方のこと。
私はその日眠れずにいて、テレビをボーッと眺めていた。
すると突然、外から笛の音が聞こえてきた。

こんな朝早くになんだろうと思い外を見ると、
白い着物を着たガリガリの髪の長い女が、家の前の道を歩いていた。
女はしばらくこっちを見ていたが、また道を歩きだした。

そして私がまたテレビに目をやったその瞬間、階段をトン…トン…と上ってくる音がした。
その時私の部屋は二階で、扉が少し開いていた。
私は不気味な気配にビビリ、布団に潜って布団の隙間から様子を見ていた。

しかし、しばらくしても何も来ないので、相当ビビって、隣にある母親の寝室に逃げ込んだ。
入ったその瞬間、私は呆然とした。
その部屋は真っ暗で、奥の方で首を吊って天井からぶら下がっている、母親の影が見えた。
私は何もできず、それをしばらく眺めていた。
すると耳の奥底で、「生きてて楽しい?」という女の声がした。

母は次の日、普通に起きて仕事に行ったし、今も生きてる。
でも、母はその日から1ヵ月くらいで、20キロも痩せるという異常な痩せ方をした。

今から十年ほど前の事です。



83 :血雪 1/7:2006/01/22(日) 21:49:36 ID:oprygqQ10
血雪
全国的にずいぶん雪がふったね。
おれの住んでいる田舎町(はっきり言ってド田舎)も、
ふだんはあまり雪は降らないんだけど、今回はずいぶん降った。
で、2年前の、同じように雪がひどく降ったときの話だ。


84 :血雪 2/7:2006/01/22(日) 21:52:36 ID:oprygqQ10
その日、おれは2階の部屋で一人寝ていた。
おれの家はショボい専業農家で、50代の親父と母ちゃんと、おれの3人暮らしだ。
まだ明け方前だけど、下の階で親父がガダガタなにか音をたてて、
玄関から出ていくのを、おれは布団のなかでうつらうつらしながら聞いていた。

天気予報じゃ大雪になるって言ってたので、
親父はビニールハウスが雪に潰されてないか心配で、
まだまっ暗ななかを見にでかけたんだ。

都会のサラリーマンも大変なんだろうけど、こういうときは農家もけっこう大変なんだ。
もっとも、おれの方はこのクソ寒いなかを付き合う気にはなれず、
親父には悪いけど、そのままぬくぬく布団のなかで寝つづけてた。

ところが、しばらくしたら、家の前へギシギシと早足で雪を踏む音が近づいてきて、
玄関がガラっとあいたかと思うと、ドタバタと家に駆けあがる足音が続き、
親父が電話で「・・・そう●●橋の上、救急車!若い女が首やら手首やら切って血まみれで・・・」と叫んでる。

ただごとじゃないと思って、おれが下に降りて行くと、
親父が血相かえて「橋のうえで女が首切って自殺しかけているから、すぐに戻るぞ」と言う。
おれは慌ててスウェットの上からジャンパーを引っかぶり、長靴に足を突っ込むと、
親父といっしょに、まだ真っ暗で雪の降りしきる表に出た。
親父に、「要領を得ないので説明してくれ」と言うと、親父は歩きながら次のようなことを話してくれた。


85 :血雪 3/7:2006/01/22(日) 21:55:15 ID:oprygqQ10
おれが思ったとおり、親父はビニールハウスを見にいくために家を出たそうだ。
ビニールハウスは、おれの家の近所の、小川に毛の生えた程度の川にかかった、
古いコンクリートの橋を渡った先にあるんだけど、
この辺はド田舎なもんで、街灯は1キロに1本くらいしかなくて、夜は真っ暗闇に近いんだ。
都会の人にはわからないかも知れないけど、ド田舎の夜の暗闇ってのは、ホントに凄いものなんだ。

で、親父が橋の近くまできたとき、その辺に一本だけある街灯の薄暗い光のなかに、
橋の上の欄干の脇で、誰かがうずくまっているのが見えたそうだ。
近づくと、それはコートを着た長い髪の女だった。
親父は、こんな時間にこんな所で何をしているのか、といぶかしんだが、
女が苦しんでいるようなので、心配して「どうしたんですか?」と声をかけたそうだ。

そのとき親父が女の足元をみると、雪のうえにヌラヌラしたどす黒い液体がひろがっているのが見えた。
驚いた親父が女の前に屈みこむと、突然女は苦しそうな呻き声とともに顔をあげた。
目をカッと見ひらいた女の顔は、口のまわりや首のまわりが血まみれで、
右手に女物の剃刀がにぎられていたそうだ。

女は苦しそうな呻き声をあげながら、
その剃刀を血まみれの首にあてて、そしてそれを一気にグイッと引いた。
湯気をたててどす黒い液体が噴きだし、女の胸元や足元の雪を染めていく。

親父は息が止まりそうになりながらも、女から剃刀を奪い取り、それを川に投げ込んで、
「馬鹿なことをするな」と怒鳴りつけて、
急いで家まで救急車を呼びにもどってきた、という訳だ。


86 :血雪 5/7:2006/01/22(日) 21:57:51 ID:oprygqQ10
だが、親父と二人で、闇の中を雪に足をとられながら橋にきてみると、
街灯のうす暗い光のなかに、女の姿はなかった。
親父は「おーい、どこにいるんだ」と女を呼んだが返事はなく、
おれもあたりの闇を見まわしたが、人の気配はない。

そして不思議なことに、女がうずくまっていたと言うあたりの雪には、親父の足跡しかなかった。
「川だ」
おれは女が川に飛び込んだんじゃないかと思い、雪に埋もれた土手の斜面をおりて探そうとした。
だが、土手下は足元も見えないほどの暗闇につつまれていて、危険で降りられなかった。

そうこうしているうちに、救急車が雪のなかをもがくように到着し、
また、駐在所の警官も、原付バイクで転倒しそうになりながらやって来た。
親父は警官に経緯を説明し、空もようやくしらみはじめたので、
救急車の隊員も一緒に、周囲をさがしてみた。

だが、周囲にも膝までの深さしかない川の橋の下にも、女の姿はなかった。
女の足跡もなく、それどころか橋の上の雪には、わずかの血痕さえもなかった。
夜が明けてからも、止む気配もない雪のなかを1時間ほどさがしてみたが、
女がいた形跡はなに一つ見つけられなかった。

らちがあかないので、救急車は来た道を戻り、親父は警官といっしょに駐在所へ行くことにした。
書類をまとめるために、事情をあらためて聞かせてほしいとの事だった。
おれは何ともいいがたい気分で、独り家へ戻った。


87 :血雪 5/7:2006/01/22(日) 22:00:26 ID:oprygqQ10
家に帰ると、母ちゃんが台所で朝飯のし支度をしていた。
体の芯まで冷えたおれは、すぐ炬燵にもぐりこみ、
そのままの姿勢で先ほどまでの経過を母ちゃんに話した。

母ちゃんは、「気味がわるいねえ」とか言いながら味噌汁つくっていたが、
ふと、台所の窓から外を見ながら、「あれ、その女の人じゃないかね」とおれを呼んだ。
おれは台所の窓に飛んでいったが、窓からみえるのは降りしきる雪ばかりだった。

「私の見まちがいかねえ」とボヤく母ちゃんを尻目に、おれは再び炬燵に戻ろうとしたが、
そのとき、炬燵が置いてある古い六畳間の窓の外から、
ガラスに顔をちかづけて、こっちを見ている女と視線がばったり会ってしまった。

女は細面の青白い顔で髪が長く、そして口のまわりと首のまわりにベッタリ血がついていた。
おれは体が凍りつき、頭のなかが一瞬まっ白になったが、気がついたときには女の顔は消えていた。
あわてて窓をあけて表を見たが、女の姿も、足跡もなかった。


88 :血雪 6/7:2006/01/22(日) 22:02:25 ID:oprygqQ10
おれは迷った挙句、駐在所に電話をいれる事にした。
親子そろって頭がおかしくなったんじゃないか、と言われそうでためらったのだけど、
おれが見たのが幻や幽霊であったとしても、見たことは事実なのだ。

受話器のむこうで何度か呼出し音がしたあと、聞きなれた声の警官が出た。
おれが自分の名を告げると、警官は開口一番、
『なんだ、また出たってのか?』と言ったので、おれは気おくれして、
親父はまだそこにいるんですか、とだけ聞いた。
親父は『もう30分くらい前に駐在所を出た』との事だった。

おれは母ちゃんと親父の帰りを待った。30分前に出てるなら、もう着いていてもいいころだ。
だけど親父はなかなか帰ってこなかった。
おれは母ちゃんと二人で、冷めた朝飯を食いながら、
「親父はまっすぐビニールハウスを見にいったんだろう」と話した。

だけど、昼過ぎになっても戻ってこないので、おれはビニールハウスに親父をさがしに行った。


89 :血雪 7/7:2006/01/22(日) 22:04:02 ID:oprygqQ10
例の橋まできたとき、やや新い足跡がひとり分、橋のうえに続いているのが見えた。
その足跡を目で追うと、それは橋の途中の、
例の女がうずくまっていたと言うあたりまで続き、そこで消えていた。

その欄干の上の雪は、半分ほど欠けていた。
おれは欄干に近寄り、そこから川面を見下ろした。
まっ白な雪の土手にはさまれた川の、膝くらいまでしかない流水のなかに、
黒いジャンパー姿の、長靴をはいた男がうつぶせに倒れていた。
おれは土手を走り降り、川に入っていった。
うつぶせに倒れている男は、親父だった。

おれは必死に親父を土手にひきずり上げたけれど、すでに脈も呼吸も止まっていた。
降りしきる雪の中を見あげると、川の対岸に、
髪の長いコート姿の女が、口、首、胸のまわりを血で真っ赤に染めて、立っていた。
女はすぐに雪のなかに消えた。

おれは母ちゃんと二人、まだこの家に住んでいるが、あれ以来、雪の降る日は一歩も外に出なくなった。



531:本当にあった怖い名無し:2012/04/03(火) 01:24:36.92 ID:7LEA3N1T0
迷い
霊とかとは全然関係ない話なんだけど、

自分的にはかなり怖かったから思わず書き込み。

その日、職場の新年会が長引いて、
自宅(10階建てマンションの4階、独り暮らし)に着いたのが夜1時くらいだった。
ちなみに、かなりトイレに行きたかった。

玄関の鍵を開け、中に入り、やきもきしながらブーツを脱ぐ。
そこで一瞬迷った。
このままトイレに駆け込むか、
鍵をかけてからトイレに向かうか。

鍵をかけるのなんて一瞬なんだけど、迷うくらいトイレに行きたかった。

でも、なんとなくだけど、やっぱり鍵をかけることにした。

鍵をかけ、トイレに向かって踏み出した瞬間、
ドアノブが一回だけ、向こうから「ガチャ」と回された。



618:
本当にあった怖い名無し:2012/04/05(木) 03:35:01.48 ID:V8w/f4KSO
>>531
玄関のドアを誰かが開けようとしたのね。
ゾクッときた。



602: 本当にあった怖い名無し:2012/04/04(水) 21:50:40.38 ID:ohKmdK2t0
強烈な遺体
久しぶりに民話でなく現代の話を。知人から聞いた話

ある所に老婆が一人暮らしの家があったが、ある日、近所の人から
「最近、隣のおばあちゃんの姿が見えない」と警察に通報があった

警察が駆けつけたら、窓から見える蛍光灯がついたままだった。
こりゃ家の中で事切れている可能性が大きい

警察官が慌てて中に入って創作を開始したが、どうしたことか老婆の姿が見えない。
寝室まで探したが老婆はいなかった


と、ある警官が気がついた。誰もいなくなった家の中で風呂のボイラーがついたままだった
これはまず間違いあるまい、風呂場だ……と警官たちが風呂場に駆けつけたが、やっぱり老婆はいない

風呂場は薄暗かった。警官のひとりが電気をつけた途端、居並んだ警官たちは息を飲んだ


湯船の中の湯がグズグズの肉片で覆いつくされ、
その間から湯船の底におびただしい量の骨が沈んでいるのが見えたのだそうだ


当時、家庭用の風呂のボイラーは、人間が操作しない限り追い焚きがずっと続き、
風呂の温度は際限なく上がってゆくものだったのだそうだ

老婆は何かして風呂に入っている途中に事切れ、そのまま温度は際限なく上がり続け……

結局老婆はガラスープのように煮出されてしまった

そして時間が経つにつれて老婆の遺体は損壊してゆき、
結局警官たちが見た通りのものになったのだという


あれぐらい強烈な遺体はおそらくもう今後ないだろう、とその刑事は言ったそうだ



607:
本当にあった怖い名無し:2012/04/04(水) 22:50:38.19 ID:EVmXPmad0
>>602
このタイプの事故の湯船の写真どっかで見たな
海外のだけど
警察の現場検証か何かの



603:
本当にあった怖い名無し:2012/04/04(水) 21:53:51.16 ID:Ir4+JY390
激しく既出というか、有名な都市伝説やないかい



609:
本当にあった怖い名無し:2012/04/04(水) 23:21:05.04 ID:8v7XQKJgQ
エレベーターで見たもの
じゃあ俺が生涯で一番ビビった話をしてやる


10年ほど前、都営住宅に住んでいた。
その都営住宅にはエレベーターが設置されている。
扉はガラスになっており、外が見えるタイプのエレベーターだ。

ウチの家族は8階に住んでいたのでいつもそのエレベーターを使っていた。

その日、夜勤のバイトが終わり、夜が白み始めた頃帰路に着いた。
疲れた体を引き摺ってエレベーターに乗り込み8階のボタンを押す。
で、上昇していくエレベーターに乗りながら各階のエントランスが通過して行く様を何の気なしに眺めていたら


6階を通過した時、笑顔で逆さ吊りになったおっさんと目が合った。


一瞬で通り過ぎたが確かにおっさんだった。腰が抜ける程ビビった。
8階に着いた瞬間エレベーターを飛び出しダッシュで家に逃げ帰ろうと思ったが
物凄く気持ち悪いし、もう空も明るくなってきていたので思い切って確認しに行く事にした。

で、階段で6階まで下りておそるおそるエントランスを覗いたら…
エレベーターのガラスに裏向きになったポスターがセロテープで貼られていた。
??と思って剥がして確認してみると

「今こそ日本の夜明け! 〇〇党」という謳い文句と共に
笑顔のおっさんがガッツポーズをしている選挙ポスターだった。



いたずらした奴死ね



618:
本当にあった怖い名無し:2012/04/05(木) 03:35:01.48 ID:V8w/f4KSO
>>609
こういうの好きだわ。
端的で読みやすいし。



611:
本当にあった怖い名無し:2012/04/04(水) 23:45:33.99 ID:xm08GWEE0
なかなかよいおち。



633:
本当にあった怖い名無し:2012/04/05(木) 20:40:53.87 ID:RQkV/j9O0
謎の曲
出所が分からない所からの楽曲ダウンロードはしばらくやめよう思った俺の体験。


先週の夜の話だ。
ベットに寝転がりながらスマホいじってたらふと聞きたくなった曲があって
MP3の無料ダウンロードアプリで3曲スマホに落としたした。

ただ、このアプリから落とした曲って、途中で終わってたりタイトル文字化けしてるのも多いから
いつもちゃんと聞けることを確認してからタイトル直したりして保存してたんだ。

で、この時もダウンロードした曲を直そうとして楽曲リストを見てみると
文字化けしたタイトルの曲が4つあることに気付いた。
(…あれ?俺、ダウンロードしたの3つだったよな?)

で、更にそのリストの一番上、つまり一番新しい曲の再生時間が「0:24」と非常に短いことに気付く。
おそらく操作ミスとかで、前後の曲のダウンロードボタン押したのかなと思ったが、
消す前に念のため聞いて確かめることにした。


634: 本当にあった怖い名無し:2012/04/05(木) 20:43:37.10 ID:RQkV/j9O0
『………………』
なんか流れてるっぽいが、小さくて聞き取れない。すぐに曲が終わる。
もう一回最初から流して、今度は徐々に音量を上げてみる。

『……っ………て………て………て』
なんか女性の声で言ってるっぽいが聞き取れないまま曲が終わる。
仕方なく今度は、音量を最大に近いくらいに上げて再生してみた。すると…

『どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?』
女性の声で24秒間ずっと『どうして?』という声が入ってた。
え…なんだこれ…。
ちょっと気持ち悪いなと思いながらも、もう一度だけ聞いてみることにした。

『……………』
あれ?何にも流れないぞ?音量は…最大のままになってるよな。
おっかしいなぁーと思って再生を止めようとした瞬間、


635: 本当にあった怖い名無し:2012/04/05(木) 20:45:03.36 ID:RQkV/j9O0
『ねぇ』
「え?」
『消えるわよ』
バチン!!

ベット横のライトスタンドの明りが突然消えた。
スタンドのライトしか点けてなかったから部屋は真っ暗になって一瞬パニックになりかけるが、
すぐベットから飛び起きて部屋の電気を点ける。
パッと明りが戻り、部屋を見渡す。周囲に異変はない。

ベットの上に放り投げたスマホがある。
ちょっとビビりながら手にとって操作してみると、何故か電源が落ちていた。

再起動して、楽曲リストを見てみる。
リストの一番上に「0:24」のあの曲がある。

さすがにもう一度聞く勇気はなかった。


636: 本当にあった怖い名無し:2012/04/05(木) 20:48:49.16 ID:RQkV/j9O0
その曲はすぐに消した。

でもちょっと気になったので、
ダウンロードしたアプリであの曲を探してみたが見つからない。

最初に3曲をダウンロードしたときと同じように曲を検索して、
探してみたがそれらしい曲は見つからなかった。
一体どういう経緯であの曲は自分のスマホにダウンロードされたというのか…。

今はそのアプリも消しているが、
しばらくこのスマホで曲を聴く気にはなれない。

今のところスマホに変なことは起こってないが、
少しでも起きたらすぐさま機種変するつもりです。



641:
本当にあった怖い名無し:2012/04/05(木) 22:59:34.75 ID:9/67mmPF0
>>636
宛てね。明日の夜以降になると思いますが、試しますよ。

可能な限り、そのダウンロードをしたときのサイトとかアプリをお教えください。



646:
本当にあった怖い名無し:2012/04/05(木) 23:27:20.99 ID:RQkV/j9O0
>>641
アプリ名は「簡単にMP3ダウンロードV2」
アンドロイドのPlayストアでmp3とか検索すればすぐ出てくる

このアプリで
レミオの「3月9日」
徳永英明の「壊れかけのradio」「レイニーブルー」
の3曲を検索してダウンロード後、
確認したら謎の4曲目がリストアップされてた次第

あと、バチンっ!!ていう音なんだけど、
確かに何かがショートしたような音だったんだけど、
スタンドはその後もちゃんと機能してるし
あれはもしかしたら曲の方から聞こえた音だったのかもしれない



637:
本当にあった怖い名無し:2012/04/05(木) 21:27:49.67 ID:FwEswifP0
怖え、たった今ダウンロードした音楽ダウンロードのアプリを消したわ



642:
本当にあった怖い名無し:2012/04/05(木) 23:16:55.29 ID:5++cWm+p0
The Body
10年くらい前の話だけど・・・友人に誘われて山奥の渓流に釣りに行った。
自分は釣りは不慣れだったが、友人は釣りに関しては
ベテランで彼の案内に
従って渓流をさかのぼって行った。
川の美しさに興奮しながら上流へと進んで
行くと、やがて高さ10mはある滝にたどり着いた。
この滝もまた非常に美しく、
私も友人も釣りを忘れてしばらくその滝を見上げ見つめていた。

うっとりと滝を眺めていると・・・・なんと・・・滝の上から水と一緒に裸の人間が落下してきた。
人間は落下の途中で岩にぶつかり鈍い音をたてながら
下に落ちた。
岩にぶつかるたびに手足がおかしな方向に跳ね上がっていたので
意識は無かったと思う。
当然かもしれないが下に落下した後もぴくりとも
動かなかった。


643: 本当にあった怖い名無し:2012/04/05(木) 23:17:44.93 ID:5++cWm+p0
すでに死んでいたのだろうか・・・それとも落下によって死んだのだろうか・・・。
いずれにせよ異様な光景に私と友人はどう行動すべきか
とっさには判断がつかなかった。
しかしとりあえず安否を確認しようと
その人間に近づこうとしたとき、友人が「また来た!」と叫んだ。

見上げるとまた全裸の人間が滝から落下してきたのである。

この滝の上はどうなっているのか・・・思っていると、次から次へと別の全裸の人間が落下してきた。
上手い例えが思いつかないが、
流しそうめんのように全裸の人間が流されて落下してくるのである。
人間はどれも20代30代くらいに見え、男も女も流れてきた。
壊れた人形のように岩にぶつかりながら落下し滝の下に折り重なっていったのだった。


644: 本当にあった怖い名無し:2012/04/05(木) 23:18:50.91 ID:5++cWm+p0
早く警察に連絡した方が良いと判断し、友達と共に川を下り車に乗り
数十分かけて来た道を戻り電話が通じる様になってから110番した。

「10人以上人間が死んでる。」人数的にも場所的にも救急車は無理と
言う事でヘリが飛んだ。やがて待っているとパトカーも到着したので警官に事情を説明した。
しかし、しばらくするとヘリからは大量の死体など
見当たらないとの連絡が入った。
そんなはずは無いと地上から歩いて
川をさかのぼったが死体はおろか滝すらも見つからなかった。

その後、私と友人は度々大量の人間の死体の幻を見る様になった。
幻は一緒に居る時に二人で見る事もあったが、各々が一人で見る事もあった。

大量の死体は農家のビニールハウスの中に満杯になっていたり、
海岸に打ち寄せられていたり、到着したエレベーターにぎゅうぎゅう詰めにされていたり、様々な形で現れた。
滝での経験からもう通報等はしないが、

忘れた頃に突然現れるその時は非常に驚かされる。



673:
:2012/04/07(土) 01:09:22.61 ID:izNH2elO0
アケミちゃん 前編
去年の5月に起きた話を。


大学に入学し友達も何人かできたある日の事、仲良くなった友人Aから、同じく
仲良くなったBとCも遊びにきているので、今からうちに来ないかと電話があった。

時間はもう夜の9時過ぎくらい、しかもAのアパートは俺の住んでいるところから
大学を挟んで正反対の方向にあり、電車を乗り継いでかなり先にある。
時間も
かかるしちょっと面倒なのだが、特にすることもなく、
そのうえ土曜の夜で暇だった
俺はAのアパートへ向かう事にした。

乗り継ぎ駅のホームで待っているとき、ふと気付いたのだがホームで待っている人がやけに少ない。
「土曜の夜ってこんなもんだっけ?」と疑問に思ったが、特に気にもせず電車に乗り込んだ。
すると電車の中もやけに空いていて酔っ払いらしい2人組みが
乗っているだけだった。

特になんとも思わず席に座り、携帯を弄りながらぼーっとしていると、
その酔っ払い
2人も次の駅で降りて行き、代わりに俺と同い年くらいかな?の女の子が乗ってきて
俺の向かいくらいの位置に座った。
最初は気付かなかったのだが、ふと携帯を弄るのをやめて顔を上げると、
その
女の子がやたら可愛い事に気が付いた。

黒のセミロングくらいの髪型でちょっと大人しめな感じ、ぶっちゃけ言えばモロにタイプの子だ。
が、別に女の子と話したことが無いとかそういうのではないけど、
彼女いない歴=
年齢の俺に声をかける勇気があるわけもなく、
「出会いなんてあるわけないよなぁ」と
心の中で思いながら
ふとその子を無意識に見つめてしまっていた。

しかも間の悪い事にその子と目があってしまった。

続く


674::2012/04/07(土) 01:10:27.14 ID:izNH2elO0
>>673の続き

「ヤバイ、キモいやつだとおもわれる!」と慌てて目を逸らしてずっと窓越しに
外を見ていました風な態度を取ったのだが、傍から見てもバレバレだろう。
目的地の駅はまだ5駅も先だ、俺は「どうしよう、次の駅で下りるべきか、でも
それだと余計不自然じゃね?」などとあからさまにキョドって葛藤していると、
クスクスと
笑い声が僅かに聞こえてきた。

「え?」と俺が正面を向くと、女の子が俺のほうを見て楽しそうに笑っている。
そして、楽しそうに「なんですかぁ?」と俺に話しかけてきた。
「え?マジで?何このマンガみたいなシチュエーション」と思い浮かれまくり
ながらも、表面上は冷静さを取り繕いながら「いや…外を見ていただけだけど…」
と返すと、あろう事かその子はクスクスと笑いながら「私のこと見てたよねー」と
言いつつ俺の隣へと移動してきた。

内心大喜びしながらも、観念した俺は「ごめん、見てました…」正直に答えた。
その後15分ほどの間だが、俺はその子とかなり色々話した、名前はアケミちゃん
というらしく、学部は違うが俺たちと同じ大学に通っているらしい。
しかし、その時は気付かなかったのだが、後になってこの時の会話を思い返して
みると、明らかにアケミちゃんの言動はおかしかった。

最近話題になっていることを話したかと思えば、急に何年も前の話をし始めたり、
時事関連も詳しいかと思えば「この前の地震こわかったねー」というような話
には不自然なくらい反応が薄かったり、同じ話を繰り返し出したかと思えば、
急に無表情で黙ってしまったり。

完全に「可愛い女の子とお近づきになれた」という状況に有頂天になっていた
その時の自分はまるで解らなかったけれど、後から思えばなんといえばいいのか、
自分が見聞きした事ではなく、他所から伝わった情報をただ聞きかじって覚えた
だけといえば良いのか、上手く説明できないが、そんな不自然さと違和感が
アケミちゃんの言動にはあった。

続く


675::2012/04/07(土) 01:11:40.87 ID:izNH2elO0
>>674の続き
ただし、浮かれまくっていたその時の俺にも一つだけ気になることがあった。
電車が走り僅かに揺れるたびに

「カチ…カチ…」

とプラスチックのような硬く軽い感じのものがぶつかり合うような、なんか変な音がする。
俺は何の音だろうとあたりをキョロキョロしたのだが、音の正体がわからない。
アケミちゃんがその様子を見て「どうしたの?」と聞いてきたが、
音の出所も
解らないし、別段気にする事もないと思った俺は「いや、とくに」と流した。
音の正体については後でわかる事になるが…

電車が目的地の前の駅に差し掛かった頃、アケミちゃんのバッグの中の携帯が鳴った。
バッグを空け、携帯を中から取り出そうとしたとき、俺はバッグの中に
とんでもないもの
が入っているのを見つけて一瞬思考が停止してしまった。

        ボロボロにさび付いた異様にでかい中華包丁2本

明らかに10代の女の子が持つには相応しくない代物だ。
というかこんなものを日常的に持ち歩くやつがいるとは思えない、明らかに異様な光景だ。
アケミちゃんは直ぐにバッグを閉じてしまったが、俺の見間違いという事はない。
その間も「カチ…カチ…」と例の変な音はし続けていた。

そこで俺はやっとふと我に返り状況を分析してみた。
「そもそもこんな可愛い子が、目があったってだけで唐突に声をかけてくるって
状況がおかしくね?そんな上手い話あるわけがねーよ、この子ヤバイ子なんじゃねーのか?」
という疑念が出てきた。
疑念というより確信に近かったが…

続く


676::2012/04/07(土) 01:12:59.09 ID:izNH2elO0
>>675の続き
そして、このまま目的地の駅で降りるのはまずいと感じた俺は、
ひとまず
次の駅で降りることにした。
ただし、下りようとすると着いてくる可能性もある、そうなると申し開きが出来ないし
余計にピンチになるのが解りきっているから、電車が駅に停車し、発車直前、
ドアが閉まる寸前で降りる事にした。

そうこうしているうちに電車が駅に着いた。
アケミちゃんはまだ電話をしているが、チラチラとこちらを見たりもしているので
うかつに動けない、目が合うたびに背筋に寒いものを感じながらも、
愛想笑い
を浮かべながらタイミングを伺うと、発車の合図の音楽と同時に
「ごめん、ここ
で下りるから」と一方的に言って電車を駆け下りた。

案の定、アケミちゃんは反応できず、電車はそのまま発車し行ってしまった。
ひとまず難を逃れる事ができた俺は、とんでもないものに出会ってしまった
と思いながらも、さてこれからどうしようかと考えた。

Aのアパートまではまだ結構距離がある、というかまだこちらに来て2ヶ月も
経っていない俺に、ここから目的地までの道順など解るわけもない。
かといって次の電車に乗った場合、次の駅でアケミちゃんが待っていたら余計にヤバイ。

仕方がなく、俺はAに電話をして後で事情を話すからと住所を聞き、
駅を出て
タクシーでAのところまで向かう事にした。
アケミちゃんにもう一度出会うリスク
を考えたら、千数百円の出費のほうがずっと良い。

Aの家に着き、かなりほっとした俺は「おいやべーよ、なんかすげーのに合っち
まったよ、都会こええよ!」と大げさに、かなり興奮気味に3人に事の事情を話した。
AもBもCも、当然全く信じてくれず、「嘘くせーw」とゲラゲラ笑っていると、
ピンポーンとドアチャイムが鳴った。

続く


677::2012/04/07(土) 01:13:57.44 ID:izNH2elO0
>>676の続き

時間はもう夜の11時近く、こんな時間に来客など当然あるわけもない。
俺は「いや、まさかな…完全に振り切っていたし」と思っていると、
Bが
冗談半分に「アケミちゃんじゃね?」と言い出した。

そこで自分で言ったBも含め、俺たちはそこ言葉を聴いて凍りついた。
というよりも、その言葉を聴いた俺が真っ青な顔で動揺しているのを見て
色々察したといった方が良いだろう。

Aが「おい、さっきの話マジなのかよ…」と言いつつ、ひとまずドアスコープで
誰が来たのか確認してくると言って、足音を立てずに玄関へと向かい、
暫らくすると戻ってきた。

そして俺たちに「すっげー可愛い子がニコニコしながらドアの前にいるんだけど…」と言ってきた。
その間も何度もチャイムが鳴らされている。

それを聞いてCが「お前マジなのかよ…何で後つけられてるんだよ…」と言ってきたが、
そもそも俺にもなんで後をつける事ができたのかがわからない、
俺は「ひとまず
ほんとにアケミちゃんかどうか自分の目で見てくる」といって、
同じく足音を立てないように
玄関に向かうと、ドアスコープで外を覗いてみた。

そこには困惑気味な顔をしたアケミちゃんがいた…

これはかなりヤバイ、てかなんで着いてきているのかと、俺たちそんな仲ではなかっただろ?
ちょっと電車内で会話しただけだろ?理不尽すぎね?と思いながら、
ひとまず部屋まで
戻ると3人に間違いなくアケミちゃんである事を伝えた。
そして4人でこれからどうするかを相談した。

続く


678::2012/04/07(土) 01:15:03.88 ID:izNH2elO0
>>677の続き

まず居留守作戦は使えない、部屋の電気がついているし、さっきまで結構大きな声で
話していたのだから、在宅なのはモロバレだ、次にひとまず俺はクローゼットの中に
隠れAが応対して、俺の事を聞かれてもそんなやつ知らない、何かの間違いだろうと
しらを切る作戦を考えたが、相手は文字通り「アレな人」な可能性があるからそれで
納得するか未知数なうえに、凶悪な武器持ちだ、ドアを開けるのは危険すぎる。

そんな話をしていると、外からアケミちゃんが「○○(俺の名前)くーん、ここにいるよね?
入っていくの見てたよー、何で逃げるの?酷いよ、ちゃんとせつめいしてよー」と声が聞こえてきた。

Aが「お前モロにつけられてんじゃねーか、てか自分の名前言ったのかよ!どうすんだよ!」と
焦り気味に言ってきた。
前の駅で降りてここまでタクシーできたのにどうやって後をつけたのか、色々疑問は残るが、
今更そんな事を考えても仕方がない。

俺たちがそんな会話をひそひそ声でしていると、今度はドアのほうから

キィ!ギギギギギギギギ!キィ!ギギギギギギギギギギギギ!

と金属同士がこすり付けあうような、非常に不快な音がし始めた。
Aがまたドアの方に行き外をうかがって戻ってくると、「おいなんかやべーぞ、包丁でドア
を引っかいてやがる…マジでヤバイ人じゃねーか!」と声を殺しなら言ってきた。
その間も「○○くーん」と俺を呼んだり「ちゃんと出てきてお話しようよ」と、行動と言動が
全くかみ合わない事をやっている。

この騒ぎでお隣さんがキレてしまったのだろう、
ドアごしに「うるせーぞ!何時だとおもってる!」
と怒鳴り声が聞こえてきた。
そして金属音もアケミちゃんの声も止まり一瞬の沈黙のあと、「うわっ!なんだこいつ!」という
声がしてその後にドアが激しくバタン!と閉まる音がした。

続く


679::2012/04/07(土) 01:16:49.28 ID:izNH2elO0
>>678の続き
そしてまた例の

キィ!ギギギギギギギギ!

という音が鳴り響く。
何事が起きたのかと、隣の人は大丈夫なのかと、
明らかに状況がどんどん悪化してきている、俺たちはその
後もあれこれと対策を考えたのだが、
その場の思いつきの付け焼刃でどうにかなるとも思えず、
どうすれば
良いのかと考えていると、外からパトカーの回転灯の光が見えた。

サイレンの音などは聞こえなかったが、どうやら誰かが警察を呼んだらしい。
俺たちが助かったとほっとした瞬間、外から「待ちなさい!」という声の後に、
誰かが駆け抜ける音
がして、その後直ぐに静かになった。
すると今度はドアチャイムが鳴り、警察官が「大丈夫ですかー?」とドア越しに声をかけてきた。

どうやら助かったようだ。
Aがドアをあけ、俺たち全員が事情を話すと、
どうもアケミちゃんは警官1人を突き飛ばすと、アパートの
一番奥のほうまでかけていき、
フェンスをよじ登り逃げて行ったらしく、現在追跡中とのことだった。

俺は彼女がアケミという名前である事、俺たちと同じ大学の学生であることをつたえ、
ターゲット
がどうやら俺である事から、暫らく俺のアパートの周囲を巡回してくれる事や、
緊急時の連絡先
等を仕えると帰って行った。

ちなみに、警察に通報したのは隣の人だったらしい。
隣の人が言うには、怒鳴りつけた途端にアケミちゃんが無言で中華包丁を振り回してきたので、
慌ててドアを閉めて警察に通報したということで、特に怪我をしたとかそういう事では
ないとの事だった。

実はこの後6月末頃にまた事件が起きたのだが、
少し話が長くなりすぎたのと、時間も遅いので
続きは日曜の夜になる予定です。

ちなみに、大学に該当する学生は在籍していなかったそうです、というか、
警察は結局身元の
特定すらできませんでした。
それでは、長々とお付き合いありがとう御座いました。



702:
本当にあった怖い名無し:2012/04/07(土) 14:10:43.17 ID:V/hByZ9DO
教祖の妻の肖像画
親が昔、へんな宗教にはまってた時、教祖の妻の肖像画を買ってきた
ある日家で留守番してて何気にその肖像画を見たら絵の教祖の妻がこっちを見て笑ってた

帰ってきた母ちゃんに泣きながら言ったら、
母ちゃんもずっとあの絵は気味悪かったらしくすぐに押入れにしまってくれた

いまはもう宗教はいってません



829: 本当にあった怖い名無し:2012/04/08(日) 23:41:32.34 ID:8SnvSe8Q0
ブライダルフェア
いや、たいして怖くないんだけどホントの話
遺伝とは怖いもので、デブのおれの娘も小学校高学年になると太ってきた。

ダイエットもかねて、近くの山に2人で登ることを、
毎週おこ
なうようになった。頂上まで1時間すこしかけて登る。
こんなことを数カ月して、俺の腹も、娘もすこし鍛えられてきた
3月の末ごろ。うるさいくらいのウグイスの声を聞きながら下山していると、
娘が「○○テレビしようよ。」と言ってきた。



830: 本当にあった怖い名無し:2012/04/08(日) 23:42:44.95 ID:8SnvSe8Q0
○○テレビとは、地方局のテレビCMっぽい口調でチープなCMを即興で考えてしゃべること。
暇なとき車で見える看板の店や会社のCMを即興でやるのだが、
妻は、「また始まったの。」とあきれ顔。

しかし、なぜか娘は大好
きで、上手に合いの手を入れるようにもなってきていた。
まあ、遺伝とは恐ろしいものですな。
ホントにバカみたいな、他人から見たら何が面白いのかわからない遊びなんだけどね。


831: 本当にあった怖い名無し:2012/04/08(日) 23:43:58.26 ID:8SnvSe8Q0
「お題は?」
「じゃあ近所にできた紳士服のシマダ」
「男の色気は身だしなみから、あなたのファッションをリードす
る紳士服のシマダ。2パンツセットで19800円から。
紳士服のシマダはフレッシュマンを応援しています。」
で、娘が「今ならブライダルフェア実施中。」と締めた。
「紳士服でブライダルフェアはおかしいやろ。」と娘と笑いあった。


833: 本当にあった怖い名無し:2012/04/08(日) 23:45:15.32 ID:8SnvSe8Q0
「次はオレな。お題は仏壇仏具の木村屋」
「どこいいくの?」「木村屋」
「おきにいりは?」「木村屋」
「葬儀のことなら?」「木村屋」
「仏壇仏具は?」「木村屋」
「なんでもそろーう、木・村・屋~。」 と娘が言った後、

自分たち
の右手の林から
「ブライダルフェア ジッシチュウ!!」
という声が聞こえてきた。
かわいいが、気味悪い。何というかインコの鳴きまねのような声。


834: 本当にあった怖い名無し:2012/04/08(日) 23:46:33.54 ID:8SnvSe8Q0
固まる二人
「聞こえた?」「ああ。」
「人間っぽくないよね。」「モノノケのたぐいっぽい、、。」

そしてもう一度
「ブライダルフェア ジッシチュウ!!」
と誰もいない林から聞こえる。
「逃ぃげろ―!」と急いで下山した、、、。

下の駐車場まで来ると、頂上の石碑まで青空をバックによく見える。
頂上に木は生えておらず、不思議とよく見えるのだ。
頂上にはオレンジ色ウインドブレーカーを着た、ヒトガタが見える。

のぼり口はここしかなく、めったに人が訪れないこの山の駐車場に車は止まっていないのに。
俺のウインドブレーカーそっくりなのがこの距離でもわかる。
「だれともすれちがっていないよな。」「うん。」
「あれ。どう思う?」「わからん。」
娘は半泣きなので、急いで帰宅した次第、、、。
あのヒトガタが、あの声と関係あるのかどうかわからない。


836: 本当にあった怖い名無し:2012/04/08(日) 23:47:36.22 ID:8SnvSe8Q0
その後のこと
その山の下には高速道路が走っていて、自分たちが車で旅行をする時
必ずこの山の下を通る、数週間後、ディズニーランドへいくために山
の下の高速を通った。何気なく頂上をみると、石碑のシルエットと
オレンジの、、、ヒトガタ!!!

「見てみ。」「あれやな。」と娘
「何なん?」と妻。加速する俺、、、。ということがあり。
1年半ぐらいずーっとそのヒトガタは、自分たちがみた限りいつもそこにいた。
一度日曜の昼下がり自宅から望遠鏡で覗くと、石碑と共にもう

一つのシルエットがみえたものだ。

妻発信で、近所やママ友同士のうわさになり、登山決行した猛者もいたそうな。
しかし、中腹の見通しの良いところまでまで見えているヒトガタは。
その後、頂上が見えなくなる行程をへて頂上に登るといなくなっているらしい、、、。


837: 本当にあった怖い名無し:2012/04/08(日) 23:48:37.21 ID:8SnvSe8Q0
ポツリポツリと、ヒトガタがいないときがあり
娘が中学校に上がる頃には、いつのまにかヒトガタも消えてしまい、
娘も痩せて、彼氏ができたらしく、俺につきあって遊ぶことも少なくなった。

オレンジ色のウインドブレーカーは、今も現役。
なんでヒトガタが俺と同じ服を着ていたのか。わからない。
「ブライダルフェア」が何であったかわからない。
それだけの話。
(実は、この話の中には多くのフェイクがあります。ちょっとした騒ぎに
なったためそのままだと読む人が読んだら、自分たちが誰であるか、
わかっ
てしまうため。でも、大筋では事実に沿っています。)



839:
本当にあった怖い名無し:2012/04/08(日) 23:51:49.65 ID:7NYvCdWW0
>>837
興味深い話ですねえ
不思議だ



840:
本当にあった怖い名無し:2012/04/08(日) 23:52:00.73 ID:ObjhYUr60
いいんじゃないかな
山系の話好きだな
山は恐い



793: 1:2012/04/08(日) 21:40:13.72 ID:D8CCaY6k0
アケミちゃん 後編
先日のID:izNH2elO0です

予定より早く帰って来れたので先日の続きを書きます。

5月の事件から1ヶ月以上過ぎた6月末、その頃になると警察も
「何かあったら電話してね」
と言って巡回してこなくなっていた。
俺自身、もう流石に無いだろうと勝手に思い込みかなり油断していた。
それがいけなかったのかもしれない。

その日俺は夜中に小腹が空いたので、ちょっと何か買って来ようと駅前のコンビニまで
行く事にした。時間は確か夜の10時半か11時頃だったと記憶している。
コンビニで買い物をして外に出ると、まだ終電の時間すら過ぎていないのに駅前にやけに人が少ない。
前回と同じ状況なのに、その時の俺はこんな事もあるんだなと特に気にせず歩き始めた。

暫らく暗い夜道を歩いていると、いつも通る公園に差し掛かった。
すると、街灯の明かりに僅かに照らされてベンチに誰か座っているのが見えた。
ただ
距離が少し離れていたのと、街灯があるとはいえそんなに明るくないので
誰が座って
いるのかまでは解らなかったが。

「こんな時間になにやってんだろ?」と思いながら公園を通り過ぎようとすると、
その人影がこちらに気付いて駆け寄ってきた。
シルエットからどうやら女のようだと気付いた瞬間、俺は自分がいかにうかつな人間
であるかを後悔した、予想通り駆け寄ってきたのはアケミちゃんだった…

続く


794: :2012/04/08(日) 21:40:51.97 ID:D8CCaY6k0
>>793の続き

アケミちゃんはニコニコしながら「やっと会えたね」と嬉しそうだ。
手元には例の少し大きめのバッグも持っている、どう見てもその中には
例の中華包丁が
入っているのだろうことは容易に想像が付く。

俺は何故かその時、かなり混乱していたようでこんな状況にも関わらず
「相手が
アケミちゃんじゃなければ、こんな最高なシチュエーションはないのに」と、
この期に及んで
わけの解らない事を考えていたのを覚えている。

そんな事を考えながらも、なんとかして逃げないといけないとも考えをめぐらした。
アケミちゃんとの距離はまだ4~5m離れている、彼女はなんと呼べば良いのか知らないが、
履いているのはヒールのついたサンダルみたいな靴のようで、明らかに走り難
そうに見える。

ちなみに俺はスニーカー、そのうえ高校時代はバスケ部だったので
そこそこ体力にも
自信がある、このまま走って逃げれば振り切れそうだ。
自宅の方向へ逃げるのは不味いと感じた俺は、タイミングを見計らい道を90度曲がり
自宅とは別方向へ全力疾走した。

走りながら俺は警官に言われた事を思い出した「携帯の番号登録しておくから、
話が
できなくてもかけてさえくれればアパートにパトカーを向かわせるよ」と。
慌てていつも携帯を入れているほうのポケットに手を突っ込んだのだが、
携帯が無い、
反対側とケツのポケットにも手を当てて確認したのだが無い。

そういえば、どうせ直ぐに戻ってくるしと思ったので、携帯は充電器に差しっ放しで出てきたんだった…
俺は自分の迂闊さを心底後悔した。

続く


795: :2012/04/08(日) 21:41:39.88 ID:D8CCaY6k0
>>794の続き

たぶん1km近くは走ったとおもう。
今考えるとかなり不自然なのだが、その間車は何台かすれ違ったが、
歩いている人には一切
出会わなかった、夜中の11時頃とはいえなんかおかしい、偶然か?
もう流石に追ってきていないだろうと考えた俺は、一端立ち止まりこれからどうするべきか考えた。

そこである事に気付き、今来た道とは別ルートでさっきの公園まで戻る事にした。
気づいた事とは、その公園には今時珍しく電話ボックスがあったのを思い出したからだ、
途中でアケミちゃんに出会うリスクはあるが、今時「確実に電話ボックスがある場所」というのは
かなり貴重だ、とにかく警察に連絡を取らないといけない。

俺は神経質なくらい慎重に、曲がり角では特に細心の注意を払いながら、
かなり時間をかけて
公園まで戻った。
公園につき周囲をうかがい更に公園の周りを一周して確認したが人影は一切無く安全そうだ。

安全を確認できた俺は電話ボックスへと向かうと扉を開けた。
その時、俺の肩を誰かが叩いた。
「マジですか…」このとき俺は一生のうちで最大の絶望感を感じていた、
そして「きっと彼女とは
別の人だ」という僅かな期待をもって振り向いた。
そこには、当然のようににっこりと可愛らしい笑顔で俺を見つめるアケミちゃんがいた。

「うへぇあああああああああああああああ!」

続く


796: :2012/04/08(日) 21:43:39.08 ID:D8CCaY6k0
>>795の続き

俺はかなり情けない叫び声を上げて地面にしりもちをついた。
アケミちゃんはそれがおかしかったのか、俺を見下ろしながらクスクスと笑っている、
その笑顔
がやっぱりかなり可愛くて、可愛いからこそよけいに不気味だった。

こんな情けない状況でも、それでも俺は虚勢を張って
「この前と言い今回と言い、なんで
場所がわかるんだよ!」とかなり強気に質問を投げつけた。
するとアケミちゃんは、またクスクス
と笑いながら「だって、○○君のジーンズのポケットの中に
“私”がいるから、どこにいてもわかるよー」と
言い出した。

訳が解らない、こいつやっぱおかしい、いわゆる「本物」ってやつに出会ったことは無いが、
これが
本物というやつなんだろう、俺があっけに取られていると、
アケミちゃんは「お尻のほうの右の
ポケットだよー」と言い出した。
どうやらポケットの中を確認しろということらしい。

逆らったら何をされるか解らない、おれは地面に座ったまま腰を少し浮かせポケットの中を確認してみた。
すると中に何か長細い物がある、乾電池?と思いながらそれを取り出すと、

街灯の薄明かりに照らされたそれは人の指のようなものだった。

「ううぇ!」

続く



797: 5:2012/04/08(日) 21:44:40.34 ID:D8CCaY6k0
>>796の続き

俺はまた情けない叫び声を上げてそれを地面に投げ捨てた。
が、投げ捨てて気付いたのだが、触った感触といい質感と言いどう見ても本物の
指では無さそうだ、どうやらマネキンか何かの指らしい。

するとアケミちゃんがにっこりと微笑みながら「捨てちゃダメだよー」と言いながら
指を拾い上げ目の前に屈みこむと、俺のポケットに指を戻し、そして耳元でこんな事を囁いた

「次“私”を捨てたら殺すから」

俺は何か言い返したかったが、あまりの事に頭が真っ白になってしまい、
ただ顔を引きつら
せることしかできなかった。

「ヤバイ、ヤバ過ぎる、こいつとんでもない、早くなんとかしないと殺される…」
しかし頭の
中は完全にパニック状態、とてもじゃないがこの状況で冷静な思考などできない。
するとアケミちゃんは「こんなところで話しているのもなんだし、○○君のおうちいこ」
というと、俺の腕を掴み片手で引っ張り起した。

一応書いておくと、俺は身長175cm、体重は72kg、説明するまでも無いが、
女の子が
片腕で引っ張り起せるような体格ではない。
とても10代の女の子とは思えない物凄い力だ。

続く


798: :2012/04/08(日) 21:45:40.27 ID:D8CCaY6k0
>>797の続き

あまりの事に唖然としている俺の腕を引っ張り、アケミちゃんはどんどん俺のアパートの
方向へと進んで行く、どうやら俺の住んでいる場所も既に突き止めているようだ。

その時気付いたのだが、また電車の時のようにカチ、カチ…カチ、カチ…とプラスチックの
ような硬い軽い物がぶつかり合うような変な音がしている、アケミちゃんはニコニコと
嬉しそうだ、そしてようやく気付いたのだが、
どうやらこのカチ、カチという音はアケミちゃんが
歩くたびに鳴っているらしい。
その時はどこから鳴っているのかはさっぱり解らなかったが。

歩きながらアケミちゃんはかなり嬉しそうだ、そして俺の腕をしっかりと掴んでいて
離しそうにはない、俺は自宅につくまでになんとかこの場を切り抜ける方法を
考えな
ければとあれこれ思考をめぐらした。が、そうそうそんな良い方法が
思いつけるわけも無く、
かと言って文字通りありえないレベルの
「怪力女」であるアケミちゃんを力ずくで
振り切るなど不可能だ、
そしてなんら解決策が出てこないままとうとう自宅アパートに
到着してしまった。


812: :2012/04/08(日) 22:47:32.01 ID:D8CCaY6k0
>>798
部屋に着くとアケミちゃんは楽しそうに俺の部屋を物色し始めた。
「男の人の部屋てやっぱ結構散らかってるんだねー」とか言いながら色々見て周っている。
が、俺のほうは気が気ではない、今は機嫌が良いが、このあからさまなメンヘラちゃんが
いつ機嫌を損ねるか解らない、そして機嫌を損ねたら恐らく俺は殺される。
すると彼女は「部屋散らかっているし片付けてあげるね」と言い出した。

この状況だけ見れば物凄く「おいしい」シチュエーションだ、まるで付き合ったばかりの
彼女を始めて自分の部屋に呼んだような、そんな状況と言っても過言ではない。
しかし、部屋にいるのは巨大な中華包丁をバッグの中に隠し持ったコテコテのメンヘラ
さんであり、俺はメンヘラさんに捕らえられた哀れな獲物でしかない。

そんな事を考えていると、アケミちゃんは例のカチ、カチ…カチ、カチ…という音をさせながら
部屋の隅に無造作に積み上げられた雑誌やマンガやテキストや
その他諸々を種類ごとに
わけて整理し始めた。
その時、恐らく彼女は髪の毛が邪魔に思ったのだろう、
少し無造作に自分の首もとの髪を
かき上げた。

その時俺は信じられない物を見た。
アケミちゃんが髪をかき上げて見えた首筋に薄っすらと線が入っており、それは後ろの方まで
続いているのだが、丁度うなじの真上部分で「縁が欠けている」ような状態になっていてそこだけ
「ちゃんとかみ合っていない」としか見えない状態になっている。
そしてそのかみ合ってない部分が、アケミちゃんが動くたびにカチ、カチと鳴っているのだった。

続く


813: :2012/04/08(日) 22:48:11.60 ID:D8CCaY6k0
>>812の続き

一瞬の事だったが見間違いではない、明らかにアケミちゃんの首筋には「つなぎ目」がある。
俺は頭の中が???????でいっぱいになった。
「なんだこれは?俺の目の前にいるのは
一体なんだ?」
ここにきてアケミちゃんは危険なメンヘラさんであるという認識を改め、
なんだか
良く解らない人間ではない何かの可能性が出てきた。

そんな事を考えながら俺がアケミちゃんの首元を凝視していると、
それに気付いたのか「なんですかぁ?
恥ずかしいじゃないですか」と
にこやかに笑いながら、また部屋の整理をしている。


その時、恐らく後で整理しようとしていたのだろう、
棚の少し上のほうに置いてあったテキストや辞書
などがアケミちゃんの頭に落っこちた。
ドザッ!と大きな音がして、その後「いったー」と頭をさすりながら
どじっちゃいました的な顔を
して俺のほうを見た。

が、その姿は異様だった。
首筋に入った線のところから明らかに首が「ずれて」いる。
アケミちゃんは「あー…」と言いながら首を元に戻すと、何事も無かったようにまた本や雑誌の
整理をしはじめたのだが、俺の頭の中はパニック状態だ。

「一体あれはなんなのか」「俺は一体
何を見た???」意味不明すぎる、
一つ解った事は俺の目の前にいる「それ」は明らかに人間では
ないということだ。

続く


814: :2012/04/08(日) 22:48:40.82 ID:D8CCaY6k0
>>813の続き

パニックになりながらも、俺はこれからどうするべきか考えた。
すると、ふとベットのところに置いてある充電器にささったままの携帯が目に入った。
「これだ!」警察官が言っていた、電話さえすれば返事がなくともパトカーを様子見に送ると。
俺はアケミちゃんに悟られないように、そして不自然にならないように、可能な限り自然な動きで
ベットのところまで移動し携帯のほうを見ようとすると、
アケミちゃんが「携帯さわっちゃだめ
だよ」と振り向きもせずに言い出した。

「洒落にならん…気づいてやがった…」
そのまま動く事が出来ず呆然としていると、アケミちゃんが
すくっと立ち上がり、
俺のほうへやってくると、携帯を充電器から抜き取り自分のバッグの中へ

としまい、何も言わずにそのまま部屋の片付けに戻っていった。
これからどうするべきか、何か考えないといけないのだが、
あまりの出来事に動揺してしまい
思考が上手くまとまらない。

とりあえずあたりを見回してみると、ふと中身が入ったままの電気湯沸しポットが目に付いた。
そこで、俺は普段なら絶対に考え付かない方法を思いついた。
こいつは中に結構な量のお湯が入ったままだ、こいつでぶん殴れば流石に…

俺は別にフェミニストとかそんなんではないが、
流石に普通なら女の子に暴力を振るうような
事は躊躇われる。
が、今は状況が状況だし、そもそもアケミちゃんは男か女かとか以前に

明らかに人ではない、「躊躇われる」なんてかっこつけていられるような余裕も無い。

続く


815: 10:2012/04/08(日) 22:49:20.45 ID:D8CCaY6k0
>>814の続き

俺は意を決してポットの取っ手を握り締めると

「うあああああああああああああああああああああああ」

と絶叫しながらアケミちゃんの頭を全力でぶん殴った。
アケミちゃんはそのまま壁の反対側まで吹っ飛び倒れた。
そして俺が様子を見ようとするとムクッと上半身を持ち上げ「いったーい、何するの?」
と、まるでおふざけて小突かれてちょっと怒った振りするようなそんな感じの返事を返してきた。

俺はアケミちゃんの姿を見て恐怖心で動けなくなった。
返事が状況に似つかわしく無いからではない、なんと説明すれば良いのか、上半身を
起き上がらせたときに、顔の鼻から上といえばいいのか、それとも眼窩の下の部分から
上といえば良いのか、その部分がボロッと顔面から落っこち、「鼻から下だけ」になった
顔がそんな事を言っていたのだ。

ありえない。
あまりの事に動けなくなっていた俺だが直ぐにわれに帰り、手に持っていたポットを
アケミちゃんに投げつけると、後ろを振り返り玄関へダッシュすると、そのまま外へ逃げ出した。
そして道路まででると一端アパートの方を振り返ったのだが、そこでまたとんでもない物を目撃した。

続く


816: 11:2012/04/08(日) 22:49:53.57 ID:D8CCaY6k0
>>815の続き

俺の部屋は2階にあるのだが、アケミちゃんが部屋の窓から身を乗り出し、
片手に
中華包丁を、もう一方の手に自分の頭のパーツを掴み、
丁度俺のほうを見ながら
下へと飛び降りるところだった。
俺はもう頭はパニック状態、ションベン漏らしそうになるほど恐怖し、いい年こいて
涙目になりながらもう道順も目的地も何も関係無しに全力で逃げ出した。

後ろのほうから、かなり遠くにだがカチカチカチカチ…と音がする。
恐らくアケミちゃんが俺を追ってきている音だ。
俺は「追いつかれたら確実に殺される」と思いながら、ふとさっきアケミちゃんが
言っていた事を思い出した。

「“私”を捨てたら殺すから」と。
“私”ってどういう意味だ?本体はあの指ってことか?意味が良く解らないが、とにかく
これが鍵になりそうではある。しかしどうしたらいいのかは解らない、
捨てなければ
どこまでも追いかけられるだろうし、しかし捨てたら殺すと言われた。

だが、そもそもこの状況、どう考えても指を捨てようが捨てまいが追いつかれたら殺される。

続く


821: 12:2012/04/08(日) 23:15:40.67 ID:D8CCaY6k0
>>816の続き

こうなってくると、問題は捨てるか捨てないかではなく「どう捨てるか」だ。
そんな事を考えながら走り続けていると大きな道路に出た。
そして、その道路を
渡った100mくらい先のところに、神社らしき鳥居が見える。

俺は何の根拠も無く「これだ!」と思った。
もう屁ヘトヘトに疲れていたが、最後の力を振り絞って全力疾走すると、道路を横断し
鳥居を潜り、ポケットの中から例の人形の指を取り出すと、それを拝殿の中に投げ込んだ。
それと同時に、道路のほうから

キィィィィィィィィィィィ!

と車が急ブレーキを踏む音が聞こえてきて、その後 ドンッ!と結構大きな音がした。
鳥居越しに車が停まっているのが見える、もしかしてアケミちゃんを轢いたのか?
そんな
事を考えながら恐る恐る道路に出てみると、
30代くらいのおじさんが車の前に立って
どこかに電話している。

様子から察するに警察か救急車だと思われるのだが、
不思議な事にあたりを見回しても
それらしき人影が無い。
俺が「どうしたんですか?」とおじさんに声をかけると、
「それが…今人を轢いちゃった
はずなんだが…
見ての通り人なんていないんだよ、でとりあえず警察にとおもって」

という。

続く


822: 13:2012/04/08(日) 23:16:21.91 ID:D8CCaY6k0
>>821の続き

タイミング的に明らかに轢かれたのはアケミちゃんのはずなのだが…とふと道路の
端のほうを見ると、なんかの残骸みたいなものがいくつか転がっている。
恐る恐る近付いてみると、それは人形の残骸だった。
そして、胴体や足の部分の衣服などを見る限り、それはどう見てもアケミちゃんのものだった。

俺は混乱した。
たしかに人形みたいな形跡はあったが、こんなあからさまに安っぽい人形の
姿では無く、もっと質感的にも普通の人間っぽかったはずだ、ここにあるのはなんだ?
どういうことだ?“私”を神社に投げ込んだからお払いが出来たのか?そんなご都合主義
な事がありえるのか?頭の中が「?」でいっぱいになった。
が、目の前にある現実は変わらない。

そうこうしていると警察がやってきた。
俺も一応目撃者というかある意味被害者なので、
色々と事情を説明したのだが、
当然意味不明すぎて警察も信じてくれない。
アケミちゃんらしきものを轢いてしまった人も、あまりにも意味不明で何が起きている
のか理解できないらしく、なんかちょっと興奮気味に警察に何か話していた。

ただ一つだけ不思議な事があった。
人形って普通は手や足を胴体と繋ぐジョイント部分ってものがあるよな?この人形、
警察も不思議に思っていたようだが、そういうジョイント部分が一切なかった。
つまりどうやって人の形に接続されていたのかがさっぱりわからない。

アケミちゃんのあの姿からして、中に何か入っていたんじゃないかとか、
色々怖い想像
をしてしまうのだが、今となっては何も解らない。
そもそもこの人形の残骸は、そのまま警察が証拠品として持ち帰って行ってしまい、
その後どうなったかわからないからだ。

続く


823: ラスト:2012/04/08(日) 23:17:03.42 ID:D8CCaY6k0
>>822の続き

なんともあっけない幕切れなのだが、実はこの後何も無い。
自宅に帰ってみるとどうもあの騒ぎを誰かが通報したらしく、警察がやってきていた。
そして部屋に残されていたアケミちゃんのバッグを証拠品としてもって行ったのだが、
結局身元がわかるようなものは何一つ無かったらしい。

ただ携帯に関して後から変な事を教えてもらった。
アケミちゃんの持っていた携帯、もう何年も前に解約したものらしく、書類上はとっくに
廃棄されているはずのもので、通話を受信できるような代物ではなかったらしい。

その後現在まで、俺はアケミちゃんに出会うことはありません。
ただし、今でも急に人気が無くなったり、元からあまり人気が無いような場所は恐ろしくて近付けません。

人形に関しては、いろいろと想像できる部分もあるのですが、
あまり憶測で書きたくない
のと、変に想像すると現実になりそうで怖いので、
そういう事はこれを読んでいる
みなさんのご想像にお任せします。

以上です。
2日間に渡り長々とお付き合いありがとう御座いました。



835:
本当にあった怖い名無し:2012/04/08(日) 23:47:12.44 ID:7NYvCdWW0
>>823
乙です
スゴく怖いです。



826:
本当にあった怖い名無し:2012/04/08(日) 23:20:30.37 ID:v43Yyd7d0
乙面白かったまた何かあったら書き込んでね



849:
本当にあった怖い名無し:2012/04/09(月) 00:53:22.57 ID:py94zkcc0
アケミのひと、おもしろかったです。
何なのかあまり分からない不気味さがよかった。
アケミは結局人形だったのか、それとも人形に憑いた何かだったのか…

マネキンの指ってあったし、
捨てられた人形な気がするけど

つか今外で錫杖鳴らしたみたいな音なった。怖い。




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