戻る

このページは以下URLのキャッシュです
http://karapaia.com/archives/52292622.html


ジュラシック・パークで有名になった恐竜「ディロフォサウルス」はトカゲより鳥に近い(米研究) : カラパイア

ディロフォサウルス
ディロフォサウルスは鳥に近い/iStock

 「ディロフォサウルス」という恐竜は、映画『ジュラシック・パーク』に登場したことで一躍有名となった。首にエリマキトカゲのような襟飾りを持ち、頭からニワトリのようなトサカを2枚生やし、ついでに毒液を吐き出すアイツらのことだ。

 これらは演出であって、実物とはかなり異なる。だが、新たに発表されたディロフォサウルスの化石の分析結果は、映画に負けないくらい奇抜な真実の姿を明らかにしている。

 映画では小型の恐竜として描かれているが、じつは全長6メートルに達する当時最大の陸生動物で、現代の鳥と共通点が多かったようだ。
スポンサードリンク

知名度は高いが、実態は謎だらけの恐竜


 「ディロフォサウルス」は、1億9300万年前のジュラ紀初期に生息した獣脚類だ。映画のおかげで知名度は高いが、実際の姿や系統樹の位置などについては意外なほど不明な点が多い。

 しかも困ったことに、初めて発見されたディロフォサウルスの化石はついて少々混乱が見られる。その化石を再構成して調べた結果が発表されている1954年の研究論文では、一体何が再構成されたのかという点についてはっきり述べられていないのだ。

 そのために、ディロフォサウルスに関する初期の研究がどの程度、実際の化石記録に基づくものなのか判然としなくなってしまっている。にもかかわらず、これはその後のディロフォサウルス研究のいわばスタンダードとして扱われるようになった。

ディロフォサウルス
image by:Brian Engh / The Saint George Dinosaur Discovery Site

通説とは異なり、力強い筋肉を持っていた


 この恐竜の真の姿を知るために、テキサス大学オースティン校博士課程の学生だったアダム・マーシュ氏(現、化石の森国立公園)らは、ディロフォサウルスの完全な標本5体を分析した。

 初期の研究では、ディロフォサウルスには傷つきやすいトサカと弱いアゴがあると記述されている。これはジュラシック・パークに登場する彼らの姿にも反映されているものだ。

 だが、『Journal of Paleontology』(7月7日付)で発表された事実は逆だ。顎骨には力強い筋肉の土台として機能したらしき痕跡が見られるという。

 さらに2枚のトサカの部分も含め、一部の骨にはところどころ空気をためる空間があり、骨格を補強していたらしいことも分かっている。これは緩衝剤のプチプチをイメージしてもらえばいい。

ディロフォサウルス・ウェテリリ
ディロフォサウルス・ウェテリリの右後ろ足image by:(Credit: Matthew Brown / UT Austin Jackson School of Geosciences)

現代の鳥に似た特徴


 こうした空気嚢はディロフォサウルス特有のものではなく、現代の鳥や世界最大の恐竜にも見ることができる。これによって負荷を軽減できるので、恐竜なら重たい体で押し潰されることを防げるし、鳥なら空を飛びやすくなる。

 また鳥の場合、空を飛びやすくする以外にも、皮膚の伸びやすい部分を膨らませて求愛したり、大きな鳴き声を出したり、熱を逃したりするために空気嚢を利用することもある。
 
 ディロフォサウルスの副鼻腔からトサカに向けて気泡嚢や管が複雑に伸びているという事実は、この恐竜もまた鳥のようにこの部分を利用していた可能性を示しているそうだ。

2_e0
ディロフォサウルスの頭蓋骨 image by:The Saint George Dinosaur Discovery Site

今後も近縁種が発見される可能性


 なお、分析された化石はいずれもアリゾナ州カイエンタ層のナバホ・ネイションに属する土地で発掘されたもの。

 マーシュ氏らが、その解剖学的な特徴を記録し、アルゴリズムを利用して各化石の比較を行ったところ、いずれも間違いなくディロフォサウルスのものであることが確認されたという。

 このアルゴリズムによって、進化の視点から見たディロフォサウルスとその近縁種との違いも明らかにされた。その結果からは、まだ他にも近縁種がいるだろうことが推測されるそうだ。

A comprehensive anatomical and phylogenetic evaluation of Dilophosaurus wetherilli (Dinosauria, Theropoda) with descriptions of new specimens from the Kayenta Formation of northern Arizona | Journal of Paleontology | Cambridge Core
https://www.cambridge.org/core/journals/journal-of-paleontology/
References:news.utexas/ written by hiroching / edited by parumo
あわせて読みたい
南極で発見された謎の化石の正体がついに判明、巨大な卵であることが判明。


白亜紀に生息していた古代ワニは恐竜のように二足歩行していた


オーストラリアで初めて発見された珍恐竜「エラフロサウルス」は肉食から草食へと変化する


ティラノサウルスの脚を分析。短距離走よりも長距離走に適したタイプだったことが判明(米研究)


新たに特定された7000万年前の羽毛の肉食恐竜、チーター並みのダッシュ力

この記事に関連するキーワード

キーワードから記事を探す

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
カラパイアの最新記事をお届けします
この記事をシェア :    

Facebook

コメント

1

1. 匿名処理班

  • 2020年07月11日 21:01
  • ID:6cqthzC60 #

まさかの、漫画「伝染んです」の山田先生の御先祖様・・・無いか。

2

2. 匿名処理班

  • 2020年07月11日 21:41
  • ID:aUB93CCi0 #

襟巻と毒液は何だったんだろうな

3

3. 匿名処理班

  • 2020年07月11日 22:11
  • ID:HRuHDw.30 #

ジュラシックパークの恐竜はもう疥癬にしか見えない。翼竜なんかも含めてそろそろ羽毛を着せてあげて欲しい。

4

4. 匿名処理班

  • 2020年07月11日 22:19
  • ID:yGHU.Jv70 #

で ? コイツの唐揚げにレモン汁をかけたらどうなる ? 許されるのかね ?

5

5. 匿名処理班

  • 2020年07月11日 22:24
  • ID:lbgCya.L0 #

太っちょのシステム屋を襲ったやつか

6

6. 匿名処理班

  • 2020年07月11日 22:27
  • ID:77F4L0Ox0 #

※2
ジュラシックパークの恐竜は遺伝子の不明箇所を他の生物で補ってるので
毒吐きコブラとかエリマキトカゲとかが混ざったんじゃないだろうか

7

7. 匿名処理班

  • 2020年07月11日 22:45
  • ID:DTLYNoOL0 #

こいつ毒飛ばして目潰ししてくんねん、初期の頃に出会うと厄介な相手やねん

お名前
スポンサードリンク
記事検索
月別アーカイブ
スマートフォン版
スマートフォン版QRコード
「カラパイア」で検索!!
スポンサードリンク