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男女9人が不可解な死を遂げた「ディアトロフ峠事件」の謎、60年越しについに解明か : カラパイア

ディアトロフ峠事件
ディアトロフ峠事件の謎をついに解明 image by:public domain/wikimedia

 1959年、旧ソ連領ウラル山脈北部で男女9名のトレッキングチームが不可解な死を遂げた。

 テントは内側から切り裂かれた痕跡があったほか、遺体は下着姿で、頭蓋骨や肋骨を損傷。中には眼球や舌が失われているものもあった。数人の衣服からは高い線量の放射線物質まで検出さている。

 当時、ソ連の捜査当局は「抗いがたい自然の力」によって死亡したと発表。しかしあまりにも不可解な状況から、KGBや宇宙人が関与しているなど、さまざまな憶測が流れた。

 「ディアトロフ峠事件」と名付けられたこの謎めいた事件も、その発生から約60年の月日を経て、ついに真相が解明されたようだ。ロシア連邦最高検察庁が雪崩によるものと結論付けた。
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極寒の雪山で起きた悲劇


 1959年1月下旬、ウラル科学技術学校の学生ならびに卒業生である男女10名が、ウラル山脈オトルテン山を目指して遠征に出発した。

 途中、1名が持病のリウマチを発症したために、パーティから離脱。これが1月25日のことで、これ以降、生存中の一行を目撃した者は誰もいない。

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 2月26日、家族からの要請で一行の捜索にあたっていた救助隊が、ホラート・シャフィル山(マンシ語で「死の山」の意)で遺棄されたテントを発見。テントは損傷がひどく、内側から切り裂かれた痕跡があった。

 その後の捜索で、付近から一行全員の遺体が発見。

 死因は全員が低体温症だったが、1名は頭部、2名は肋骨をひどく骨折しており、調査からはその衝撃が交通事故にも匹敵しただろうことが分かっている。さらに後者の遺体については舌や眼球も失われていた。

 奇妙なことはまだある。極寒の雪山での事件だというのに、遺体は薄着で、靴を履いていないものもあったのだ。それどころか衣服の一部からは高い線量の放射線まで検出されている。

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事件から60年、ついに謎が解明。雪崩による雪の圧力によるもの


 あまりにも不可解な状況で、国民からの反響が大きく、また犠牲者の遺族たちも真相の究明を訴えていたことから、ロシア連邦最高検察庁によって事件発生から60年後も捜査が続けられていた。

 そしてこのほど、ついにその謎を解明したとウラル連邦管轄区検察局次長アンドレイ・クリヤコフ氏によって発表された。

 それによると、死因は低体温症で、遺体の損傷は雪崩による雪の圧力によるものであるとのことだ。

 同氏によると、一行は雪崩の危険から逃れるために、自然の防波堤となる尾根の裏側へ避難したのだという。これは正しい判断ではあったが、当時、視界はわずか16メートルと限られており、テントを見失ってしまった。

 そこで彼らは焚き火をしたが、火は1時間後には消えてしまい、2名が低体温症で死亡。一行はここから二手に分かれて、テントを探した。

 一行のリーダーであったイーゴリ・ディアトロフが率いたグループは、テントの方向へはって向かったが、森を離れた途端に突き刺すような風に吹かれることになった。マイナス40〜45度という寒さの中、テントにたどり着くことも叶わず、やがて凍え死んだ――。

 なお、一行が薄着だったのは矛盾脱衣(寒いにもかかわらず服を脱いでしまう異常行動)と関係があると考えられている。

ディアトロフ峠事件

数トンの雪で圧死。生存のチャンスはなし


 もう一方のアレクサンドル・ゾロタリョフが率いたグループは、雪を掘って寒さをしのごうとしたのだという。だが、そのせいで雪崩を起こして潰されてしまった。遺体に見られた骨折は、重さ数トンもの雪の圧力によるものだ。

 クリヤコフ氏によると、テニスボールの片面に荷重をかけると、荷重をかけた部分ではなく、その反対側が破裂するのだという。じつは遺体の損傷はどれも体の反対側で見つかっているのだそうで、このことが雪の重みで潰されたことを物語っているとのことだ。

 「彼らの戦いは英雄的なもので、パニックに陥るようなことはなかった。が、それでも生還するチャンスは残されていなかった」と、クリヤコフ氏は語っている。

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これまでに出ていた様々な説を検証、だが遺族らは...


 クリヤコフ氏らの捜査では、事件に関する諸説も検討されている。

1.UFO説
 登山当日、事件現場の南50キロの地点で奇妙な光球が目撃されているため、UFO説が提唱されているが、これは幻想であるとして否定された。

2.ミサイル発射説
 これに関連して、じつはカプスチン・ヤール演習場からミサイルが発射されていることが確認されている。しかし、それはディアトロフ峠からは見えなかったはずであるために、ミサイル関連説も否定された。

3.核爆発説
 また付近に核実験場があったために、核爆発で死亡したという説もある。しかし一行の所持品から被爆した形跡が見つかっていないため、同説は根拠なしとされた(もしそうなら検出された程度の線量では済まない。線量は大気汚染でも検出される程度だった)。

4.暴風説
 特に念入りに検討されたのが暴風説だという。現場付近では秒速50〜70メートルもの凄まじい風が吹くことがあるからだ。しかし気候学者によってこれも否定され、地震の記録がないことも確認されたという。
 
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 クリヤコフ氏によると、この発表をもって捜査は打ち切られることになるそうだ。「形式上はこれで終了。事件は一件落着」と、同氏は結んでいる。

 一方、遺族側を代表する弁護団体は、この結論に納得していないようだ。同団体は産業事故の可能性しか考えられないとして、検察の発表には同意していない。

References:mysteriousuniverse/ written by hiroching / edited by parumo
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コメント

1

1. 匿名処理班

  • 2020年07月17日 20:47
  • ID:gIsa6f8h0 #

あれ、放射線は?

2

2. 匿名処理班

  • 2020年07月17日 20:51
  • ID:83bPPP6x0 #

ウィキには、幾つかの遺体の衣服から高い放射線量が検出されたって書いてあったけど、この記事には被曝してないって書いてあるよね。
そこ、大きなポイントだと思うんだけど、どっちが正しいんだろう?

3

3. 匿名処理班

  • 2020年07月17日 20:52
  • ID:CRy.Wc.v0 #

去年あたりに見た番組だと暴風説だったね
山の形と周囲の地形で竜巻みたいな風がテントのすぐ側まで来て〜みたいな感じだったと記憶してる

4

4. 匿名処理班

  • 2020年07月17日 20:55
  • ID:.cyYNpqg0 #

寒いのに服を脱いじゃうシーン、映画八甲田山にもあった。

5

5. 匿名処理班

  • 2020年07月17日 20:56
  • ID:hfwKy.Y20 #

うん。
俺はスパイ容疑で特務部隊に尋問・撲殺された説を推す。
付近には軍の秘密施設があり、隊の一人は実際にスパイ容疑濃厚で、
カメラなど諜報用と思しき機器を複数所持し偽名を使って帯同していた。
彼は木の下まで逃げ、その足跡ははっきりと残っており、そこで仰向けに倒れて死んでいた。
背後から襲われた形跡大。

6

6. 匿名処理班

  • 2020年07月17日 21:04
  • ID:5yvQPVO10 #

※3
『奇跡体験!アンビリバボー 謎を解け!真冬のミステリー2時間スペシャル』放送日2018/12/6

これですね。乱気流に対し流体力学スパコンで計算出来る時代になってから判明したとか

7

7. 匿名処理班

  • 2020年07月17日 21:05
  • ID:F1QeDyQg0 #

ん?放射線云々はどうなったの?

8

8. 匿名処理班

  • 2020年07月17日 21:10
  • ID:qXgEdyHD0 #

で、放射線と内側から切り裂かれたテントの謎はどこいった?

9

9. 匿名処理班

  • 2020年07月17日 21:18
  • ID:ESHMd9bp0 #

高い線量の放射線は雪崩とどう関係があるのかな?

10

10. 匿名処理班

  • 2020年07月17日 21:24
  • ID:Q3AU8ybE0 #

「死に山」っていうドキュメンタリー本では、雪崩が起きるような地形じゃないって書いてあったけどね。

その著書の結論もちょっと無理があるような気はしたけど、昔のソ連の大学生の学生生活が生き生きと描かれていて、読み物として面白かった。

11

11. 匿名処理班

  • 2020年07月17日 21:24
  • ID:kRKxBL640 #

舌や眼球がない遺体はなぜ?野生動物に喰われた??

12

12. 匿名処理班

  • 2020年07月17日 21:25
  • ID:ySkRFqS40 #

線量は大気汚染でも検出される程度って書いてあるだろ

13

13. 匿名処理班

  • 2020年07月17日 21:28
  • ID:qzuAWvFP0 #

地元の言葉で死の山と言われるくらいだから、何がしかの自然現象だろうと思う

14

14. 匿名処理班

  • 2020年07月17日 21:30
  • ID:5DhKXlER0 #

矛盾脱衣は八甲田山で有名だし、当然早くから検討されていただろう……いまになってさも新しく判明したように言う必要が?
それとやっぱり放射線の謎だよね

15

15. 匿名処理班

  • 2020年07月17日 21:38
  • ID:XZprhnms0 #

放射線がスルーされてる
意図めいたミスリードに見える
ケネディ大統領暗殺時の説明に使われた魔法の弾丸的な

16

16. 匿名処理班

  • 2020年07月17日 21:39
  • ID:kjS1B1eI0 #

※3
同じ番組を見た。
強風を避けるために丘の裏手にテントを張ったがこの地形が竜巻に匹敵する暴風を受ける要因になってしまったって話だった。(ヘアピン渦現象)
低周波音と暴風によりテントより避難する他なかったって感じだったがこれも説の1つってだけだったのかな。

17

17. 匿名処理班

  • 2020年07月17日 21:44
  • ID:PObgQOfw0 #

レニーハーリンの映画ですべて答えが出ている

18

18. 匿名処理班

  • 2020年07月17日 21:48
  • ID:90S.Dh900 #

「死に山」という検証本をアメリカのサーファーが出してますね。
ロシアが調査を継続してた事に驚き。

19

19. 匿名処理班

  • 2020年07月17日 21:54
  • ID:Q0OL1DTH0 #

※2
この公式調査から政府は放射線被ばくなど無かった事にしたいみたいだけど、元記事にもこの公式の結論で終わる事は無いだろうと書いてあるね。

20

20. 匿名処理班

  • 2020年07月17日 22:23
  • ID:OLFNfP2P0 #

なんか、全然違う気がする。死に山以外にも色々読んだけど、どれもこれもピンとこないのばかりだったな。

21

21.

  • 2020年07月17日 22:44
  • ID:1kPnkr880 #
22

22. 匿名処理班

  • 2020年07月17日 22:58
  • ID:5mElTip90 #

まあロシアの言うことだからねぇ

23

23. 匿名処理班

  • 2020年07月17日 23:04
  • ID:qfNpR2FP0 #

放射性云々も内側から切り裂かれた云々も後から尾ひれが付いたものだと思う。
メアリーセレスト号事件の「食事がまだ温かいままだった」云々みたいにね。

24

24. 匿名処理班

  • 2020年07月17日 23:06
  • ID:JyIPOvN50 #

>>1
蓄光塗料では?
昔のやつ結構えぐい放射線出してて塗装工が癌になってたし。

25

25. 匿名処理班

  • 2020年07月17日 23:19
  • ID:Ys40l4Ll0 #

放射線は元からとても低い数値だって言われてたよね
暴風による風の渦説が一番しっくりくるなぁ

26

26. 匿名処理班

  • 2020年07月17日 23:19
  • ID:JXMnxOaK0 #

3.核爆発説
 また付近に核実験場があったために、核爆発で死亡したという説もある。しかし一行の所持品から被爆した形跡が見つかっていないため、同説は根拠なしとされた(もしそうなら検出された程度の線量では済まない。線量は大気汚染でも検出される程度だった)。

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