コロナ感染防止対策をしない人の特性 /iStock
コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、世界的にマスクの着用やソーシャルディスタンスが推奨されている。
日本では比較的大勢の人がこれを守っているように思えるが、例えばアメリカなどではそうしたルールにかなり抵抗感を示す人たちもいるようだ。
また感染予防ルールに素直に従っている人の中には、外出自粛で大きなストレスを感じている人がいる。そうかと思えば、一人で家にこもっていてもまったく平気だという人もいる。
こうしたした違いは一体どこから生じているのだろうか?
これについて、ルイジアナ州立大学の心理学者ジェームズ・M・ハニーカット名誉教授は、「ビッグファイブ」と呼ばれるパーソナリティ特性の分類法や「ダークトライアド」と呼ばれる特性を持つか持たないかで分析できるという。
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個人の特性を分析する「ビッグファイブ」
心理学者たちは40年以上にもわたって、個人のパーソナリティを5つの鍵となる特性をベースにして分類してきた。それが「ビッグファイブ」と呼ばれるもので、その結果からはその人の買い物や仕事、さらには結婚などについての傾向を予測することができる。
ビッグファイブは「外向性」「誠実性」「調和性」「神経症的傾向」「開放性」の5つの特性で、文化差・民族差を越えた普遍性を持つものとされている。
詳しくは以下のリンク先を見てほしい。
ビッグファイブ特性別にみる、コロナの対応
・開放性の高い人はコロナに対する対応能力が高い
「開放性」は、好奇心・想像力・創造性・オリジナリティ・芸術性・柔軟性に関係した特性だ。開放性が高い人は、物事を抽象的かつ複雑なやり方で考える癖があり、また冒険好きで知的、芸術を楽しむことも多い。
ハニーカット教授の分析によれば、現在のパンデミックのような長期的で不確実な状況に対応するのも上手いだろうという。
・誠実性が高い人はマスク着用や社会的距離を守る
「誠実性」は、注意深さや勤勉さ・計画性・組織性と関係している。それは衝動を抑えて、自己をコントロールする力だ。
特に指示されたわけでもないのに、早いうちからマスクを着用したのは、おそらくこれが高い人で、そうした人はそれほど苦もなくソーシャルディスタンスを守ることができるだろう。
・外向性が高い人は活動自粛制限が辛い
「外向性」が高い人は、社交的で、人付き合いからエネルギーを得るタイプだ。外向性はさらに「行為主体的外向性(Agentic extroversion)」と「親和的外向性(affiliative extroversion)」の2つのサブタイプに分けることができる。
前者は注目されたり、リーダーになることが好きなタイプで、仕事などでの成功に強い関心を示す。しかし後者の場合、リーダーになるよりも、大勢の人と絆を育むことに喜びを感じる。
いずれにせよ、外向性が高い人にとっては完全に人との交流が断たれるのはかなり辛いことなので、ヴァーチャルなものであってもSNSなどを介した交流は気晴らしになるだろう。
反対に、これが低い人は、一人でいるときにエネルギーを得ることができるので、外出自粛もそれほど苦にならないはずだ。
・調和性の高い人はマスク着用や社会的距離を守る
「調和性」は、思いやりがあり、他人に対して友好的・協力的な傾向を示している。従順で、礼儀正しく、他人を信頼しようとするタイプだ。
これが高い人は、おそらくマスク着用やソーシャルディスタンスが推奨されたとき、特に文句を言うこともなくすぐに従ったことだろう。
・神経症的傾向が高い人は現実逃避しがち
「神経症的傾向」は、衝動性や不快な感情(不安・心配・恐怖・怒り・悲しみなど)を感じやすい傾向によって特徴づけられる。こうした嫌な感覚から逃れるために、希望的観測を抱いたり、物事を放棄してしまったりすることもある。
神経症的傾向が高い人は、パンデミックをまず否定したり、逃避したりして反応する傾向があったと思われる。
Pixabay
ダークトライアド特性を持つ人は感染防止ルールに従わない傾向
どんな人の心の内にもダークサイドが隠されているが、それが強く大きいと「ダークトライアド」という悪の特性となる。これは「マキャヴェリズム」「ナルシシズム」「サイコパス」というパーソナリティ特性で構成されている。
「マキャヴェリズム」は、他人を利用する傾向や、道徳に対して冷笑的な傾向を特徴とする。「ナルシシズム」は、過剰な自己愛や共感の欠如など。「サイコパス」は、衝動性や継続的な反社会的行動などが特徴だ。
これらの特性が高い人は、感染防止ルールに従わないことが多いだろうと考えられる。
Pixabay
感染予防対策に反発する人たちの特性は?
ハニーカット教授はこうした分析に基づき、ソーシャルディスタンスなどの感染予防対策に猛烈に反発する人たちのパーソナリティを次のように推定している。
感染予防対策の違反者 = 開放性(低) + 誠実性(低) + 調和性(低) + 神経症的傾向(高) + マキャヴェリズム(高) + ナルシシズム(高) + サイコパス(高) + 誤差
同教授の予測によれば、開放性・誠実性・調和性が低く、かつ神経症的傾向・マキャヴェリズム・ナルシシズム・サイコパス特性が高い人たちは、感染防止ルールに従わない可能性が高い。
ちなみに最後の「誤差」は、パーソナリティでは説明できない部分だそうだ。たとえば、政治的、経済的な意見が影響するかもしれない。
この予測モデルは、あくまでアメリカのコロナ防止対策を念頭に置いたものだが、異なる文化圏や別の文脈でも有効だろうとのこと。
モデルを検証するために、心理学者は実際にデータを集めている最中で、調和性や誠実性が低い人たちは感染防止ルールに従わない傾向があるという研究がすでに発表されている。
ちなみにパーソナリティ特性は絶対的なものではなく、一生のうちに変化することもあるそうだ。現在のコロナ禍による異常な状況が、あなたのパーソナリティ特性を大きく変えてしまうということもあるかもしれないという。
References:Personality can predict who's a rule-follower and who flouts COVID-19 social distancing guidelines/ written by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
本当のダークトライアドは、マスクをする事に反発するのではなく、この機に乗じて、物資の買い占めを行ったり、流言飛語を流したり、楽しみから人を差別する事をやってる気がするけども。
2. 匿名処理班
ワイの周りでコロナ対策してない奴
・自分だけはコロナに感染しないと信じている。
・ライブやカラオケや旅行に「行きたい」気持ちを我慢できない。
・そもそもニュースを観てない。緊急事態宣言も知らない。
3. 匿名処理班
自転車で信号無視する人間はほとんど100%マスクをしてないわ
4. 匿名処理班
申し訳ございません、その定義から言うと私は人間です。
5.
6. 匿名処理班
スーパー店内でマスクしてないのは「無敵の人」っぽい風貌の人ばかりだな。
7. 匿名処理班
ゾンビ映画で迷惑者は決まってる。
・恐怖より欲望重視な若いカップル
・宗教ヒステリックおばさん
・俺様系老害
8. 匿名処理班
自己中やだらし無い奴は簡単なことも守れないし配慮が考えられないから、総じてコロナ化でより一層悪目立ちしてるな。
9.
10. 匿名処理班
中国製マスクを使いつくしたので秘蔵していたユニチャームのマスクを数か月ぶりに着けたら今までの横隔膜トレーニングは何だったのかというぐらい超快適。マスクの質も重要だと思う。
11. 匿名処理班
すまんただのケチなんや
12.
13. 匿名処理班
高温多湿の暑い時期にマスクなんかしてられるかよ!
マスクしてて熱中症になったら誰か責任取ってくれるのか?
14.
15. 匿名処理班
そういやサイコパス傾向の強い人はマスクつけてないわあ
16. 匿名処理班
※13
ニュースとかよく見てるなら外出中でも外など十分ソーシャルが保てそうな環境であれば
無理してマスクする必用はないと政府も言ってる事を知ってると思うのだが
またいざとなったら熱中症の方を優先して対策すべきとも
最近携帯用扇風機が売れてるのもマスクで熱くなりすぎないための対策だし
マスク自体も息苦しくない夏用のものが売り出されてるんでそういうものを買ってみてもいいかもしれない
今はいつどこで感染したりされたりしてもおかしくない状態なのでマスクは必須
文句言う前に自分でなんとかしようといろいろ工夫すればいかがかな
17. 匿名処理班
この手の分析の記事って
「調和性や誠実性が低い人たちはルールに従わない傾向がある」てな感じでまとめるけど
一般的実情として「ルールに従わない人を調和性や誠実性が低いとしている」ワケで、トートロジーなんだよな
実際の研究者の論文とかはもっと分析的でプリミティブな要素までいくから一般向けの記事にはまとめにくいというのはあるだろうけど……
18. 匿名処理班
最終節で「外向性」がどっか行っちゃった?
19. 匿名処理班
アメリカの一部の人たちは、BTFのマーティ・マクフライみたいに「チキン(腰抜け)」って言われると嫌がり激昂する
マスクをすると弱々しく見えるから、それでマスクをせずに強がっているように見えるなぁ
20. 匿名処理班
※11
マスクなんか買ってらんねえ着けてらんねえっていう短絡的なケチは色々失うけど
良い意味でケチならばデメリットやコストを考慮して慎重になるもんな
21. 匿名処理班
風邪とかインフルから来た肺炎の数字見たらマスクなんてしてられなくなるよ
風邪になれば若くても後遺症残ることもあるけど気にしたことないでしょ?
酸欠で判断力が鈍って事故死と免疫低下のリスク、皮脂と吐息で他のウィルスを培養するリスク
何よりも日光消毒とビタミンDの加護を失うほうがよっぽど身体に悪い
現状「コロナみたいな症状が一通り出たので検査します」と言い、生活をほっぽり出して家に引きこもる人間は果たして症状ありの人間のうち何割いるのやら
感染バレが怖くない陽性者が検査したせいで、半分嫌々ひっぱり出された一部の人間が日本の数字のほとんどを作り出しているだけで、クルーズ船の感染力を見るに感染自体はかなり広がってなければおかしい
監禁され、保険で申告が必要になり、最悪クビになる可能性があるのに簡単に言うわけがない
その可能性を考えず、死亡率や発症率を割り出すのは見当違いの極み
そして気づいたらきれいサッパリ治ってるし、自分もそのうちの一人だった
22. 匿名処理班
初期の武漢引き上げ組の中にも検査を頑なに拒んで帰宅しっちゃった人とか居たな
或いは春頃に爆発的に感染が拡大していった欧州にわざわざ旅行に出掛けて案の定感染して帰国する人とか
パニック映画で状況を拗らせる身勝手キャラみたいだなと思いながらニュースを見ていたが、彼らはどのタイプに分類されるんだろうな
23. 匿名処理班
という新たな人格攻撃の手段を得た!!
24. 匿名処理班
正直なところ、
マスクしたからってどれだけ効果あんねんと思ってるけど、同調圧力に負けてつけてます。正義はコロナより怖いからね。
25. 匿名処理班
読んでみたら俺がこの状況下で全く辛くない理由が分かったわ
26. 匿名処理班
>「外向性」が高い人は、社交的で、人付き合いからエネルギーを得るタイプだ。
あくまで個人的な体験の数々から得た印象というか統計というか、まあ完全なるただの偏見なんだだけど、この手のタイプの人々は往々にして、「人付き合いからエネルギーを強奪していく」タイプという方がしっくりくるんだよな