文明崩壊まであと数十年 / Pixabay
これはもう、カウントダウンに入っている状態なのかもしれない。複雑系を専門とする2人の理論物理学者が導き出した結論はこうだ。
世界的な森林破壊によって今後20〜40年で人類の文明は元に戻ることのできない、不可逆的な崩壊へいたる
『Scientific Reports』(5月6日付)に掲載された研究論文によれば、このまま森林を破壊し続ければ、21世紀前半のうちに、地球は膨れ上がった人口を支え続けることができなくなるという。
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森林が完全に消え去るよりも前に、社会は崩壊すると予測
論文では次のように述べられている。
このままいけば、すべての森林がおよそ100〜200年後に消失するだろう。しかし、人間社会に森林破壊の影響が出始めるのが最後の木が切り倒されてからだなどという妄想は、明らかに非現実的なものだ
森林が完全に消え去るよりも前に、社会は崩壊する。森林破壊によって、人間が地球上で生存するために不可欠な生命維持システムが影響を受けるからだ。
炭素の貯蔵、酸素の生産、土壌の保持、水の循環調整、自然や食糧生産の基盤、無数の種の生息地など、その影響は多岐にわたる。
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文明崩壊が回避される確率はわずか10%
アラン・チューリング研究所(イギリス)のジェラルド・アキーノ氏とタラパカ大学(チリ)のマウロ・ボローニャ氏による研究は、人口の増加ならびに資源消費の指標としての森林破壊の現在のペースをモデル化し、文明がカタストロフを回避できる確率を計算したものだ。
人間の文明が発達する以前、地球は6000万平方キロの森林によっておおわれていた。だがしかし、人間が木々を切り倒したせいで、今では4000万平方キロ未満にまで減少している。
予測モデルによれば、不可逆的な文明崩壊まで数十年しか残されていない。「破局的な崩壊を迎えずに生存できる統計的確率は、非常に低い」という。もっとも楽観的なシナリオだった場合ですら、崩壊を回避できる確率は10%未満であるというのが、両氏の結論だ。
このまま人口が増加し、その一方で森林が減少し続ければ、地球の環境収容力を超えてしまうときがくる。そのもう後戻りできない一線を越えれば、人口は急激かつ破滅的に減少し、やがて非常に少ない人口まで減少して安定するか、あるいは完全に絶滅する。
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科学技術による打開策はあるか?
本研究では、科学技術でカタストロフを回避できる見込みについても述べられている。
そのために彼らが提案するのは「ダイソン球」だ。ダイソン球とは太陽をすっぽりおおってしまう卵の殻のような構造物のことで、その目的は膨大な太陽のエネルギーを吸収して利用することだ。
何もそのような仮説上の巨大構造物を持ち出さずとも、同じようなエネルギーを得られるのなら、たとえば核融合でもいい。
つまり、ここで言われているのは、現在の持続不能な人口増加と消費を維持するつもりなら、人類が生き残るために圧倒的な技術革新が必要になるということだ。
これについて、「カルダシェフ・スケール」にそって考えてみよう。これは旧ソ連の天文学者ニコライ・カルダシェフが考案した文明の発達レベルを示す指標で、その基準になるのは文明が利用できるエネルギーだ。
もしある文明の科学技術が、ダイソン球を建造し、それが属している恒星のエネルギーを完全に利用できるくらいにまで発達したとしたら、その文明は従来の資源の限界を超えることが可能になる。このレベルの文明は、カルダシェフ・スケールでは「タイプII文明」に分類される。
だが、現時点で、人類の文明は、惑星のエネルギーすべてを利用できるレベルの「タイプI文明」にすら達していない。
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この結果は宇宙人が見つからない理由を説明している
研究で述べられているように、「科学技術レベルが高度になるほどに、森林の消費量も大きく」なるだろう。しかし、それと同時に「資源の利用はより効率的」にもなる。
科学技術レベルが高度になれば、それによって生態系の崩壊を防ぐ打開策を考案することもできるかもしれない。あるいは、「最後の手段として、地球外宇宙で文明を再建」することもできるかもしれない。
予測モデルでは、人口増加と森林破壊だけでなく、科学技術の発展をも組み込んで、文明の崩壊を回避できるような打開策が考案される可能性についても検討しているが、その見込みは高くなさそうだ。それに成功して、危機を回避できる確率は10%未満でしかない。
なお、この結果は、これまでのところ地球以外のところで知的な生命体が見つからない理由を説明しているかもしれないという。
予測モデルから推測するなら、知的な文明は、結局のところそれが興った惑星の資源を濫用し、この問題を克服できるくらいまで発達する前に、滅んでしまう傾向にあるということだ。
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ただしまだ希望はある。森林破壊のペースの鈍化
ところで、この人口増加・森林破壊モデルは、あくまで現在の状況がこのまま続くという前提に立っている。それがどこかの時点で変化するという、”もし”を考慮していない。
繰り返すが、研究の結論は、森林破壊と人口増加が”現在”のペースで続いたら、今後20〜40年で文明は崩壊するというものだ。
これは真剣に受け止めねばならない警告ではあるが、その前提が最悪のケースであると考えていいだけの理由がある。
国連食糧農業機関(FAO)が発行した2020年度版の『State of the World’s Forests』によれば、森林破壊のペースは、ここ数十年で鈍化しているのだという。
1990年代から2010〜20年にかけて、森林の面積の”純損失”は年間780万ヘクタールから470万ヘクタールにまで減少している。その理由の1つは、森林破壊が継続している一方で、自然のものも人の手によるものも含め、新しい森が誕生していることだ。
また森林破壊それ自体も減少している。1990年代には年間1600万ヘクタールの森が伐採されていたが、2015〜20年では1000万ヘクタールに減少した。
もちろん状況が依然深刻であることには変わりない。多少の改善が見られるとしても、1990年から2020年にかけて、リビア一国に相当する1億7800万ヘクタールの森林が失われているのだ。
またせっかくの改善がまた悪化しつつある兆候も見られる。世界資源研究所の最新データによれば、2019年度に失われた原生林の面積は、前年度よりも2.8%多かったという。
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もうひとつの希望。人口増加ペースの鈍化
森林破壊と同様に、人口増加率も従来の予測より低くなる可能性が濃厚だ。医学雑誌ランセットに掲載された予測によれば、出生率の低下のために、世界人口の増加ペースは21世紀半ば頃から鈍化し始めるかもしれないというのだ。
しかし、そうした変化のペースは、今回の予測モデルの結末を変えるにはあまりにも遅すぎるようだ。研究で指摘されているように、「非常に強い変えようという努力がない以上、かかるタイムスケールにおいてこうしたパラメーターに大きな変化があるとは想像しにくい」のだ。
それでもなお、世界に見られる人口増加と森林破壊ペースの減速傾向は、もっと計画的で狙いを定めたアプローチがあれば、危険なトレンドを現実的に回避できる可能性があるということを示している。
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文明の根本的な転換が必要
著者らが述べている文明崩壊を回避するもうひとつの方法は、根本的な文明の転換だ。
現在の崩壊トレンドの背景には、「惑星資源の消費が人類文明の生死に関わる危険だと強く認識されていない」ことがある。私たちの文明は、そこで暮らす個々人の利益を特権とみなし、自分たちを支えている生態系にほとんど関心を払っていない。
ダイソン球のようなものをすぐに作れないのであれば、現在の崩壊トレンドから逃れるために、「別の社会モデルを再定義する必要があるかもしれない」と研究では述べられている。
そうした社会では、ある部分では、個人の利益よりもまず、生態系の利益こそが特権とみなされる。だが、それは結局のところ、コミュニティ全体の利益にかなったものなのだ。
ゆえに私たち人類の生存のチャンスを上げる一番効果的な方法とは、極端なまでに個人の利益を偏重することから、お互いや他の種や生態系に対する責任にもっと意識を向けるようにすることだ。
つまり、崩壊を防ぐために、私たちはすぐに太陽を制御するほどの力を手に入れるか、あるいは文明のパラダイムシフトを起こすか、どちらかを行わねばならないということだ。さて、より難易度が低いのはどちらだろうか?
Deforestation and world population sustainability: a quantitative analysis | Scientific Reports
https://www.nature.com/articles/s41598-020-63657-6
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コメント
1. 匿名処理班
残りの10%が70%で起こりそうだな
2. 匿名処理班
さてドンキに棘付き肩パッド買いに行こうや
3.
4. 匿名処理班
悲観も楽観も人間の思う通りには成らない。
5. 匿名処理班
モアイで有名なイースター島も確かそれを作った人々は木材をとるために森を切り開き、文明を維持できなくなって自滅したとか
6. 匿名処理班
一昨日掲載された記事
「悪いニュースを伝えるなら朝と夜どちらが良いのか?」
あれってこの記事の前振りだったの・・・・?
7. 匿名処理班
地熱発電だよ地熱発電。
自分たちの食い扶持の為に地球のことを考えない温泉利権をなんとかせにゃならん
8. 匿名処理班
あくまで文明崩壊であって、人類が絶滅すると言う話では無い。
アインシュタインの「第三次世界大戦についてはわかりませんが、第四次大戦ならわかります。石と棍棒でしょう。」の話と一緒。
9. 匿名処理班
コロナはそうなる前に地球が人類の生産活動を止めさせるために放った刺客だったか
10. 匿名処理班
この理論は、動物の本能たる共食い(人間で言えば戦争?)を配慮してるのかな?一方的に植物が無くなる前提だけど、酸素を消費する他の動物は考慮してますか?もしも、地球に生命体を保護しようとする環境(意志)が存在するなら自然淘汰が始まるだけの事で、人間の関与できるスケ−ルの事では有り得ないです!人間の都合が良い環境は失われるのは、間違い無く訪れます。何故か?人間が産まれて来た環境が来たのと同じでしょ?人の経済活動で地球そのものが影響しないと考えます。人間とされる動物が出現して、たったの数十万年(10万年位かな?)それに対し、地球は生まれて約46億年、人間の存在等一瞬ですよ!
11. 匿名処理班
でも、でもですよ?それはあまりにあり得ません。現実的ではありません。論理的ではありません。破綻しています。カタストロフです!
12. 匿名処理班
環境が変化しようと生き抜けるのがヒトの強さと恐ろしさ。
個人では死んでも、種は滅びんよ。
13. 匿名処理班
>>7
まー自分がそこに居なけりゃなんでも言えるわなー。
14. 匿名処理班
な、なんだってー!
15. 匿名処理班
しかしまあ、人類全体を生かすために、1部の人口過多で食料消費の激しい国や地方を滅ぼせ、なんて話は出来ないんだろうしなあ。
そういう大量虐殺者を英雄と言うんだろうけど、誰もがなりたくは無いだろうし。
16. 匿名処理班
まあ所詮は理論物理学って所だな
警鐘を鳴らしたいのか鳴らさねばならぬとの結からの論なのか判らぬが
貧しい国の破滅的焼畑農業を防げば解決できる問題だが、果たして貧しい国に「お前らの国で森林キープしてくれ」と押し付けるのは傲慢でもある
その反面でその代償に金でもって〜というCO2排出権取引は単なる政争と利権まみれの実情を見ないモノ
それを後押ししたのが自然保護ヒステリーなのだから本当に恐ろしい
17. 匿名処理班
そういうのは100%になってから言って?
18. 匿名処理班
予測を言うだけなら簡単だけど、それを解決する手立てまでを実践的に考えないの?
言うだけ論理的にみせかけて立派でもしょうもない。
考えたの言うのだけなら、虚言妄想と一緒。
19. 匿名処理班
温暖化は、短期的には海に肥料・空に硫黄化合物などをまくことでどうにでもなる。反対が多すぎるだけだ。
長期的にはまず可能なトリウムや進行波、次に核融合だな。
20. 匿名処理班
話は聞かせてもらった!人類は(略
21. 匿名処理班
※7
ほんとそれな
温泉屋が占有してる地熱資源をもっと生かせればその分火力、原子力発電減らせるのに
22. 匿名処理班
絶滅危惧種に指定されちゃうか
23.
24. 匿名処理班
その時が来たら、昔そんなバカなこと言ってる学者いたなって鼻ほじりながら過ごしてるよ
気楽にいけばいいっしょ
25. 匿名処理班
…まーた滅ぶ滅ぶ詐欺か(呆れ
26. 匿名処理班
また見事なまでに机上の空論を並べ立てたな…
80年代に流行った末法思想で飽きるほど見たよ
理論物理学者も、たまには研究室から出て世間を見てきたらどうかな?
27.
28. 匿名処理班
どうせ今の文明を全力で謳歌しつつ言ってる
「(私以外が)生活モデルを変えるべきだ」って
29. 匿名処理班
※7 ※21
地熱発電は思ってるより難しいよ。温泉利権は関係なく。
100℃以下でも十分な温泉と違って、発電には高圧高温のお湯が大量に必要。でも地下深くの事なので事前調査は難しい。日本の岩盤は大陸と違って弱いので、高圧になり難いのもある。莫大な費用をかけて建設して、予定した発電量が得られなかったら…
でも10年くらい前から開発しやすい方向に法整備が進められているよ。
30. 匿名処理班
※4
そうね、ホントそう思う、アンタ解ってるよ。
ご宣託なんて飽き飽きだ。
滅ぶにしろ免れるにしろ、それは成るべくして成るだけだ。
31. 匿名処理班
自然環境を守る仕事が金になるような改革があれば悪化は防げるだろうなぁ。大部分の人間は金になることしかしないから。無償の善意に任せすぎだよ。人間の医者と同じように地球のお医者さんも高給で憧れで人気であれば良いのに
32. 匿名処理班
ダイソン球を作成できる、技術、社会構造、存在について考えると
「ダイソン球を作らないと人間社会は崩壊する」は新しいくて、古いパラドックスだな。