ロシアで人気のロゴデザイナー、実はAIだった件image by:artlebedevru / Instagram
近年、ロシアの街中でユニークなロゴを使用した宣伝広告が注目されている。それらは、全て「ニコライ・イロノフ」というロゴデザイナーが制作したものだ。
だが、実は1年以上にわたりクライアントの誰もニコライの姿を見た者はおらず、彼の個人情報は謎に包まれていた。
しかし、ここに来てその正体が明らかになった。実はニコライ・イロノフは人間ではなく、AI(人工知能)だったのだ。『designtaxi』などが伝えている。
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Nikolay Ironov
ロゴデザイナーはAIだった
ロシアにある個人デザイン企業『アート・レベデフ・スタジオ(Art. Lebedev Studio) 』は、限られたメンバーで構成されたチームによって、オーダーに基づいたロゴを制作してきた。
カフェや理容院、アプリ、消費者向けブランド、有名ロシア人ユーチューバーなど20以上の商業ロゴを提供した同社は、ロゴデザイナーとして「ニコライ・イロノフ」を起用していることを同社サイトでも謳っており、彼の作品はどのクライアントからもかなり好評を得ていたという。
しかし、今年6月クライアントらがショックを受けるニュースが発表された。非常に実験的でユニークなデザインのロゴを制作しているデザイナー「ニコライ・イロノフ」は、実はAI(人工知能)だったのだ。
1年以上にわたり、ニコライのアイデンティティを極秘にしてきたアート・レベデフ・スタジオで、ニューラルネットワークを構築した開発者は、このように述べている。
デザイナーの顔を隠すことで、チームが情報漏れのリスクを管理できると同時に、クライアントからデザイン制作への偏見を持たずして、ニコライの仕事へのフィードバックを収集できるという利点が生まれます。
事実、クライアント側はスタジオから明かされるまで、ロゴデザイナーが人間であることを全く疑っていなかったという。
イロノフのアルゴリズムはスタジオでの長年にわたる研究が基に
ニコライ・イロノフは、他の多くの人間のようにデザインスクールに通うのではなく、非常に複雑な多数の織り交ぜられたアルゴリズムについて、スタジオ内でトレーニングを受けたそうだ。
一旦依頼を受けると、クライアントに関する情報を収集し、企業のブランド化の概念を抽出。その後、カラースキームや3Dモデルパターンを含む多数の反復を生成することによってプロジェクトを完成させる。
サイトによると、「AI自身、自由に選択できる機能を備えているが、毎回何を基準にデザインを選択するのかは予想不可能」と記されてある。
ニコライについて、スタジオ側は次のように話している。
ニコライは、アイデアを探すことからアイデンティティを生み出しそれを適用させる方法をデザインすることまで、あらゆる段階で人間に置き換えることが可能です。
これにより、環境やファッション、権威などの外部からの制限的な影響を受けずに独自のデザインを作成することができます。
病気にもならず、アイデアの壁にぶつかって悩むこともない。彼は、常に開発を続けていて、数秒でタスクを完了することができ、24時間利用可能です。しかし、何より重要なのは、ニコライのデザインは完全に唯一無二のものだということです。
長い間、我々は「ロボットが人間の創造性を超えられない」と確信してきた。しかし、1年以上も本当の仕事を完璧に成し遂げた顔の見えないデザイナーは、その信念を覆したといえよう。
スタジオ側は、AIによるクリエイティブな商品の成功を誇りに感じており、今後のニコライの活躍を大いに期待しているという。
なお、ニコライの創造性溢れるデザインの数々は、Instagramのアカウント『artlebedevru』で見ることができる。
written by Scarlet / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
デザイナー難民が出てくる日もそう遠くないな・・・
2. 匿名処理
メトロのロゴは大阪メトロのパクリデザイン
3. 匿名処理班
AIの良いところは過去の作品とデザインが
かぶってないかというもっとも厄介なリスクを
常に意識しながら試行錯誤してくれること。
人間によるデザインは定期的に盗作騒動が起きる。
「こんなマニアックなデザインは世界で自分
くらいしか知らんやろ」という魔が差してしまう
パターンが多い。そのうえで指摘されても
屁理屈を並べてかわし無罪を主張して被害者ヅラ
までする。AIはそのマニアックなデザインすら
把握済みでそれを意図的に回避してくれる。
プロとしての意識はもう人間より上かもね。
4. 匿名処理班
芸術の分野でAIが人間を抜くのは早くても2050年代…
って何かの記事で見た気がするけど、この様子じゃ5年後には抜かれてそう。
だって凄く良いもん、今回紹介されたデザイン。
5. 匿名処理班
願わくば、AIが悪意と結び付きませんように。 まぁ、無理か😢
6. 匿名処理班
単価いくらなんだろ
7. 匿名処理班
にしても早すぎる。今は何年だ?
8. 匿名処理班
スゴイしデザインも面白い
でもこの先ニコライさん以外のAIも想像という人間の得意分野を担う事になったら人間はどうするんだろう
技術力と想像力で仕事の競合で負け続け、人間である自分を否定するくらい落ち込む時代が来るのかもしれないなぁ…ちょっと恐い
9. 匿名処理班
普通にいいデザインだね
10. 匿名処理班
ロケット事業が後退する中で軽薄短小産業が割と発展してるのが凄いね
ソ連崩壊の余波からようやく立ち直りつつあるという印象
11. 匿名処理班
AI(ソフトウェア)だった←×
写真と加工(ソフトウェア)だった←〇
12. 匿名処理班
目のやつと一番下の瓶のやつ好き
13. 匿名処理班
アーティストはもうaiを活用する方向を模索するっきゃないな(当方も芸術家の人間
14. 匿名処理班
衝撃だなこれが本当なら
クリエイティヴィティは人間の最後の砦じゃなかったじゃなかったのかよ
こんなのまで出てこられたら人間は何すりゃいいんだ
15. 匿名処理班
最後は生歌(ミュージカル等)だけが人間に残された不可侵になるんじゃないかな〜って思ってる
aiでもプログラミングでも出来るかもしれないけど、感情が音に乗って伝わって震えるような体験を生身の人間以外で感じる日を想像し辛い
16. 匿名処理班
スタジオのデザイナー達が
ニコライというAIツールを作ってデザインした。
ということになると思うが。
17. 匿名処理班
お、いいじゃん。
デザインで満場一致なんてありえないから、一番大変なのは、どうクライアントに納得させるかだと思うけれど。
18. 匿名処理班
AIならやばいデザインしちまっても思想矯正所送りにならないしいいよな
19. 匿名処理班
どういうことなんだってばよ…学習させたら、ニコライ独自のデザインが産まれたって事?!
ニコライ自身に好みはあるの?それとも特定のデザインだけをアルゴリズムに取り込んだの?
20. 匿名処理班
芸術も心理学もAIが牽引すると信じていたぜ
21. 2
職を失うわ
始めのクライアントの情報処理ですでに負ける
構成してゆく要素の数で負ける
色彩の知識やバランスなどの心理要素も人間がうろ覚えでやるより確実だし
実際に人間が感覚でなんとなくやってることを、遥かに上回る情報処理としてこなしてる
あとは個性くらいだけど、それも各要素の配分でなんとかなっちゃいそうだ
22. 匿名処理班
はー この分野もAIに負ける
23. 匿名処理班
この分野は人間の感覚が必要だと思ってたのになんてこと
24. 匿名処理班
いまからでも大阪万博のロゴを考えてみてほしいわ。
目玉つき内臓の方が、ふさわしいデザインだといいね。
25. 匿名処理班
ロゴデザインみたいな限定されたものは
ある種のルールによって簡単に何種類もできてしまう
実際そう提案する
これまで仕事としてやったが「良さ」の定義は
お客さんの「好み」でしかなく
(定着・愛着)時間が正しさを担保している
よい企業ロゴは時間が長いので意外に少なく
*Appleですら変わってるね7色から無色へ
すごいのはSONYかな…
店舗やブランドはそこそこ
商品にいたっては寿命が短いのでそうでもない
素晴らしいデザインと言われているものは
たまたま生き残ったものでしかない
最古とも思えるような「プロビデンスの目」なんていい意匠だよね
26. 匿名処理班
>>1004
芸術と違ってデザインって大衆の多くが良いとする、不快に思われないって前提の常識とパターンの集大成だから
それこそディープラーニングが得意とする分野
逆に芸術は一部の人のみに深く突き刺されば他に嫌悪されても良いっていう分野だから成果を出すのは難しい
ただ現代アートみたいな理屈ありきの物はいつでも認めさえすれば人間超えられるともう
27. 匿名処理班
同業だけどこれならまだ人間として戦えるわ
28. 匿名処理班
自身を人間であると証明できたヒトのデザイナーだけが存続してほしい