トヨタが天井から吊り下げるロボットを開発 image by:TRI
日本は高齢化社会と言われているが、これは日本に限ったことではなく、65歳以上の年齢層は世界中で急激に増加しており、いずれは社会に大きな影響をもたらすと予測されている。
その影響の1つが介護の問題だ。歳を取れば体が弱って、普通に生活するのも難しくなってくる。だが、高齢者ばかりの社会では、介護する若い人手が足りない。
そこで考えられているのが家庭用ロボットの普及である。ロボットが人間に代わって介護をする未来がいつかやってくるだろう。
来るべき未来に備え、トヨタ自動車の先端研究所が発表したコンセプトは、床の代わりに、天井をところ狭しと動き回るロボットだ。日本によくある狭くて物の多い家に配慮したものである。
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日本の狭い家でロボットと暮らすには?
トヨタ・リサーチ・インスティテュート(TRI)の研究者が、ロボットを天井からぶら下げたのは、きちんとした合理的な理由がある。
日本の一般家庭は狭い。しかも床にはさまざまな物が置かれているのが当たり前だ。そうした狭いスペースを人間サイズのロボットが動き回るには、なにかと不都合が生じる。そもそも大きなロボットを置くスペースだってないかもしれない。
ならば、物を置くことができない開けた天井を移動させるようにすれば、そうした問題は一気に解決するだろう。
image by:TRI
重たいロボットを天井に住まわせるには?
だが、重たいロボットを天井に住まわせるのは、言うほど簡単なことではない。
TRIはこの難題を、天井の壁側にアルミ製のフレームを配置し、それに沿ってスライドする梁を水平に渡らせることでクリアしている。
ロボットは梁に取り付けられており、ここを左右に移動。さらに梁自体のスライド移動と組み合わせることで、天井全体を移動することができる。
こうしたシステムを「ガントリーロボット」や「直行ロボット」という。産業用ロボットとしては存在するが、家庭用ロボットとしてはかなり斬新なスタイルだ。
「未来にロボットを備え付ける家を設計するとしたら?」という問いから閃いたと、360度を見渡せるバーチャル・オープン・ハウス動画の中でTRIのダン・ヘルミック氏は語っている。
TRI Robotics Virtual Open House 360o
ソフト・バブル・グリッパーやVRを通じた教育
天井からぶら下がるコウモリのような姿にばかり気を取られてしまうが、細部にも工夫が凝らされている。
たとえば手に装着された「ソフト・バブル・グリッパー」は、空気を入れたクッションで挟むようにして物を掴めるようになっている。これなら様々な形状の物体を壊すことなく優しくホールドすることができる。
image by:TRI
仮想現実を通じてロボットを教育することもできる。テーブルを拭くなど、ロボットにやらせたい動作があったら、利用者はVRコントローラーでそれを実際に行うだけで、その動きがロボットにそのままプログラムされる。
ガントリーロボットだけでなく、普通に床の上を移動するタイプのロボットもある。ただし、これらは今のところ完全な試作品であって、すぐに商品化される予定はないそうだ。
image by:TRI
人間のニーズに沿ったロボット開発
人工知能が飛躍的に発展している現在、あまりにも高度になりすぎた機械はどこか恐ろしさを感じさせるようになっている。
しかしTRIのジル・プラットCEOによれば、彼らは人間のニーズや期待に沿うことに注力しているという。その理念は、人間の能力をロボットで置き換えるのではなく、増強することであるそうだ。
「まるで若返ったかのように暮らし、働き、人付き合いができる——そんな技術を作るということです」と、プラットCEOは話している。
References:tri.global/arstechnica / techrepublic/ written by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
またYAMAHAが作ってたりして。
2. 匿名処理班
フォールアウトの戦前のキッチンみたいだw
3. 匿名処理班
猫の遊び相手もできるなら買う
4. 匿名処理班
ブレードランナーのような孤独な生活ができるな
あとはホログラムでメイドさん作ってくれ
5. 匿名処理班
「月に囚われた男」のガーティみたいに、優しくスマイリーが声をかけてくれるといいな。
>まるで若返ったかのように暮らし、働き、人付き合いができる——そんな技術を作るということです
その映画を暗喩しているようで・・・
6. 匿名処理班
変に自律移動させるより効率的で安全性も高いかも
7. 匿名処理班
ハングドマンかな?
8. 匿名処理班
一般家庭とは。
天井ロボ導入する財力(本体+工事費)あるなら、広い家に住んでこなれた床移動型のロボ導入すると思うけど。
まあ、既存の狭い研究施設とかなら需要あるかもね。
9. 匿名処理班
FF3の敵思い出した
10. 匿名処理班
ロボットは人型や二足歩行にこだわらなくて、本来もっと自由な形状で良いと思う。
11.
12. 匿名処理班
トムクールズのミッションインポッシブルの一作目で見た
13. 匿名処理班
日本の住宅は手抜きだから、即天井が抜け落ちる。
14. 匿名処理班
ファミコンのブロック運びのロボットの
デザインは時代を先取りしまくっていたんだな。
15. 匿名処理班
天体戦士サンレッドの天井かな?
16. 匿名処理班
小型化目指してポテトグラたんになりそう
17. 匿名処理班
床に寝て起きるのがめんどくさい時「天井からひもが下りてこないかなー」と言っていたのが実現化するのか
18.
19. 匿名処理班
ソファでうたた寝から目が覚めて天井を這うこいつと目が合ったらやだなあ・・・
20. 匿名処理班
この手の機械って手順通りにしないとエラーが出てその都度
修正しないといけないから便利な反面、めんどくさい。
細かいから日ごろのメンテを怠ると
停まる度に業者に見てもらわないといけない。
トヨタ工場で似たような機械はたくさんあって案外「なんでだよ!」ってトラブルも多い。
一般家庭の普及はまだまだ十年くらい先だと思う。
21. 匿名処理班
こういう感じで天井に敷いたレールで移動してコンビニの品出しするロボットとか前発表されて無かったっけ?
22. 匿名処理班
GLaDOSみたいだ
ケーキを作ってくれそう
23. 匿名処理班
もっとかわいいロボを作ってくれ
24. 匿名処理班
>>1
修理代が高そう。
高齢者の住宅に無理やり売り付けるイメージしか想像できないな。
25. 匿名処理班
誤作動(想像は色々)しない事を祈ります。
26. 匿名処理班
名前は忘れたが水木しげるの妖怪図鑑で見たことあるなw
27. 匿名処理班
妖怪天井下りのコスプレさせたい
28. 匿名処理班
スパイダーマッ並の柔軟性とレオパルドン並の剛性、そして軽さをもつ素材が実現しない限りは当分先の話になるだろうな
そもそも天井の耐久性や使われてる素材の剛性も考慮しないと
29. 匿名処理班
一般家庭に後付けするってより、介護施設とかに付けるのが主眼なのかな。
介護施設ならコンクリ造だろうから強度はクリアできそう
そうなった場合、ロボットが世話する施設は高級になるのか廉価になるのか気になるな…。
人の温もり(?)という付加価値で、人間が世話する施設のほうが将来的には高級になったりして。
30. 匿名処理班
重力と天井が耐えられれば、地上に配置するよりは天井に置いた方が移動や可動範囲の制約は受けずらいわな。
持ち上げるよりは、ひったり上げる方が楽だろうし。
31. 匿名処理班
アシモ使えよ(それはホンダ)
32. 匿名処理班
>>4
私はメイドさんじゃなくてドラえもんがほしい!
33. 匿名処理班
海外ではニンジャとかあだ名がつきそう
でも天井は地震で落ちてきて潰されそうで怖いので、押し入れくらいがちょうど良いと思う。夜は自分で押し入れに入って寝てくれる、短足で丸っこいロボが欲しい。どら焼き好きでもいいから