収束進化(収斂進化)は、統の異なる生物種間で類似した形質を個別に進化させることを意味するが、どうやらカニの形状は理想の究極ボディの1つであるらしく、海の中ではさまざまな種がそれぞれ独自にカニの姿に進化しているという。
これを「カニ化(carcinisation)」と呼ぶのだそうだ。
ネット上で疑問解決
ネットは発見の宝庫である。自分で直接目にすることができなくても、代わりにそれを確認してくれる人がどこかにいる。世界各地からそうした情報が日々寄せられている。
例えば、ぷぅと膨らむフグはどうやって膨らむかご存知だろうか? 風船なら空気で膨らむが、海の中に膨らむくらいたくさんの空気なんてあるのだろうか?そんなモヤモヤした疑問もほら、こちらの報告を見ればスッキリだ。
I literally always thought pufferfish inflated with air which doesn't even make sense. Wth https://t.co/xogA4GLnBj
— Clara (@Corningswell) October 5, 2017
フグが空気で膨らむはずがないってずっと思ってたのよね。
だが、ここでのテーマはフグではない。カニだ。
収束進化の一種「カニ化」
自然界では、お互いに関係がないはずの生物同士であっても、それぞれ独自に同じような形状や機能を進化させることがある。これが収束進化だ。
たとえばクジラとコウモリは、それぞれ海と陸というまったく違う環境で暮らしながらも、反響定位という音の反響を受け止め、それによって周囲の状況を知る能力を進化させた。もっと身近な生物なら鳥や昆虫が(もちろんコウモリも)空を飛ぶ能力を身につけた。
収束進化が起きる理由は、似たような環境や生態的地位で生きるために似たような解決策にたどり着くからだ。
海の中では今、様々な種が独自にカニの姿に収束進化しており、それを「カニ化(carcinisation)」と呼ぶのだそうだ。
Crustaceans have evolved into the shape of a crab at least 5 independent times. I do not like this. pic.twitter.com/9ElLOFdOED
— Amy (@cableknitjumper) October 13, 2020
甲殻類は少なくとも5回、独自にカニの姿に進化したんだって。
カニ化とは、甲殻類が非カニ形状からカニ形状へと進化する収束進化の一事例。進化生物学の用語としてこれを考案したL. A. ボラデイルは、「カニに進化しようとする自然によるいくつもの試みのうちの1つ」と定義する。
水の中においてカニ形状は非常に効率的であるらしく、これまで十脚目(エビ・カニ・ヤドカリなど)に属すグループが少なくとも5回、それぞれ独自にカニの姿に進化してきたと考えられている。
カニ化に関するTwitterの反応
カニ化に関するTwitterユーザーの反応は面白い。中には宇宙にカニ型宇宙人がいる可能性すら浮上した。
A similar thing has happened with worms. There are *nine phyla* of worms. Which are in and of themselves very broad groups and not all related. That is an excessive amount of worms. pic.twitter.com/9OnwBfMsl2
— emma is rollin with it💗🤖 (@wheelhack) October 14, 2020
イモムシも同じだよ。蠕虫(ぜんちゅう)には9つの門がある。とても幅広いグループで、みんなまったく無関係。なのにイモムシはうじゃうじゃいるでしょ。
蠕虫とは、数種の無脊椎動物の総称で、扁形動物、環形動物、紐形動物、線形動物、星口動物、ユムシ動物、鉤頭動物、有鬚動物、毛顎動物がいる。
tired: convergent evolution is not uncommon especially when species have similar selecting pressures in their environments
— Amy (@cableknitjumper) October 13, 2020
wired: 🦀everything 🦀 is 🦀 crab 🦀
知ってた:環境から似たような選択圧を受けている種において、収束進化は珍しくない。
カニカニ:何もかもがカニカニカニ。
This is the ideal male body. You may not like it, but this is what peak performance looks like pic.twitter.com/PjB7NXO1wf
— Andrew Olson (@_Olson_) October 13, 2020
男の理想のカラダ。いまいちと思っても、パフォーマンスを追求すればこうなる。
now that I look at the false crabs it makes sense: the ideal body is at least 50% weapons pic.twitter.com/hL3N9ssp5X
— Amy (@cableknitjumper) October 13, 2020
カニじゃないカニダマシ、そういうことか。理想の体は50%以上が武器ってことね。
Some cosmic horror for you: given the consistent nature of fluid dynamics in water at temperatures where carbon-based life can survive, and the sheer probability of life to be rife in the universe, there are probably several intelligent species of crab-like aliens out there.
— Alex (@Alkraexmer) October 13, 2020
宇宙的恐怖をひとつ。炭素ベースの生物が生存できる水温の流体力学が一貫していること、宇宙に生命が高確率でたくさん存在すること、これらからおそらくは知的カニ型宇宙人が数種いるだろうと推測できる。
— Dale 🧬🏈💢 (@MountMazama) October 13, 2020
カニのライフサイクル
率直に言って、不合理なほどの段階を経て成長するが、そのいずれもカニである。
The Crab Cycle
— pillarist (@pillarist) October 13, 2020
There is only one step.
And it *is* crab. pic.twitter.com/JobG0XkO6Q
カニのライフサイクル
段階は1つ。
これこそカニである。
how it started how it's going pic.twitter.com/BrkKC5Rd9A
— Lisa Hale (@lisa_hale) October 14, 2020
スタート 移動中
Aliens arrive, there are two options:
— Sammi Narramore (Tiredness Central) (@NarramoreArt) October 11, 2020
1. They ARE space crabs
2. They are RUNNING from the space crabs
宇宙人がやってきたら、2つの可能性がある。
1. 彼らは宇宙カニである。
2. 彼らは宇宙カニから逃げてきた。
so basically what this means is that it's highly likely crab shaped aliens exist. nice https://t.co/byNsRZlyjR
— dan (@dmusce) October 13, 2020
つまりカニ型宇宙人が存在する可能性は高いってことだな。いいぞ。
尚、既にカニの中には、イソギンチャクとの共生を進化させ、両ハサミにイソギンチャクを付けたキンチャクガニという凄い属が存在する。
彼らはイソギンチャクをボクサーのグローブ代わりに使用し、その毒で捕食者を追い払う。イソギンチャクは代償としてカニの食べ残しをもらえる。
A Boxer Crab that Wears Sea Anemone Boxing Gloves
めったなことじゃこのグローブ(イソギンチャク)を手放すことはないそうだが、無理やり片方のイソギンチャクを奪い取るとどうなるか?
なんと残った1つのイソギンチャクを器用に半分に引き裂き、失った方のハサミに装着するそうだ。
2つに分かれたイソギンチャクは、数日のうちに元の大きさに再生し、元のイソギンチャクのクローンが新しく誕生するのだという。
では両方のイソギンチャクを奪い取られたらどうなるのか?仲間のキンチャクガニのイソギンチャクの1つを必死に奪い取り、それをまた2つに割って両ハサミに装着するという。
References:People Are Just Now Discovering Carcinization, And They Are Not Huge Fans | IFLScience/ written by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
私はガザミかカイカムリかで迷ってる
2. 匿名処理班
キンチャクガニが持ってるイソギンチャクは、カニに挟まれてない状態では見つかってないらしい。謎すぎる。
3. 匿名処理班
海においてカニが理想形であったとしても、類似環境の異星にカニ形知的生命体が文明を築けるかと言われるとどうなんだろう
人間の形は理想形でなく単純な四季にすら耐えられない。だからこそ人類は道具を用いる知能を発達させ、生き延び、文明を築いた
カニ形が理想形であるならばむしろ理想形であるが故に道具を不要とし、ある程度以上の知能を持ち得ないのではないか?
4. 匿名処理班
わたし 松葉〜〜 いつまでも 松葉〜〜♪
5. 匿名処理班
ナメクジなんかも別のグループのカタツムリから進化した種が複数あるらしいな
6. 匿名処理班
つまり火星で見つかったカニっぽい形状の地球外生命体はそれを表す為の存在だった?
7. 匿名処理班
深海は泳ぐより這ったほうが効率が良いのか
8. 匿名処理班
それぞれの生物がこの先どう進化するかは”カニの味噌汁”だよ
9.
10. 匿名処理班
機能美ってやつやね
11. 匿名処理班
(Y)o\o(Y) フォッフォッフォッフォ…
12. 匿名処理班
そういえばタラバガニはカニと呼ばれていても厳密にはカニじゃなくタラバガニ科というヤドカリの仲間だと聞いたことがある。
カブトガニも甲殻類にみえるけどクモの仲間らしいし、水中で泳がない場合は殻をまとった方が有利ということなのか。
13.
14. 匿名処理班
確カニ
15. 匿名処理班
大昔のSF映画にも有った
16. 匿名処理班
貝殻を捨ててカニ化するヤドカリ類が多い中でカイカムリなんかはカニからヤドカリになろうとしているがカニである
17. 匿名処理班
カニ食べたい
でもイセエビの方が食べやすい
18. 匿名処理班
蟹甲癬
19. 匿名処理班
カニの目についての考察
1.サムネのカニーの目がすごくカワイイ
2.動画のボクサー・クラブの目がどこかわからない
20. 匿名処理班
>>1
シャア専用ズゴックで出社
21. 匿名処理班
記事だと良くわからないので検索してみた。
要するに「これまで十脚目(エビ・カニ・ヤドカリなど)に属すグループが少なくとも5回、それぞれ独自にカニの姿に進化してきた」というところだけ読めばよかったんだね。
22. 匿名処理班
収束進化の概念は、地球に非常によく似た環境の他惑星における生命も、地球のそれと似通った形態になることを示しているのかな?
23. 匿名処理班
>>8
くそうこんなので
24. 匿名処理班
カニは食べるのも見るのも好きだったけど、その事由はこれだったか
トゲトゲの攻性甲冑、自在な移動を叶える脚、手であり武器であるハサミ、くりくりキュートなお目々。しかも美味しいとくればうん、嫌いになる要素がない。
25. 匿名処理班
>>8
きらいじゃない
26. 匿名処理班
5回?
カニ、タラバガニ、カニダマシ
あと2つは何?
27. 匿名処理班
イモムシ形状の良さはなんとなくわかるけど
カニの何がそんなにいいんだか
28. 匿名処理班
>>2
ポケモンの説明にありそうだ
29. 匿名処理班
大型のカニも脳が小さいから宇宙人はどうかな
生きるのに最適な形状なら知能も要らないしな
30. 匿名処理班
サムネのカニがスポンジボブのカーニさんに見えた
31. 匿名処理班
H.G.ウェルズの『タイムマシン』でも、遠い未来世界でカニのような甲殻類が地球の覇者になってたような。
誰も確認することはできないが、案外ウェルズの予言通りになったりして
32. 匿名処理班
トップ絵のやたら目がでかいカニってなんていうカニなんだろうかに
33. 匿名処理班
>>26
一つはカニカマボコ
34. 匿名処理班
蟹になりたいね🦀