我々を見ることができる宇宙人の住む星の数は1004/iStock
トランジット系外惑星探索衛星「TESS」のおかげで、太陽系の外にある惑星の捜査は一気に進んだ。
1992年に最初に発見されて以来、これまでに発見された系外惑星は4292個――そのうち数十個は、生命が生存できるとされるハビタブルゾーンに位置していると考えられている。
今のところ地球外生命の存在は確認されていないが、ここでちょっと視点を変えてみよう。もしかして私たちが相手から見られているという可能性はないのだろうか?
米コーネル大学の研究者がふと疑問に思ったのは、どこかの星に人間並の文明を持つ宇宙人が存在したとして、そこからを地球を観測できるような星はどのくらいあるのかということだ。
そして『Monthly Notices of the Royal Astronomical Society』(10月20日付)に掲載された研究によると、その数は1004個であるそうだ。
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恒星を横切る惑星を検出するトランジット法
現在、系外惑星の探索は「トランジット法」というアプローチによって進められている。
惑星が恒星の前を横切るとき、それが光を遮るために恒星の輝きがわずかに陰る。この陰りを分析することで、そこに惑星が存在し、どのくらいの周期で公転しているのか割り出すのだ。
また光の変化を分析することで、惑星の大気に含まれる化学物質の構成を知ることもできる。ここに生物がいなければ絶対に発生しないガスが含まれていれば、それは生命の存在を証明することにもなる。
実績のある方法だが、トランジット法には弱点もある。それはこの方法によって検出できる系外惑星は、それが公転している恒星と地球とに挟まれるような位置にあるものだけだということだ。
地球から見たときに恒星の光を遮ってくれるような位置を通過していなければ、トランジット法で惑星の有無を判定することができない。
iStock
326光年以内に地球を見ることができる星は1004個
リサ・カルテネッガー氏が調べたのは、天文学者がやっているのとは反対に、地球をトランジット法で見つけられる位置にある星がどのくらいあるのかということだ。
「TESSインプット・カタログ」(TESSによる観測の基礎となる既存の天体観測データ)やESAの探査機「ガイア」のデータから明らかになったその数は、100パーセク(326光年)の範囲内に1004個だったとのこと。
これらの星は地球の視線上にあり、また距離も近いために、太陽を横切る地球を見つけられるだけでなく、地球に宿る生命の化学的サインをも検出できると考えられるそうだ。
うち508個は太陽を通過する地球を毎回10時間以上観察できる角度にある。地球を見つけ出し、その大気に含まれる生命のサインを検出するには絶好の位置だという。
また1004個のうち5%は、仮にそのハビタブルゾーンの中に惑星があったとしても、知的生命が進化するには若すぎるという。
だが残りの95%は、生命が誕生して数十億年間、進化できるだけの年齢を重ねている。地球の事例から考えるなら、条件さえそろっていれば知的生命が進化するには十分な時間だろう。
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数世紀中に視線上に移動する星
さらに今後数世紀以内に地球を検出できるようになる位置へと移動する星が数個あるとのこと。
たとえば、12.5光年先にある「ティーガーデン星」は現時点では地球を検出できる角度にない。しかし2044年にはそれができる位置まで移動すると予測されている。
ティーガーデン星のハビタブルゾーンには、地球と同じくらいの大きさの惑星が2つ発見されている。どちらの惑星にもしっかりとした大気があり、片方は液体の水が維持される可能性が高いとも推測されている。
しかも主星はフレアがほとんど観測されない静かな星で、生命が進化するうえで有利だ。
今から20年後、12.5光年離れたこの惑星系にある文明で、史上初めて生命発見という大ニュースが伝えられる――宇宙スケールではすぐ近くの、人間のスケールでははるか彼方にある世界で、そんな現実が起きるなんてことも、ひょっとしたらあるかもしれない。
References:livescience/ written by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
向こうのリアルタイムからすれば、地球時間換算で12.5年前の自分達が観測されている、と言う事だから、その12.5年の時差の間に向こうが戦争で滅んでいた、なんていうヒドいお伽話を思い浮かべたり