海外では廃墟となった状態の城が売り出されることがある。改修作業は大変だが、やはりお城というものはロマンあふれるものだ。
そんな中、16世紀のフランスのお城を購入したのは、オーストリアの建築家、エリザベス・ヘリングさんと娘のヴァレリーさんだ。打ち捨てられ、朽ち果てたままになっていた状態のお城を、アンティークな魅力たっぷりのホテルへと生まれ変わらせることに決めたようだ。
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400年前の古城に魅せられた母娘
「この城の歴史やこれまでの持ち主のことはなにも知らなかったけれど、ふたりとも、このフレシーヌ城とまわりの庭園にすっかり惚れ込んでしまったの」最近、政治学を学んだ大学を卒業したヴァレリーさんは、2017年に母親と一緒にこの物件に目をつけたときのことを語った。
ふたりはすぐに、オーストリアでの生活を捨てて、廃屋になっていた400年前のこのフランスのお城をよみがえらせるという無謀にも思えるチャレンジを思いついた。
「確かに無謀な挑戦だったわ。まるで、ダビデと巨人ゴリアテの戦いのように。提示価格は巨額だったし、やはりこの城に興味を示していたアメリカ人バイヤーの競合相手がいたし、地元には誰も知り合いはいなかった」半ば諦めてかけていたが、結果的に望み薄だったこの母娘が城を購入することができた。
その陰には、パリ近郊の広大な狩猟地として知られているソローニュ出身の友人で後援者の助けがあった。
フランス人科学者が所有していたフレシーヌ城
パリから南へ2時間、このフレシーヌ城はかつて、フランス革命の終わりに断頭台で処刑された有名なフランス人科学者アントワーヌ・ラヴォアジエが所有していた。
ラヴォアジエは、「近代化学の父」として広く知られていて、やはり優れた化学者だった妻のマリー=アンヌとともに、この城で化学や栽培学の実験を行った。1794年に逮捕されるまで、ラヴォアジエはここで暮らしたが、その後、建物は没収された。
城は26万平方メートルの広さの森林に囲まれ、敷地内には、礼拝堂やオレンジ栽培の温室、4台の馬の運搬車などもあった。ラヴォアジエは、この16世紀の城をフランス王のお抱え建築家に頼んで自分好みに改築させた。
アントワーヌ・ラヴォアジエと、科学者だった妻のマリー=アンヌ・ピエレット・ポールズの肖像(ジャック=ルイ・ダヴィッド作)
ラヴォアジエの次のテナントは、記録によるとフランスの英雄的軍人ジョゼフ・ロー。ナポレオン戦争時代の勇敢な活躍で、貴族になった。その後、またしても軍人であるLudovic Hurault de Vibraye伯爵がここを引き継ぎ、1929年に亡くなったとき、娘が地元の聖職者に城の権利を譲った。
時代は1970年代に飛び、精神科のクリニックがここに入ったが、2013年に閉鎖した。その後は風雨にさらされるままになり、不法居住者が入れ替わり立ち替わり住みついた。6年間、廃屋状態で荒れ果てる一方だったが、2019年にやっとヘリング母娘が正式の持ち主になった。
地元の建築業者や配管業者、経験のあるボランティアの助けをかりて、城のあらゆる復旧が進行中だ。
地元のアンティークショップから手に入れた、年代ものと現代の家具をうまいことミックスさせて、自分なりの味つけを施したエリザベスは、城の30もある部屋の家具選びは、まさに終わりのない旅のようなものだと語った。
わずか数ヶ月で、創意工夫に富む母娘は、この城を当座のベッドと軽い朝食つきの簡易B&Bとしてオープンさせた。
エアビーアンドビー(Airbnb、宿泊施設を貸し出す人向けのサイト)で一泊150米ドルから、城丸ごとだと一泊1000ドル。地元のシェフのユーリが依頼に応じて、城でディナーを作ってくれる。
ホテルとして営業が始まったが...
エリザベスとヴァレリーは、16人のゲストをもてなし、ほかではできない体験の提供が始まった。顧客からの評判は上々で、「リッツ・ホテルというわけにはいかないけれど、間違いなく忘れられない体験になりました」ある利用者はレビューにこう書いている。親切なホストはとても細やかな心遣いをしてくれて、心から客の快適さを考えてくれるているという。
給湯はまだ城にはない贅沢だが、適所にヒーターが設置してあり、ほどよい装飾の客室、リッチ感のある毛布、美味しい手作り朝食、チャーミングなホストが、まだまだ完成途上の城をうまいこと補ってくれている。
ところが、そのタイミングでコロナ・パンデミックとなってしまった。
フランスは2度目のロックダウンに突入しており、必要不可欠な仕事や治療のための外出のみが認められている状態だ。
これからというときに悲劇に見舞われ経営も苦しいことだろう。世界的パンデミックが終焉を迎えるその日まで、なんとか耐えて欲しい。
ここは、設備が充実した豪華ホテルではないが、草が生い茂った庭で秘密の地下通路を発見したり、屋根裏部屋の壁の後ろに塗り込められた暖炉が見つかるような日々を過ごせる、それはわくわくするような場所なのだ。
フレシーヌ城ホテルのその他の写真はInstagramのアカウント「chatelfreschines」で見ることができる。
written by konohazuku / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
割と有名な人のお城じゃん
2. 匿名処理班
冬の閑散期の住み込み管理人には成りたくありませんね
3. 匿名処理班
母と娘がってなんか一般の親子みたいな書き方してるけど物凄い金持ちなのは間違いないんでしょう?
日本人でいう宝くじが当たった程度の金持ちじゃあ手も足も出ないと思うが。
4. 匿名処理班
>16世紀のフランスの廃城を購入した母娘。ホテルにするために改装作業中
改装作業中に秘密の扉が発見されて、未知への冒険が開始される訳ですね
5. 匿名処理班
ボロボロだけど大きさや壁や天井の模様とか、莫大な金が使われたであろうことがわかる
6. 匿名処理班
城って物件なんですね……?
没収ってあるからなんでやろと思ったらフランス革命で処刑かー……共和国に科学者は不要である……oh……
色々悲しい気持ちになった(´・ω・`)
やっぱまっとうな貴族もまとめて殺されてたのね
7. 匿名処理班
美しい建物
廃墟的な侘しさを感じつつも
優れた修繕のお陰で現役時代にも劣らない佇まいになってる
凄いなぁ
8. 匿名処理班
松風ぇ〜 騒ぐぅ〜〜 丘の上ぇ〜〜♪
9. 匿名処理班
お金云々で取得できる土地の多寡は違ってくるけど
こういう土地があるんだなぁ、
住めるとこって国別でどうなってんのやろ
って思って検索したら
一人あたりの可住地面積0.62ヘクタール(1985年時のデータ)のフランスぅ……
広い土地で植物育てて〜 って暮らしいいよなぁ
10. 匿名処理班
まるで関係ないけど、Joseph Lawなる人物について調べてもまったく情報がない
英雄的軍人というからその活躍を調べたかったが…。
11. 匿名処理班
これ大丈夫なのか?
確か…古城とか文化財か何かの扱いで修理(修復)する場合は当時の材料、塗料などや工法でやらないとダメじゃなかつたか?
古城を買った連中は莫大な修繕費に泣きいれまくりだろ
12. 匿名処理班
※6
お城って普通の不動産のように売買されるものみたいだよ。Youtubeで"castle for sale"とかで検索すると売り出し中の城や屋敷が出てくる。もちろん買えないけど物件紹介のビデオを見ているだけでもなかなか面白い。居住中の状態で撮影したのもあって、お城に住む人はどんな家具や絵画を持っているのかが垣間見れたりする。
13. 匿名処理班
これは泊まってみたい。
14. 匿名処理班
※11
国宝に指定されてたら場合じゃねえの
それでも10億円ぽぽーんと飛んでいくし高額だけどな
15. 匿名処理班
「聖女失格と言われたのでお城をホテルに改装します ! 元の職場から戻って来てくれと言われているけどもう遅い」
16. 匿名処理班
※6
普通に買えるぞ
こんな感じにホテルに改装する人が多い
ただ維持が大変だから手放す人も多い
17. 匿名処理班
※13
出ますよ、出ますよ、双子の幼女とか、不気味なバーテンダーとか、((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
18. 匿名処理班
フランスには元々城のホテルは結構あるよ
自分はルマン24見に行った時にサーキット近くの元城のホテルに泊まった
19.
20. 匿名処理班
※1
「質量保存の法則」の人か。
21. 匿名処理班
>>6
あのドラキュラ城も売りに出されて度々売買されていたりする
22. 匿名処理班
>>17
シャイニン・・・
グー!
23. 匿名処理班
イギリスのドラマのダウントンアビーのロケ地のお城も人が住んでるんだよね
災害の多い日本では古い建物なんか住めないから羨ましい
24. 匿名処理班
ホテルとしてオープンする前に、先住者の霊達との交渉というか契約は、ちゃんと済ませておかないと、営業妨害されますよ。