『イブニング』連載、「紫電改343」の第8話
343航空隊設立のため菅野率いる戦闘301飛行隊が先遣隊として紫電改に乗っていたところ、坂井三郎が属する戦闘701飛行隊が来て「我々が紫電改を優先的に使用する」と言ってきた。両者即発の場面で菅野が現れ、だったら菅野と坂井の模擬戦で勝敗を決めることになりました。
こうしてラバウルの撃墜王・坂井三郎vsフィリピンの撃墜王・菅野直の一戦が始まります!
勢いよく飛び出したのは菅野の紫電改。そりゃ坂井の乗る零戦の倍はある二千馬力ですから上昇力は折り紙付き。伊達に「遅すぎた零戦後継機」とは言われません(もっともこれは後年になってからの言葉だけどね)。グングン上昇し、そのまま下降して仕掛けると思いきや…
まさかの坂井が得意とする左捻り込みを披露。本人の目の前でやってみたかったんだね。これというのも「自動空戦フラップ」なる機能があるからこそやれたみたい。ただし零戦より1t以上重い機体なことから失速しかけて、慌てて姿勢を戻します。
これを見ていた坂井は「無茶を平気でやってくる」と評価するも自信あり気。何より実戦ではなく模擬戦、後ろをとれば勝ちというルールだからだ。
紫電改は新鋭機ではあるが零戦のような万能機ではない。今回のような格闘性能で競い合う場合は我が零戦に分があると、ジリジリと紫電改の後ろに近づきます。ははーん、紫電改は馬力はあっても格闘戦となると速度を落とさざるを得ない。ならば重量の軽い零戦が有利になるってことですね。
あと少しで後ろを取られるという場面で、菅野はたまらず上昇して雲の中に逃げ込んだ。隠れたつもりか? 待てばいいだけじゃねーか と、坂井は高度を落としてくるところを待ち続ける。そこでやっちゃったんだなぁ。
菅野はいつの間にか右後方にいました。つまりあっけなく勝負はついたというわけ。701の松場は語る。「菅野大尉があの事に気が付いたって事だ」。事実、菅野からも「今の俺が狙える死角はあそこしかなかった」と言ってます。そう、それは坂井は右目が見えないということ。菅野は飛んでるうちに坂井が右後方の死角をカバーして戦ってることに気付いた。だからその方角から下降して後ろをとったというわけだ。
その夜、坂井は菅野について語る。闘志は認めるが隊長としては大雑把。ついていくには命がいくつあっても足らねぇぜ。
隊長としての器なら我々の隊長の方が上さ!
てことは戦闘701飛行隊長・鴛淵 孝(おしぶち たかし)が近いうちにやって来るってことだ! 今現在は昭和19年の12月末頃(のハズ)。この時期、鴛淵は負傷療養中で、やって来るのは昭和20年1月になると思います。
紫電改343(1) (イブニングKC)
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