独善的な人は情報検索をあまりしない /iStock
一方的に決めつけて、自分の考えは絶対に正しいのだと頑なに信じ込み、周囲の意見にちっとも耳を貸そうとしない。そんな独善的な人は少なからず存在する。
彼らのそうした性質は、政治や宗教、あるいは科学などの議論を両極端なものにするため二極化が進み社会的な影響すら与える。
よく分からないのは、独善的な人間がそこまで自分の意見に固執する理由は何なのかだ。それが彼らにとって重要度の高いテーマだからか?それとももっと本質的な認知プロセスが背後にあるのか?
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不確かな状況で、再確認するチャンスを利用するか?
ドイツ、マックス・プランク研究所のグループは、その疑問を確かめるべく、オンラインで募った700名の被験者にシンプルな問題を行なってもらうという実験を行った。
問題は、画面に表示された2つの黒い四角形のうち、白いドット(ちらついて見にくい)が多く含まれているのがどちらか当てるというもの。
この実験のポイントは、1度回答した後で、はっきりと表示される四角形を確認するチャンスが与えられ、最終的な回答はそれを見た後で行えたことだ。
リオン・シュルツ博士は、「現実にもよくある状況です。たとえば、本当かどうかよく分からない噂話を耳にしたとき、それを誰かに広めるでしょうか? それとも信頼できるソースを確かめるでしょうか?」と話す。
Pixabay
独善的な人ほど情報を確認しない
この実験では、問題と併せて、質問表にも回答してもらい、被験者の政治的な意見や独善性の高さといったものが評価された。
その結果を問題の回答と比較してみると、独善的であろうとなかろうと正解率や自信のほどに違いがないことが分かった。
しかし1つ気になる点があったという。それは独善的と評価された人ほど、再確認のチャンスを断ることが多かったということだ。そうした違いは、回答の正しさに自信がない場合では特に顕著だった。
「過去の研究では、自信と新しい情報を求めるかどうかには密接な関連があることが判明しています。今回は、独善的な人ほど、その関連性が弱まることが明らかになりました」と、スティーブ・フレミング博士は述べる。
もちろん、再確認をしない人ほど、正解率は下がる傾向あった。それはつまり独善的な人ほど最終的な回答を間違うことが多かったということだ。
iStock
独善性には本質的な認知プロセスが関係
「政治のような話題における独善性と単純なオンラインゲームでの情報収集にも関連性を見出すことができました。このことは現実世界の独善性は、特定のグループや意見の持ち主の特徴なのではなく、もっと本質的な認知プロセスが関わっている可能性を告げています」と、フレミング博士。
この研究から分かるのは、自分の思い違いを修正できる情報があったとしても、必ずしも人がそれを求めるわけではないということだ。
常に新しい情報に触れなければ正確な判断は下せないはずなのに、自分に不利な情報には見向きもしないし、それを信じようとはしない。
世の中は二極化が進んでいると言われているが、双方がそれでは一生平行線をたどるままだ。思想は真逆でもやっていることは一緒というのはなんとも切ないものがある。
この研究は『PNAS』(11月19日付)に掲載された。
References:Dogmatic people seek less information even when uncertain | UCL News - UCL – University College London/ written by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
怖いのは人はそれが間違いだとは思ってもみなくて
まず調べるという事すらしないから、そもそも間違いだと気付けない
という落とし穴に落ちること
2. 匿名処理班
マスコミだけじゃなくて素人でも情報を発信するなら裏は取らなくちゃな
snsが発達した今真っ先に必要なリテラシーだ
3.
4.
5. 匿名処理班
話が噛み合わないと思ったときに、相手がそもそも単語レベルで意味を誤解・曲解しているということもある。
もちろん自分がそれに陥らないように、おかしいと思ったことは改めて確認するし、自分自身を疑うようにもしてる。
6. 匿名処理班
歳くえばくう程この傾向にあるな
人の事言えないけどさ
7.
8. 匿名処理班
恐ろしきものとは
知性ある悪でなく
無知なる善である
なんつって
9. 匿名処理班
指摘されても確認しないのは、他者を下に見てるのでは?
「お前に言われたくないよ」的な思考パターン、人を見下して自分のプライドを保っている。
「僕はものすごく原子力に詳しいんだ」とかさ。
10.
11. 匿名処理班
私は絶対正しいのだから調べる必要もない
12. 匿名処理班
悩まず考えず生きて行けるからある意味幸せそう
13.
14. 匿名処理班
※2
裏取りはどこまでも掘り下げられるので素人には大変すぎる。
いろいろな説や記録から自分で考え選ぶこと、選んだ物が間違っていたなら「間違っていた」と認めて上書きできることというのが一番じゃないかなと。
「裏取ったんだから絶対だ」
といっても、その裏はどこまでホントなの?
となったときに調べも訂正もしないと言うのが問題でしょ
15. 匿名処理班
間違いであることを知ってる人間がマウント取ってくるのは分かる
知らない事をあり得ないとレスバ仕掛けてくる奴はマジで理解できない
なんであり得ないと思うのか聞いてみたら「聞いたことないから」だってよ
まず手に持ってる板切れで調べてから反論してこいよと
16. 匿名処理班
ひたすら願望に浸って自分に都合の良い解釈をし続けるタイプとは関わらないようにしてる
現実ってのは残酷だけど現実を生きてるんだから現実を見ないのはもったいない
17. 匿名処理班
ワイのオカンは科学的に正しいと証明されてる事でも「信用できるかそんなもん」で片付けるからどんなデータ見せても無駄やわ
18. 匿名処理班
ただ、ネット検索で得た断片的知識はどれだけ集積しても
断片のクラスターでしかないから、一定量ため込んだら本なり
資料なりを腰を据えて読み込んで体系的・構造的に理解を
深めるよう、個人的には心がけてる。それができないもの
できてないものに関しては観念的な判断や決定を可能な
限りにおいて留保し続ける。
19.
20. 匿名処理班
表向き独善的な人って自分が間違っていたという事実にぶち当たるのが怖くて無意識に真実から逃げているだけの臆病者なだけな気がするけどね
21.
22. 匿名処理班
脳の器質的ななにかが関係したりしてないかな?
ワーキングメモリが少ないので、情報がたくさん入ってくると思考に負荷がかかるから、
情報を追加する行為に本能的な嫌悪感を覚えてしまう
その心の動きが自分でモニターできている場合、少しずつ情報を集めてすり合わせ作業をするけど疲れ切ってしまう
面倒くさいから自分の意見はどうせ間違ってるという前提で考えてる
23. 匿名処理班
身の程知らずというか、怖いもの知らずというか…
しかしそれが生きる上で有利に働くこともあるんだろうな
24. 匿名処理班
いくら調べてもちゃんと理解できる頭がないと意味無いけどな
25. 匿名処理班
>>12
ただし全く成長しないので、周囲からはどんどん取り残され、しまいには足を引っ張り始めます。
26. ナパチャット
さらにこの情報に権力が絡み合うから人間社会は前に進まない…と
27. 匿名処理班
世の中の殆どは絶対に無いということは無い。
28. 匿名処理班
確定させればリソース使う必要ないからね
そうして人はものぐさ体質になっていく
29. 匿名処理班
>>22
何その悲しいオチ