地球に知的生命体が誕生したのは奇跡とする研究者 /iStock
宇宙はとてつもなく広い。地球以外にも知的生命体が存在し、地球外文明があってもおかしくない。そう考えるのは当然だろう。
なのに、いまだ地球以外の場所で生命すら発見されていないという矛盾。これが「フェルミのパラドックス」で多くの研究者が頭を悩ませてきた。
英オックスフォード大学人類未来研究所では、地球上で生命の進化が起きる確率について分析している。その最新の成果によると、どうやら地球以外の場所で知的生命体が誕生することは事実上あり得ないと考えられるそうだ。
つまり宇宙の中で知的生命体が存在するのは地球だけということになる。
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宇宙で生命は一般的な現象か、それとも珍しいのか?
地球上に最初の生命が誕生したのは、およそ40億年前のことだと考えられている。地球の年齢が45億年であることを考えれば、かなり初期に誕生したとみなすことができ、この事実は単純な生命なら宇宙においてかなり一般的な存在であることを示す証拠として挙げられることもある。
一方で、生命は宇宙広しといえども極めて稀な現象であるという説もある。そもそも生命が誕生するためにはいくつもの幸運に恵まれなければならない。
地球の場合、まず適切な地表の温度と、宇宙から降り注ぐ脅威からの保護という幸運があった。さらに地球に生命を構成する素材が存在したという幸運にも恵まれた。そうした素材がただ存在しただけでなく、地表できちんと利用できるような場所にあったのも幸いだった。
もっとも原始的な生物が誕生できたのは、これらの幸運が重なった結果だ。
iStock
奇跡の連続で知的生命体が誕生した地球
こうして誕生した生命は、とてつもない幸運に何度も恵まれたおかげで、ついに知的生命にまで進化することができた。だが生命進化の要所要所では、そうした幸運にさらに輪をかけたようなとびきりの超幸運があった。ある意味奇跡だ。
たとえば多細胞生物の登場は、過去に40回は独立して起きたと考えられている。しかし原核生物から真核生物への進化は数10億年を経てようやく1度起きただけで、多細胞生物への進化よりもはるかに確率的に低いと推測することができる。
しかも生命が存在できる時間は無限ではない。地球に知的生命が誕生するまでには45億年という歳月がかかっているが、あと10億年もすれば太陽が膨張を始めて、その熱によって地球は生命が住めない場所になる(このことは知的生命は地球の生命存在可能期間の後期になってようやく出現したということでもある)。
つまり有限の期間の中で、起きるかどうか分からない稀な進化的変遷をいくつも経ねば、知的生命は誕生できないということだ。このことから、仮に地球とまったく同じ環境を用意できたとしても、再び人間のような存在が誕生する可能性はほとんどないだろうという見解もある。
iStock
知的生命体が誕生するには本来長い時間が必要
『Astrobiology』(11月19日付)に掲載された研究では、現時点で手に入る情報から知的生命の進化に欠かせない超重要イベントの発生確率を計算し、ある惑星で生命が存在できる期間内に知的生命が誕生する可能性について考察している。
その超重要イベントとは、「生命の誕生」「真核生物の誕生」「性生殖の発達」「知性の発達」だ。
地球に生命が誕生したのは40億年前、単なる分泌物のようなものから真核生物が誕生したのは20億年前、分裂のような無性生殖から有性生殖へ代わり、DNAが混ざって突然変異や種の発達が加速したのは12億年前、そしてごく最近の知性の発達。
こうした情報をもとに、ベイズモデルが導き出した答えは、おそらくこれまで地球上で起きたことは、本来もっとずっと長い時間、地球の寿命より桁違いに長い時間がかかるものだったはずというものだ。
Pixabay
人間の存在は奇跡
冒頭のフェルミのパラドックスの問いに戻ろう。
「彼らはどこにいるんだ?」
今回の研究によるならば、どこにもいない可能性が高いという。知的生命が誕生するには、惑星の寿命は短すぎると考えられるからだ。
もちろんこの結果は、地球というたった1つの惑星の出来事のみに基づいており、しかもいくつもの仮定に依拠したものだ。だから必ずしも正しいわけではないし、他にもいくつもの説が存在する。
だが仮にこの説が正しかったとしたら、我々人類がいかに貴重な、文字通り奇跡のような存在であるということを証明することになるのだ。
地球人は唯一無二の知的生命体と考えるか、やはり他にも知的生命体が存在すると考えるか、どちらを信じるにしてもそこに夢もロマンもあるじゃない?
References:popularmechanics/ written by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
これだけ宇宙は広いのだから、そのすごい確率の奇跡が太陽系以外でも起きててもおかしくないと思うけど
2.
3. 匿名処理班
やっとこの意見が出てきたか
俺は前からずっとこの説を唱えてる
我々は孤独なのだよ
仲良くしようぜ
4. 匿名処理班
地球外文明の存在があったとして
惑星規模の時の試練に打ち勝ってどれだけ生き続けられるだろうか
金星や火星はハビタブルゾーンであり以前は豊かな環境があったかも
今はとても人類が生存できる状態じゃないけど
高度な文明に成長するほどリスクに直面する可能性も増えるとすれば
今の地球文明は流れ星と同じなのかも
5. 匿名処理班
勉強ばっかりしてる学者ですらこの程度の知能しかもたない地球人類が宇宙最高頭脳とか、もう一度ビッグバンからやり直すべきだろ
6. 匿名処理班
人型の宇宙人はいないと思うが、サメ型とかミジンコのように
各惑星に過ごしやすいタイプの宇宙生物ならいるだろ
7. 匿名処理班
いるもん!宇宙人いるもん!
8. 匿名処理班
月の存在が確率的にかなり希少で地軸の安定や磁場の維持に不可欠だと思うんだよね。こんな惑星滅亡ギリギリの天体が芯を外して衝突していい感じに衛星になるなんての含めると銀河に数えるほどかもしれないなぁ。でも逆に言えば地球よりもっと良い条件引いた惑星もあるかもしれない。そんな星では知性生命体が複数種族繁栄してたりして。
9. 匿名処理班
いまだに見つかっていないというのは
人間が知覚できる知性の幅が狭いだけなのでは
10. 匿名処理班
そもそも生命体の構造体であるアミノ酸は宇宙から隕石などによって降ってきた
地球で自発的に生まれたわけではない
原始生命体の発生する確率はもっと大きく跳ね上がる
確率が異常に低いのは高度な知的生命体の方であって原始生命体に限定すれば宇宙に
あまねく存在すると見なせる
地球の地下数千メートル下にもは巨大な生命体コロニーがあることがわかっている
各惑星の地下にも同じような原始生命体コロニーが発生している可能性は高い
11. 匿名処理班
もし200年前に電波信号が送られいたとしても人類はそれを理解しなかったろう。
あるいは更に昔、女性型の異星人が不時着して箱型の機器の修理を求めても理解せず、船に戻して海に流したかもね。
ある程度成熟した文明が出会えるタイミングなんて中々ない、そんなもんだよ。
12. 匿名処理班
そもそも何をもって知的とするかということもある
地球にやってきた宇宙人はいないと思うけれど、はるか彼方の星では社会的生活をしている生物はいると信じている
13. 匿名処理班
人類と同等の宇宙人はいないかもしれない。
でも人類より高次元の神みたいな存在は既にいて、我々には気付かれずに我々を見ているかもしれない。
逆に我々より低次元で、我々を認識できない生命体は既にいるのだから。
14. 匿名処理班
んなこたぁない。地球だけなんてそれこそ傲慢だわ。
15. 匿名処理班
シミュレーション仮設が現実味を帯びてきたな
16. 匿名処理班
薄々そんな気はしてた
17. 匿名処理班
>>3
ヤダ
銀河だけで幾つ有る思います?
しかもこの宇宙だけでない可能性高い言われてる。
ただワープ出来なきゃ不可能。
会えない。
月がやっとの人類じゃ
18.
19. 匿名処理班
地球の生命の中でも光や空気の届かない所や灼熱の場所、極寒地などにも生命体が存在してるんだから、ただ一例の条件のみで奇跡というのはおかしいよね
20. 匿名処理班
私も、科学は素人ですが、素人なりにさまざまな科学関係の書物を読んで考えた結果、かねてからこの記事に近い考え方を抱くようになり、カラパイアの別の記事のコメントにも投稿したことあります。
原始的な単細胞生物ならば比較的容易に誕生できるでしょうが、それが多細胞生物へと進化し、複雑な体を構成するようになり、知的生命体にまで至るには、信じられないほどの奇跡が重なる必要があるのです。
とはいえ、銀河には二千億ほどの構成があり、大宇宙にはさらに数千億もの銀河が存在しますから、この宇宙で知的生命体が人類だけあるとは考えにくいと思います。しかし他の惑星あるいは他の銀河に知的生命体がやはり奇跡的に誕生したとしても、それが我々の時代と重なるのにはやはり希な偶然が必要ですし、さらに重なったとしても、彼らと我々の間には越えがたい広大な宇宙空間が拡がっています。
したがって、我々人類は、事実上孤独なのでしょう。
だからこそ我々自身を大切にするとともに、かけがえのないこの地球を大事にしなければならないのだと思います。この地球という奇跡、そして我々という奇跡を,安易に破滅させてはならないのです。
21.
22. 匿名処理班
聖書の創世記にも宇宙人のことは書いてないもんね
23. 匿名処理班
俺らも宇宙人なのだがな
24. 匿名処理班
流石に他の天体に知的存在がいないとは思えないが
25. 匿名処理班
先方のテクノロジーが進んでいなければ、そしてまだ宇宙に対しての認識が浅ければ、
地球基準で考えてもしょうがないような気がする
ローマ時代や弥生時代の人間は電波の使い方すらずっと先のことだけど
知的生命体には変わりないと思うけど
26. 匿名処理班
これ面白いんだ。
居ると断言するには居ることを示さねばならず、
居ないと断言するには居ないことを証明しなければならない。
今のところは「生命の定義に即した生命体が存在する可能性は環境に依存し、それらがある程度進化し文明を持つに至るようになる可能性は低く、それらがさらに地球へコンタクトを取ってくる可能性は限りなく低い」
と言う歯切れの悪い言い方しか出来ない。
27. 匿名処理班
みんな、戦争してる場合じゃないし、人種差別してる場合でもない。助け合おう。
28. 匿名処理班
そもそも星に何らかの生命が誕生すること自体が非常に稀で、例えるならゴミを一回かき混ぜたら偶然パソコンが出来たくらいの確率らしい。
数々のハードルを乗り越えてどこかの星に知的生命体が現れたとしても、それが数億光年先ならメッセージが届く頃にはお互い絶滅してる。そもそも数億光年先の星=数億年前の姿な訳だから、現在どうなってるか分からない。1つの惑星の知的生命体が存続できる期間が数万〜数十万年だとして、その短い期間が重なるのも奇跡。
29. 匿名処理班
※13
アーサー・C・クラークの「幼年期の終わり」だね
30. 匿名処理班
確かな事は我々人類が経験上知っているのは、この太陽系内「だけ」ということ。
他の星系を軌道上から確認したわけでもないし、ましてや地球以外の星に人間が
降り立ったのは衛星の月のみ(しかもごく短時間…歴史的にはまばたきすら終わらない)。
従って上記の仮説が事実かどうかは何も実証されていない。ただ推測があるのみだ。
もし地球の生命体が全宇宙唯一の物なら、この中で完結するはず。
ならばなぜ人類は地球の外の世界へ飽くなき知的好奇心を燃やし
膨大な労力を費やしてそこへ行こうとするのか。
もしかすると遥かな昔に同じような「本能」に導かれ
他の星へ生命の種子を撒いたものがあるかもしれない(それは人間とは限らない)。
いずれにせよ、たったこれだけのサンプルから早急に結論を導き出すのなら
宇宙研究などすべて時間の無駄だ。
31. 匿名処理班
【悲報】科学者さん、人類を特別だと考え過ぎる
地球は思ってるよりSFにもオカルトにも属してね?これ?
と思うことが多すぎる
32. 匿名処理班
人類をベースにして知的生命を語るのはそもそもナンセンス
他の惑星には人類とは全く違うタイプの海底や地底や空中に浮遊してる知的生命だっているかもしれないし、生命誕生から1万年で知的生命まで進化してる惑星だってあるかもしれないし、そんなことは人類にはわからない
33. 匿名処理班
全くのゼロから生命が生まれる確率
=10の4万乗分の1
=廃材置き場の上を竜巻が通過した後で、ボーイング747ジェット機が出来上がっているのと同じような確率
=生命自体の誕生とか無理ゲーw