バードウォッチャーが大量のケルトコインを発見/iStock
昨年9月、イギリスのある男性が趣味のバードウォッチングに出かけたとき、偶然に2000年前のケルトのコインを1300枚も発見した。これらは、総額84万5000ポンド(およそ1億2000万円)もの価値になるお宝だった。
発見場所は、イギリス東部のある田舎町の野原。この匿名の男性が発見した金貨は、紀元40年から50年にさかのぼるもので、2008年にサフォーク州で自動車整備工が、850枚の古代のスタテル金貨を発掘して以来、イギリスで見つかった鉄器時代のケルトコインの最大規模のお宝ということになる。
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金属探知機で大量の金貨を探り当てたバードウォッチャー
なにかが光るのが目に留まり、それがケルトの美しいスタテル金貨だとわかったとき、腰を抜かしました」発見者であるバードウォッチャーは語った。
「それから、少し離れたところにふたつ目のコインがありました。金属探知機を取りに慌てて家に飛んで帰りましたよ」
金属探知機を当ててみると、その周辺に強い反応があったという。つまり、地中にもっとたくさんのお宝が埋まっているということだ。
地中45センチくらいまで掘ってみると、案の定、金貨が溢れそうになっている銅製の壺が出てきた。この金貨が流通していた2000年前というと、ケルトの女王ブーディカがローマに対して反乱を起こした時代だ。
「呼吸がおさまるまで、座り込まなくてはならないほどの驚きでした。鳥を見に散歩に出ただけなのに、ケルトのお宝を見つけてしまったんですから」
発見者は、ふたつの大きな買物袋にコインを詰めて家に帰り、すぐに地元の機関に連絡をとった。専門家がお宝だと判断すれば、これらは博物館に提供され、発見者にも報酬の一部が支払われる。
バードウォッチャーにより発見されたおよそ84万5000ポンド(1億2千万円)の値打ちのあるコイン
Treasure Hunting magazine via Facebook
ブーディカの東部遠征の軍資金だった可能性
これらのコインは、ブーディカ(現在のイギリス、東ブリタンニア、ノーフォーク地域を治めていたPケルト言語圏域のケルト人イケニ族の女王)の東部遠征の軍資金だった可能性があるという。
イギリスの歴史において傑出した存在であるブーディカは、紀元60年に夫が死んだ後、ローマ相手に反乱をおこした戦いの女王だ。
夫のプラスタグスは、現在のノーフォーク州を拠点にしていたイケニ族の王で、男子の後継者がいなかったため、自分の財産の半分を娘たちに、もう半分を家族を守ってくれることを期待してローマの皇帝ネロに遺すと遺言した。
ところが、プラスタグスのこの遺言は踏みにじられ、ローマは彼の土地を奪い、娘たちを凌辱し、未亡人であるブーディカを公開鞭打ちににした。
激怒したブーディカは、イーストアングリアじゅうで反乱を起こした。ローマの歴史家タキトゥスは、ブーディカ軍によってローマ人が7万人殺されたと書いている。
しかし、最初は勝利したにもかかわらず、ブーディカ軍は次第に形勢が悪くなり、ローマの小部隊によって反乱は次々鎮圧され、8万人のブリトン人が虐殺される結果となった。
19世紀に描かれたブーディカの版画
image credit:public domain/wikimedia
ブーディカのその後の運命については、タキトゥスとディオ・カッシウスで意見が違う。タキトゥスは、敗北後、ブーディカは毒をあおって自害したと言っていて、ディオ・カッシウスは、彼女は病に倒れて亡くなり、丁重に埋葬されたとしている。
スタテル金貨について、ブーディカについたイケニ族たちが、政治的危機、旱魃や自然災害の際の奉納品として使ったのではないか、という説もある。
2019年のBBCニュースで、考古学者のアンナ・ブースは、ブーディカの蜂起はこの地域での激動の時代のあらわれで、危機に備えて、多くの人々が密かに金貨を蓄え隠していた可能性があるという。
この時代は、金貨や金銀宝石を秘蔵する行為がとくに顕著なように思えるが、想像の域にすぎず、100%確実な事実とは言えない。しかし、この時代にこの地で起こった激動を考えると、そう思いたくもなるという。
大英博物館の発表によると、この鉄器時代のコインの発見は、昨年、イギリスやウェールズであった4万7000件を超える考古学的発見のうちのひとつだという。
これら発見物の中には、ヘンリー8世の最初の3人の妻のイニシャルが入った金貨や、希少なサクソンペニー、ローマ家具の銅製の金具などがある。
References:British Bird-Watcher Discovers Trove of 2,000-Year-Old Celtic Coins| Smithsonian Magazine/ written by konohazuku / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
こういうニュース毎回気になるんだけど、権利は発見者のものになるのだろうか?
隕石だと発見者と土地の権利者で折半みたいだけど。
2. 匿名処理班
何かの祈りを込めて埋めたのかもしれないってことか。
祈りは通じたんだろうか。
3. 匿名処理班
徳川埋蔵金は今の探索技術なら
発掘に成功して食う寝る遊ぶな
生活をゲットできるかもしれないから
エンディングまで泣くんじゃない。
4. 匿名処理班
お宝が博物館に納められた後に発見者に支払われる報酬というのは、いかほど…?
5. 匿名処理班
やっぱりあると便利だよね 金探機
6. 匿名処理班
「ここ掘れチュンチュン」
7. 匿名処理班
>>4
ヨーロッパのどっかは5%までで割りを落とせば現物をもらえるとか聞いた
8. 匿名処理班
家に金属探知機があるってすごいな
9. 匿名処理班
先日、古美術店でコインを見てきた。
ローマコインが主で一枚100万から200万超えくらいだった。
て、ことは日本ではかなり高く売られてるんだなって…
消費税も付くし一枚くらい欲しいのだが。
10. 匿名処理班
子供の時に遠足で行った山で寛永通宝が何枚も土手から顔を出してたんだよ、掘り出したかったけど早く進めってせかされて掘り出せなかった。あそこ掘り出したら大判小判がザクザクだったのかな?
11. 匿名処理班
ブリテン島には当時ローマが遠征していてブーディカはそれに大蜂起したケルト女王
現在のロンドンのローマ人を皆殺しに血の層を作るまでになったが敗北
この後にローマはブリトン人を支配してローマ属州ブリタンニアとなり、スコット人などの地方豪族対策に多くの砦や建造物を建設する
12. 匿名処理班
いいねぇ
夢がある