昆虫の数が激減、地球に深刻な影響を及ぼす / Pixabay
どうしても昆虫が苦手だという人は多いだろう。だが、好む好まないにかかわらず、昆虫は地球が円滑な生態系を築く上でなくてはならない存在だ。
今、世界中で昆虫が激減しているそうだ。『PNAS』(1月12日付)の特集に寄せられた一連の研究では、50名以上の専門家によって世界に生息する昆虫の数がまとめられている。
それによると、現在の傾向がこのまま続けば、今後20年で昆虫の3分の1が消えてしまう恐れあるという。
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昆虫が世界を動かしている
人間や他生物の生活は、昆虫と密接なかかわりがある。私たちは食糧生産や栄養の循環といった生態系の営みを利用して生きているが、昆虫はそれをきちんと機能させる重要な担い手だ。その意味で、小さな生き物たちは世界を動かしているとも言われている。
そうした営みは大昔から絶えることなく続けられてきた。しかしここ数十年で、さまざまな昆虫が激減している。
Pixabay
地域によってばらつきはあるものの絶滅の傾向は強まっていく
試算によると、昆虫は年間1〜2%ずつ減少しているという。一部では10%とされる場所もあるなど、地域ごとのばらつきを考えると、強い懸念を抱かせる数字だ。
原因は1つだけではない。たとえば気温や雨量の変化、生息地の減少、殺虫剤の使用、あるいは光害など、さまざまなことが考えられ、昆虫にとっては受難の時代となっている。
昆虫の減少は世界的な傾向だが、中には増えている地域もある。環境保護法のおかげで、水辺がきれいになり、水生の昆虫の数が増えている場所もある。
このように全体像は必ずしも単純なものではないが、だからといって楽観視することはできない。
というのも、現在地球の気温が上昇しつつあることを考えると、それほど強くないほんの数種の絶滅は、今後さらに状況が悪化するだろうことを示す前兆であったとしてもおかしくないからだ。
蛾やゴキブリは大量発生しているかもしれない。しかし受粉を助ける昆虫やデトリタス食者(小さな有機物を食べる生き物)がいなくなってしまえば、作物は育たなくなり、ゴミが土へと分解されることもない。
「昆虫が行っている受粉やゴミ処理といった無料のサービスは、アメリカだけでも年間70億ドル(約7000億円)もの経済効果があると推定されています」と、論文の執筆者の1人、フロリダ大学の河原章人博士は説明する。
iStock
私たちにもできる昆虫の減少を止める8つの方法
その河原博士は、危機に瀕した昆虫を救うを8つの方法を提案している。それなりの取り組みが必要なアイデアもあるが、中には楽できてしまうものもある。
たとえば博士は、家庭の庭を昆虫の生息地にしてしまおうと提案する。これまで念入りに雑草をむしり、几帳面に芝を刈り込んでいた人は、少しサボってしまえばいい。それだけで昆虫の生息地が増えるのだ。
「アメリカの各家庭、学校、公園にある芝の10%が自然な生息地に変われば、昆虫の生息地が400万エーカー増えます」と、河原博士は語る。
だが、一番大切なのは、博士が「昆虫への否定的イメージを払拭する」と述べているように、身の回りにいる小さな生き物に興味を持つことかもしれない。
虫が苦手な人は結構多いかもしれないが、彼らがとても大切な存在だということを知れば、少しは愛おしさを感じられるようになることだろう。
地球上の昆虫が急激に減っている。今週、世界中の学者がまとめてPNASに論文を13紙発表した。私は近年の昆虫の減少を止める8つの方法について書いた。この方法に取り組むことで、昆虫の減少を抑制することが出来る。8つの方法: #1. 庭を様々な野生の生息地にする。(2-8 続く)👇https://t.co/LZlBhUUMiZ pic.twitter.com/m09dbJbgrh
— Dr. Akito Kawahara (@Dr_Akito) January 18, 2021
昆虫の減少を止める8つの方法
1. 庭を様々な野生の生息地にする
2. 在来植物を栽培する
3. 農薬や除草剤の使用を減らす
4. 屋外の照明を少なくする
5. 車の洗浄に使用する洗剤の排水を抑え、車道の防水剤や除氷塩の使用を減らす
6. 昆虫に対する否定的なイメージを払拭する
7. 教育者して昆虫の保護を提唱していく
8. 地域の自治体へ参加し、科学への支援を求める
References:pnas / sciencealert/ written by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
人類は宇宙に出ていき、地球は野生動物に返す。
過渡期として、砂漠の巨大ドームに行ってもいい…核融合ができたら。
宇宙に出られないなら銅が尽きたら終わり。どのみち「一つの籠にすべての卵を入れるな」。
ゆりかごからは出るべきだ。
2. 匿名処理班
ダーウィンは蚯蚓をアインシュタインは蜜蜂をとても大切だと言ってる。
(もちろん蚯蚓は昆虫ではないけど土の再生に必要)
どちらの役割も再現できた科学者はいない。
ゲンゴロウはほぼ全滅したそうだ。
10歳くらいに「あれ今年はいない」って思ったのが最後になった。
ゲンゴロウの絶滅は大きな影響はないかもしれない。
これからは違う、一見多量にいて生体系に関わる種が失われていく。
即、人類の存続にかかわる絶滅が起きるのだよ。
それに気付いたときはもう遅い。
3. 匿名処理班
パッと流し読みした感じバイオマス総量の減少ではなく種の減少のことを言っているのかな。
まぁ元々虫の仲間はちょっと種類多すぎない?と思っていたからそんなもんじゃないっすかね。
近年激変した環境に適応するにもまずは絶滅してその生態学的地位を手放してもらわないと別の進化した種が入り込めないわけで。
もちろん、その先にあるのが人類にとって朗報なのか悲報なのかは知る由もない。
4. 匿名処理班
うちは夏みかん、ばんぺいゆの木があるからナミ、クロ、ナガサキアゲハが良く産卵して幼虫がいるよ
山椒の木を丸裸にされたけど成虫が綺麗だから憎めない
5. 匿名処理班
これは無視できませんなぁ
6. 匿名処理班
愛しているよ、G意外は
7. 匿名処理班
そういえば、去年の夏は自宅勤務で、主な外出時間が日中だったせいか、セミ爆弾もGも見なかったな。
前年までは、帰り(夜9時前後)に遭遇しがちだったから、時間帯の問題だけなのかもしれないけども、どうなんだろう。
8. 匿名処理班
人口の減少すら止められないのに
9. 匿名処理班
※8
人口の減少は問題ではない
問題なのは少子高齢化
10. 匿名処理班
庭の雑草を刈らないとか、信じる人いるからやめてくれよ
ただでさえ温暖化で蚊の媒介する病気が増える危険があるのに
環境系の提言は、正義感で言ってることでも、過剰な環境主義者に曲解されて生活ゆがませるから言えばいいってもんじゃないぞ今の時代は
11. 匿名処理班
カラパイア見てるみんななら昆虫のイメージ悪くないよね
もっとマルハナバチのおしりを布教しなきゃ・・・
12. 匿名処理班
人類は衰退しました
13. 匿名処理班
過剰な除草(草刈り)で住処や食草を絶やされて生きられなくなる虫達
人間は虫がわくと言って道端はもとより空き地、里山の雑木林の中でさえ下草を刈ってしまう
無知というものは恐ろしい
我が物顔で支配や干渉をして、虫達に限らず先住の生き物達を虐げるからそうなるんだろうな
小さなベランダでも柑橘類の鉢植えを置いていると5〜6月の満月の頃から満月の度にアゲハチョウが卵を置いていくよ
アゲハの場合の食草、食べた柑橘の種を鉢に入れた土へ蒔いておけば簡単に発芽するよ
ウカウカしていると足りなくなるかもだけど虫と触れ合う機会ない人にはオススメかな
14. 匿名処理班
Gやら蚊やら絶滅してほしい虫は減ってる気配ないのにね
あいつらが居なくなる頃には人類は終わってるんだろうか
15. 匿名処理班
※3
そんな単純な話じゃない。花粉媒介昆虫がいなくなれば植物が種子を作ることができなくて絶滅する可能性があるように、生き物同士はお互いに依存しあっている。機械時計が歯車が1つ欠けただけで動かなくなるように、生態系が一気に崩壊することもありうる。
「システム」なのよ。プログラムにバグが有ると困るけど、生態系はバグがいる必要がある。
16. 匿名処理班
>>1
別に、太陽系内から資源を運ぶだけでいいんでは
17. 匿名処理班
>>2
西日本が特に酷く、あとは関東の首都圏が絶滅に近いらしいが、日本全体で言えば絶滅はしてないですよ。
18. 匿名処理班
>>15
だから、花粉媒介昆虫が絶滅する、という話ではなく、花粉媒介昆虫のうち何々が絶滅に近い、って内容みたいだね、って>>3は言ってるんでしょ。
ミツバチが減少!→何だって、花粉媒介昆虫が絶滅!?
みたいなミスリードをしないように気をつけよう。
19. 匿名処理班
昆虫は激減するどころか温暖化で増えてるよ
20.
21. 匿名処理班
庭は草ぼーぼーが嫌すぎるので防草シートだしコンクリートにしたいくらいだし
除草剤使うし虫と言っても色々だし害虫は強いのに有益な虫は弱すぎる
22. 匿名処理班
気温の変化に真っ先に影響受けるのが昆虫だろうからな
移動が上手い奴等は生き延びて増える
棲息域が狭くて食べ物が限定的な奴は其の場で死に絶える
環境が苛烈に成れば全体数は兎も角多様性は減るかもね
23. 匿名処理班
虫けら以前に、100年後にゃ純粋な日本人は多分絶滅してるからさ(苦笑