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【コラム】伏見つかさ「俺の妹がこんなに可愛いわけがない(16) 黒猫if 下」発売記念インタビュー。黒猫と京介が結ばれるエンディングを描いた「if」ストーリー : アキバBlog
2021年03月10日

【コラム】伏見つかさ「俺の妹がこんなに可愛いわけがない(16) 黒猫if 下」発売記念インタビュー。黒猫と京介が結ばれるエンディングを描いた「if」ストーリー

著:伏見つかさ&イラスト:かんざきひろ 「俺の妹がこんなに可愛いわけがない(16) 黒猫 if 下巻」 「俺の妹」シリーズの大人気ヒロイン、黒猫と結ばれる「もしも」を描いた「俺の妹がこんなに可愛いわけがない(16) 黒猫 if 下巻」が3月10日に発売。ファン必読の黒猫編のハッピーエンド、その裏話やアフターストーリーについて、作者の伏見つかさ先生に訊きました!(取材・文:かーずSP
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■「黒猫 if」上下巻ですべてを出し切って、
爽やかな気持ちで、最後の一文を綴ることができました

───軽く伏見先生の近況を伺いたいのですが、最近の注目コンテンツはございますか?

伏見つかさ(以下、伏見):Twitterで連載されている「ちいかわ(なんか小さくてかわいいやつ)」が好きです。愛らしいキャラクターの日常を切り取ったマンガなんですけど、それだけではなく、特殊な世界観が少しずつ明かされていくところが面白いです。不穏な展開になるとハラハラしながら読んでいます。

───そして本題、「黒猫 if」上巻が発売された時の反響、大きかったですね

みやP(ストレートエッジ所属。担当編集):黒猫ファンの方が「みんな読むべき」みたいな熱い感想をお見かけしたり、「黒猫 if」が発表されたことで企業さんから商品化の話がきたり、ゲーマーズさんが催事をしてくださりました。

関連リンク:アニメ「俺の妹がこんなに可愛いわけがない。」 10th Anniversary コラボストアinゲーマーズ

みやP:おかげさまでかんざきひろさんの描き下ろしもありましたし、しかもゲーマーズ秋葉原店だけの予定が、仙台店や名古屋店でも実施して頂きました。

伏見:「黒猫 if」上巻で久しぶりに黒猫を書きましたので、反響の大きさに応えられたのか不安でしたが、多くの支持をいただきまして、嬉しく思っております。

───「黒猫 if 下巻」の執筆はいかがでしたか?

伏見:とても順調に進みました。付き合いたての甘い関係や、初デート、デスティニーレコード、黒猫の家族たちとの出会い……などなど、黒猫ファンの皆様が喜んでくださるであろうシーンをたくさん書き込みました。

───当時の「俺の妹」インタビューでは苦労された話がたくさん出てきましたが、「if」は健やかに書かれているように見えます

伏見:一度完結した作品ということもあり、のびのびと書いております。「if」は完結前提のストーリーで、「続く」で終わらなくていい。完結させてもいい。それはいまの自分にとって、とても心安らぐことなんです。「続く」と書いた以上、続きを執筆する責任が発生します。そして、続巻はもっと面白くしなくてはいけない。

───積み重ねていくごとにプレッシャーが重くなる、と

伏見:そうですね……毎回、面白いネタを出し尽くしてしまって、次に書くアイディアが浮かばない。そんな生みの苦しみを繰り返しています。それが創作の面白さでもでもありますが、辛い部分でもあります。『黒猫 if』は、2冊で躊躇なくすべてを出し切ることができました。これで彼らはもう大丈夫だな、と、爽やかな気持ちで、最後の一文を綴ることができました。

■本編よりもイケメンの京介。その理由は……?

───全体的にギャグよりもイチャラブ度が多めだと感じました。この方向性については意識されたんでしょうか?

伏見:はい、黒猫ファンが求めている部分だろうと思っていたので、たくさん書きました。京介と黒猫は、二人ともが受け身のカップルなので、自然と穏やかなシーンになるんですよね。刺激的な展開にするために追加要素を入れることも考えましたが、今回は二人の邪魔はしないでおこうかなと(笑)。

───桐乃みたいにハチャメチャな人物のほうが、話が転がしやすいとか?

伏見:そうですね。思い起こせば、桐乃がいなくなった5巻は苦労した記憶があります。桐乃はストーリーをどんどん引っ張ってくれる最高のヒロインだったと思います。

───「黒猫 if 下巻」では、読者がどのくらい本編を覚えていることを想定しているんでしょうか?

伏見:まず、感想を書いてくださるような高い熱量の黒猫ファンは、私よりも覚えていると思うんですよ。そんな方々に満足していただけるようなifを書くことが絶対条件でした。 さらにアニメなどで黒猫ファンになって、この「黒猫 if」だけを読んでくれている方もいらっしゃると思います。そういう方にも楽しめる内容を心がけました。

───「黒猫 if 下巻」を読む前に、黒猫と仲良くなる小説8巻を読んだほうがいいですか?

伏見:読まなくても大丈夫です。黒猫 ifの京介は、当然ながら小説8巻の記憶など持っていません。未読の方と同じ目線で進んでいくので、問題なく読み進められるはずです。
 ぜひ知っておいていただきたい、あるいは思い出していただきたい既刊の内容については、本書の中で、改めてお伝えしています。

───本編との整合性を取るのは大変でしたか?

伏見:どうしても矛盾は出てくるものなので、仕方がないと割り切っています。例えば「本編の桐乃だったらこんな言動はしない」こともさせています。その方が面白いからです。
ただ、「本編と比べてどんな矛盾があるのか」だけは作者として把握しています。その上でどちらを取るか、その都度決めています。

───「黒猫 if」に登場する桐乃は性格が丸くなっていて、人格が成長しているように感じます

伏見:「if」の桐乃は、本編とは明確に違いますが、こちらも本物の桐乃だと言えるよう、魅力的に書いたつもりです。もしも、この桐乃は違う、という感想をいただくようなことがあれば、それは私の実力不足だと思います。

───京介も頼もしく大人びた印象を受けました

伏見:これについては、まず、ヒロイン側に理由があります。「黒猫から見た京介」のイメージが影響しているのだと思います。京介視点で進めていても、カッコよく感じるんです。京介は、上巻のエピソードを経ている分、8巻で付き合ったときよりも、黒猫のことが、ものすごく好きになっています。その違いもあると思います。

※深いネタバレありの「黒猫 if 下巻」の設定や裏話などは、本記事の後半部分にて公開!

■コミカライズ「あやせ if」1巻発売!
あやせはミニスカートで、脚がちゃんと見えているのが大事

───コミカライズ版「あやせif」を手がける渡会けいじ先生にもお越しいただきました。1巻発売のご心境はいかがでしょうか?

渡会けいじ(以下、渡会):多くの方の協力や応援があって、こうして本となって出せるのがとても嬉しく、ありがたく思います。一方でまだ不安も大きいです。「ベテランのあやせファン」に、自分の描いたあやせが受けいれられるのか……受けいれてもらえたら嬉しいですね。

───あやせが京介に攻撃する技が何パターンもあって楽しかったです

渡会:あやせの技はどれも急所を捉えていて痛そうですね。あやせが凶器を持っていなくて助かったな京介よ……(フラグ?)

───表紙は原作1巻のパロディということで、あやせの困り顔が可愛いです

※原作1巻の表紙イラスト

渡会:かんざき先生の描かれたイラストがとにかくアイコニックで、誰でもパっと見で「俺の妹」だとわかるんですよね。今回それを踏襲させていただきました。あやせの表情は、ifストーリー開始時点での京介との距離感を表すためにこの表情にしました。

───「あやせif」を描く時、気をつけている点はどこでしょうか?

渡会:新垣あやせを描く上で、私服にはこだわっています。あやせは読者モデルで自分のファッションにもプライドがありますから、京介と会うのに、同じ服は2度着ないだろうな、と。

───確かに納得です

渡会:なので、あやせの私服はエピソードごとに変えるようにしています。付け加えるならば、あやせだと「キック映え」する服装であるということも考慮しないといけませんね。ミニスカートで、脚がちゃんと見えないといけない(笑)

───大事ですね!(笑)。コロナ禍において、渡会先生のお仕事に影響は出ているんでしょうか?

渡会:一度目の緊急事態宣言が解除されたあと、「あやせ if」の作画の参考にするために秋葉原へ行きました。以前は賑わっていた観光客がまったく見当たらず、街から人がものすごく減っていることを実感したんです。
また、昨年はコミケが中止になって開催されませんでした。

───コミカライズ「あやせ if」1巻の大事なシーンとして、夏コミも舞台になっています

渡会:あのシーンも「リアルなコミケ」ではなくて「思い出の中のコミケ」……失ってしまった風景を描いているような感覚になりました。再び「リアルなコミケ」を体験できる日がくることを待ち望んで止みません。

───1巻発売に向けての意気込みをお願いします

渡会「あやせif」コミック1巻お待たせしました! 原作ファンの皆さんには、「好きなあのキャラにまた会えた!」という気持ちになっていただけると嬉しいです。ここまでの「if」も、さらにここから展開する「if」も楽しんで頂けたらと思います。

伏見:渡会先生が描いてくださった「あやせif」は本当に面白くて……この本が世に出るきっかけになったというだけで、「あやせif」を書いてよかったと思います。ぜひ、多くの方に読んでいただきたいです。

───「あやせif」1巻発売に合わせた特典があるんですよね?

みやP:はい、「あやせif」の書店特典を一覧にまとめてもらいました! どれも渡会さんの描きおろしでめっちゃ豪華です! 気になったあやせたんがいましたら、ぜひお迎えください〜!

「俺の妹がこんなに可愛いわけがない あやせif」1巻 書店特典

───前回の「黒猫 if 上」発売記念インタビューで告知された「黒猫 if」のコミカライズについて教えて下さい

みやP:「黒猫 if」のコミカライズが「少年エース」6月号(4/26発売)より連載開始予定です!作画の森あいりさんからコメントをいただきました。

「黒猫 if」のコミカライズが「少年エース」6月号(4/26発売)より連載開始予定
作画は森あいりさん
■森あいりさんメッセージ
自分の描くものが、「俺の妹」のオフィシャルになるなんて…!という嬉しさと、プレッシャーで、すでに頭がいっぱいです!笑 長年のファンの方々(もちろん最近知った方にも!)に満足して頂ける作品ができるように頑張ります!!
■「エロマンガ先生」11巻が発売中!
ムラマサの魅力がたっぷり詰まった一冊

みやP:そして「エロマンガ先生」11巻が2月に発売されました。rin先生よりメッセージをお預かりしております!

rinがコミカライズ「エロマンガ先生」11巻
コミカライズ版「エロマンガ先生」11巻 発売中
■rinさんメッセージ
「エロマンガ先生」のコミカライズ11巻が発売になりました。今巻は謎多きムラマサ先輩のお家に遊びにいくお話がメインになっています。みんなで作るリレー小説を通してムラマサ先輩の心が動かされていく様子は、きっと読者の方にもグッとくるものがあると思うので、ぜひ読んで頂けたらと思います。よろしくお願いいたします!

伏見:表紙や帯にあるとおり、11巻はムラマサの魅力がたっぷり詰まった一冊です。可愛く、面白く、ちょっぴりえっちな素晴らしい本に仕上げていただきました。改めて、最高のコミカライズだと思います。


※ここからは、「黒猫 if 下巻」のネタバレパートです。読了後にお読みいただけますと、より楽しめます

■新キャラクター"璃乃"のデザイン
「黒猫とは違うタイプのロリータファッション」

───表紙が黒猫のウェディング姿ですね!

かんざきひろ(“俺の妹”シリーズイラスト担当、以下、かんざき):あやせとは極力方向性が被らないよう考えました。当初カラードレスにしてはどうか?という案も出したのですが最終的にこのような形に落ち着きました。

伏見:ばっちりです! 桐乃やあやせのウエディングドレス姿にも負けない表紙になったと思います。きっと黒猫ファンの皆様にも、ご満足いただけるのではないでしょうか。

───今回、新たに璃乃をデザインされたとのこと。悠璃との対比を意識されてデザインされたと想像できるのですが、いかがでしょう

璃乃

かんざき:差別化にあたって地雷系ファッションなどの方向も考えたのですが、ちょっと違うなと思いまして、黒猫とは違ったロリータファッションの方向性でデザインをまとめました。「俺の妹」本編当時に参考にしていたブランドなどが無くなってしまっていたりして、時の流れを感じました……。髪型は要望いただいたものをそのまま形にしています

───さらに今回、神猫も本編の時とは違っているんですよね?

かんざき: 今回アニメ版のデザインやネタをフィードバックした形で描いてほしいと要望があったので、羽が大きくなっています。他の挿絵も久しぶりだったので、当時の設定とにらめっこしながら描いてました。

───気に入っている一枚はどれでしょうか

ピンナップ

かんざき:ピンナップの絵は今回凝った事はせず、こういうのが見たいかなと思ったものをそのまま描きました。限られた時間で描いたにも関わらず、いい仕上がりになったので気に入っています。

伏見:今回も、絵にしていただきたいシーンがたくさんあって迷いました。一番は決められないのですが、ピンナップのツーショットは、本書を象徴するような一枚で、気に入っております。

■初お目見えした黒猫の両親。黒猫はどっち似?

───長年の謎だった、黒猫の父が初登場しました。本編の時から設定はあったんでしょうか?

伏見:はい。当時から設定自体はほぼ固まっていました。身体が弱くて、頼りがいのある父親という感じではないけれど、とても優しくて綺麗な人、と。アニメの時に関係者から「黒猫のお父さんってどんな感じなんですか?」と訊かれて、その時は「気弱な性格で、外見は「銀魂」の●●みたいな感じです」とお答えしました。

───(笑)京介の父親とは対照的だと感じました

伏見:今回書いてみて、こんなにフランクに京介と絡むとは作者も思っていませんでした。気弱ながらもキャラが立ったんじゃないかなと思います。

───黒猫の母親、瑠衣さんについてはどうでしょうか

伏見:外見は日向(黒猫の妹)を大人にしたような感じ。性格が一番似ているのは「黒猫 if」の上巻で初登場した“あの子”だと思います。ばりばり仕事をして、家計を支えてくれているお母さんです。もう少し出してあげたかったのですが、大きな役割がなかったので、最終的に削ってしまいました。

───皆さんが選ぶ、今回の好きなシーンを選んで下さい

伏見:結婚式のシーンです。「あやせ if」の感想で「結婚式をちゃんと描写して欲しかった」という感想をいただきまして、今回はしっかりと描いています。ちなみにテキストには書かなかったんですけど、黒猫たちと関連の深いキャラクター達も出席しています。ゲーム研究会のメンバーだけじゃなくて、例えば本編の終盤に登場した櫻井秋美や御鏡光輝たちもあの場にいたんです。

───櫻井秋美は京介の中学時代のクラスメイト、御鏡光輝はコミケでアクセサリーを売ってた、隠れオタクのイケメンですね

伏見:「if」で初出の名前をここに書くことには迷いがありまして、結果的には触れていません。ですが「みんないましたよ」と、言っておきたいです。

───おおっ! 錚々たる披露宴だったわけですね。みやPさんの印象的なシーンはどこでしょうか?

みやP:遊園地デートが好きですね。ジェットコースターに乗ったり、一緒にお弁当食べたり、お揃いのウサ耳つけたり、等身大の高校生のデートだなって。

───オーソドックスなのが逆に「俺の妹」では新鮮だと感じたんですが

伏見みやP:「「そうなんですよ」」

───ハモりましたね(笑)

伏見:「俺の妹」のキャラクターたちは、なかなか普通のデートをしてくれなかったんです。海にも全然行きたがらないし、「夏コミだよね!」とか言い出しちゃうし……ゲームとか、アニメのOPとか、版権イラストとかでしか海に行ってないんですよ(笑)。

三木一馬(ストレートエッジ代表取締役、担当編集。以下、三木):自分はやっぱり、ネタバレなので多くは語れないのですがラストシーンですね。あそこが全ての系譜を引き継ぐようなニュアンスになっていてとても興味深いです。ぜひみんなに読んでもらいたいです!!

小原(「俺の妹」担当編集):やはり自分もラストシーンになってしまいますね。今回黒猫と桐乃はある約束を交わすのですが、それの答えが提示されます。ここは桐乃ファンにもぜひ読んでいただきたい内容です。

■本編と「黒猫 if」の決定的な違いは「桐乃が違う」

───今回のお話で、京介がいくつか失敗していたら本編ルートに戻る、みたいな展開は有り得たんでしょうか?

伏見:ないです。京介が違う選択をしたら、ifとも本編ともまったく違う展開になっていたと思います。前回のインタビューでお話ししましたが……上巻で京介は、桐乃を助けに行くことができませんでした。その結果、桐乃は自力でリアに勝利し、アスリートへの道を切り開いています。

※前回の「黒猫 if 上」発売記念インタビューを参照。

伏見:ですが本編(「俺の妹」5巻)でメールを読まなかった場合は、桐乃がリアに勝てなくて、潰れてしまっていたと思います。ですので……本編と「黒猫 if」の決定的な違いを強いて挙げるとするなら、「桐乃が違う」という回答になります。違う桐乃を書かないと成立しないのは、早期にわかったので、偽物の桐乃にならないためにはどうすればいいか? どう書けば自分は納得するのか? と、考えを進めていきました。

───ゲーム研究会のその後が見られて嬉しかったです

伏見:三浦部長たちは将来、ゲーム会社を作って楽しく過ごしているイメージが以前からありました。今回、彼らのアフターを詳しく書けたのは嬉しかったです。ifではなく本編でも、彼らは将来ゲーム会社を作っていると思いますが、瀬菜が入っているかどうかはちょっと分からないですね。きっと御鏡は、ゲーム会社と深く関わっていると思います。

───黒猫は、シナリオライターとして三浦社長たちから外注されているんでしょうか?

伏見:基本的には作家なので、たまに彼らのゲームシナリオを担当しているくらいです。でも……たぶん、黒猫が参加したゲームはあまり売れていないと思います。

(一同 笑)

伏見:好きな仲間と好き勝手に創作しているので、趣味全開のものが出来上がってしまう。そんなには売れないけどもコアファンはできる。そういうニッチなゲームを作っているんじゃないでしょうか。

───京介は何の仕事に就いているんでしょうか?

伏見:普通の会社員です。設定は無いんですけれども、編集者だったりしたら、ちょっと面白いかもしれないですね。あんなかっこいい声の担当編集だったら、私もやる気が出ます(笑)

───京真たち子供世代を主人公にした続編の予定はありますか?

伏見:まったくないです。彼らの設定や、関係性のビジョンはありますが、それをお話にしようとは思っていないんです。いまは他に書くものがたくさんありますので。

■伏見つかさ先生の分岐点は……ドリームキャスト!?

───黒猫が作家になったことに ちなんだ質問です。伏見先生にとって、商業作家になる時に影響を受けた人物はいらっしゃいますか?

伏見:私はデビュー前にweb小説を書いていたんですが、その頃に感想をくださった人たちには、人生を変えてもらった気がします。ホームページの掲示板で感想を書いてくださったり、イラストを描いてくれたり。いい思い出……というだけは表現しきれない、強い想いがあります。

───ライトノベル作家の人生を振り返って、どこがルート分岐で、分岐を決定づけたアイテムや人物などはありますか?

伏見:本書にも出てくるので、言ってしまうと……ドリームキャストですね。ドリキャス。これは私にとって未来のゲームハードでした。何がすごいって、据え置きゲーム機でネットゲームができたんです。モデムが標準で搭載されていた。こんなの他になかった。ネットに繋ぐ時間で電話料金がかかるアナログ回線だったんですが、夜中だけ「テレホーダイ」という、いくら繋いでも一定金額のコースがあったんです。

当時『ファンタシースターオンライン』(以下、「PSO」)がすごく流行っていまして、毎晩ずっとゲームを遊んでいた結果、成績が落ちてしまいました。夜眠らないわけですから、しょうがない。「PSO」が面白いせいで、人生めちゃくちゃになりました。ネットリテラシーゼロの赤ちゃん状態で始めるネットゲーム初体験は、それくらいの衝撃だったんです。ドリキャスさえなければ、「PSO」さえなければ、アイテムが全部なくなったときムキにならなければ……もっと違う仕事に就いていたかもしれません。振り返ってみれば、こうして自分の好きなことを職業にできたので、良い方向に人生が変わったんだと信じたいです。

───ゲームクリエイターではなく?

伏見:小説以外に漫画も描きたかったですし、ゲームも作りたかったです。出版社からお声がかからなかったら、ガンガン他の創作にチャレンジしていたと思います。

───「黒猫 if 下巻」の作中で、「斑鳩」や「月華の剣士」といった懐かしいドリキャスのタイトルが飛び出しているのも、伏見先生の思い出からだったんですね

伏見:古い記憶を思い出しながら書いたので、なにか表現に間違いなどございましたら、すべて私の責任です。そういえば、このシーンを書いたとき、編集の小原さんに「ドリームキャストは古くない!」ってツッコまれました。

───「※個人の感想です」って注釈がつくところですね(笑)

小原:ドリキャスはまだまだ現役ですよ!

(シーン)

小原:……20年前のハードですね。ごめんなさい。僕も「PSO」に人生を狂わされた一人なので、この件に関しては何とも言えないです。

(一同 笑)

小原:でも伏見さんだけでなく、僕が担当している作家さんやイラストレーターさんで当時「ファンタシースターオンライン」にハマっていたという方、結構います。

───それだけクリエイターを生み出したゲームだったと言えるんでしょうか?

小原:こう見ると「ゲーメスト」の投稿コーナーのように、エンタメ業界へ進む分岐点が「ドリームキャスト」にも存在していたのかもしれませんね(笑)。クリエイターの特異点と言うと、さすがに大げさですが、伏見さんの話を聞いて、そう感じました。

伏見:そうですね。私は今、ベストの人生を歩めていると思います。

■「黒猫 if 下巻」&コミカライズ「あやせif」1巻
発売記念キャンペーンが開催!

みやP:先ほどお話させて頂いたゲーマーズさんの催事もありましたが、下巻の発売&コミカライズ連載時期決定を記念してTwitterで感想キャンペーンを実施します! 抽選で10名さまに伏見さんのサイン入り色校をプレゼントしちゃいますので、ぜひ参加してください〜!

「俺の妹がこんなに可愛いわけがない(16) 黒猫 if 下巻」感想ツイートキャンペーン

みやP:それと「黒猫 if 下」の書店特典について、今回もありますのでぜひ欲しい特典がある方はお早めにですよ!

「俺の妹がこんなに可愛いわけがない(16) 黒猫 if 下巻」書店特典
■次回作は「加奈子 if」
PSP版「俺の妹」に収録された2本を再構成

───次回の「加奈子 if」はどんな予定でしょうか?

伏見:ベースとなる「加奈子ルート」についてですが……私が執筆したテキストが「俺の妹がこんなに可愛いわけがない ポータブル」「俺の妹がこんなに可愛いわけがない ポータブルが続くわけがない」という2つのゲームに分割されて収録されています。

「加奈子if」は、こちらのノベライズです。ゲームをプレイした人たちが楽しんでくれた、そのままのノリを残したいです。もちろんそのままでは小説になりませんので、上手く補完したり、プラスアルファ的なものを加筆できればいいと思っています。

───最後に皆さんへのメッセージをお願いします

みやP:上巻では思わず涙が出てしまうようなシーンがあったり、下巻ではニヤニヤするイチャイチャがいっぱい入っていたり、上下で充実した「黒猫 if」シリーズに仕上がりました。ぜひ皆さんにも楽しんでいただけたらと思います!

小原:黒猫ファンはもちろんですが、当時「俺の妹」を小説やアニメで見ていただいた方に、ぜひ読んでいただきたい内容になっていると思います。「おかげで8年もののコリがとれたわ」というわけではありませんが、自分はとてもスッキリしています。

三木:あやせルートも黒猫ルートも大変お世話になりました。おかげさまでこの後も他のキャラのルートを辿ることができるのでとても嬉しいです!! 「エロマンガ先生」共々頑張りますので、よろしくお願いいたします!!

伏見:「黒猫 if」上巻は、かなり攻めた内容になりました。私としても、皆さんがどんな感想を抱かれるのか不安でしたが、思いのほか嬉しい感想をたくさんいただけて、ありがたかったです。
下巻は「俺の妹」本編の読み口に近い、『これが「俺の妹だ!』という内容をお届けできたと思いますので、ぜひまた感想をお待ちしております。
黒猫というヒロインをここまで好きになってくださって、ありがとうございました!

───本日はありがとうございました

(取材・文:かーずSP

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「俺の妹がこんなに可愛いわけがない(16) 黒猫if 下」書籍情報(試し読みあり)
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電撃文庫・伏見つかさ公式サイト / 俺妹&エロマンガ先生公式Twitter
伏見つかさ氏のブログ「LUNAR LIGHT BLOG」
イラスト:かんざきひろ氏のTwitter / pixiv / Pawoo
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「俺の妹がこんなに可愛いわけがない あやせif」1巻コミックス情報 / 作品情報
ComicWalker「俺の妹がこんなに可愛いわけがない あやせif」連載ページ
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「エロマンガ先生」11巻コミックス情報 / 作品情報
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