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場所は詳しくは言えない。東北地方で「鬼」の名前が付く地域での話『鬼の棲む滝』 | 不思議.net

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    場所は詳しくは言えない。東北地方で「鬼」の名前が付く地域での話『鬼の棲む滝』



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    怖い話投稿サイト「奇々怪々」より人気作品をご紹介

    今回も怖い話投稿サイト『奇々怪々』さんに投稿された作品の中から、人気作品をご紹介させていただきます!

    今後も引き続き人気作品は不思議.netでも掲載させていただく予定ですので、我こそはという方は是非投稿してみてはいかがでしょうか。

    不思議.netも協賛してますので、たくさんのご投稿よろしくお願いします!
    優秀賞には賞品もありますよ。



    鬼の棲む滝

    2017年8月、社会人2年生だった頃の話。

    都会の波にもまれて心が疲弊してしまっていた俺は、
    8月のちょっとした連休に地元に帰りキャンプすることにした。

    中学校からの親友であるSとともに、1週間前から毎晩電話でキャンプの計画を練っていた。

    キャンプ場じゃ疲れは癒せねえよな、てことで行先は地元の山中。
    イワナやヤマメが釣れる沢へ行き、傍の河原でキャンプすることに。

    当日、朝の新幹線で帰郷した俺はSに迎えに来てもらいその足で現地に赴いた。
    着いたのは、昼の11時くらいだったと思う。

    まずは釣り。
    入れ食いではなかったが、3匹ずつ釣れ昼めしに食べることに。
    焚き火を起こし、魚の下処理をした。

    内臓を川に捨てたんだが、その時にひどい耳鳴りがした。
    心の中で「いただきます」とつぶやき、山の神が怒ったのかななんて考えてた。
    魚を食い、キャッチボールしたり沢登りしたり、成人男性らしからぬ無邪気さ。

    で、沢登りをしていると上流に滝が見えたんだ。
    少年時代にタイムスリップした我々は一目散に滝へ向かった。
    「滝行だ!」とか言って、滝を受けたがまあまあ痛い。

    ひ弱なSは早々に切り上げたが、
    さっきの耳鳴りのこともあったし、体を清めようと思った俺は5分くらい打たれてた。
    んでSが、なぜか滝を見つめてぼけっとしてる。

    滝から離れ「どした?」と聞くと、「滝の裏側に何かあるよね」と。

    確かに、なんかがある。
    でも滝が邪魔して全貌は見ることができない。

    子供のころからThe 少年な俺は滝の裏側に行くことにした。
    滝を受けてさらに先へ進むと、何やらえぐれたような形の洞窟があった。
    さすがにテンション爆上げ、防水ケースからスマホを取り出しライトで照らした。

    ーーーーーその刹那、滝の音が止んだ。
    振り返ると、滝だった場所には石の壁。
    扉も窓も何もない、ただの空間。

    恐怖と好奇心がごちゃまぜになりながら、改めて部屋を見回した。
    8畳ほどの空間に、骨のようなものが散らばっている。
    中央には祠のようなものがあり、赤黒い乾いた血のようなものがこびりついている。
    祠の横には卒塔婆のようなものがあり、かすれてほぼ読めないが、
    「仙」と「鬼」の文字が見えた。鬼は昔の漢字だった。

    そしてその祠の向こう側に、”何か”がいる。
    幽霊?人?化け物?…いずれにしろ、助かるにも殺されるにも、
    その”何か”が知っているはずだ。
    以下、訛りがひどいため分かりやすいように書きます。

    俺「すみません」
    ?「あぁ…」
    俺「迷い込んでしまったのですが、帰り方を教えてください。」
    ?「今に帰すから。もう盆だ。」

    無事に会話できた俺は、ライトを構えたまま近寄ってみたんだ。
    …あまりの禍々しさに、失禁した。全身に鳥肌が立ち、涙があふれた。

    ぎょろりと大きい緑色の白みがかった目、ぶつぶつしたカエルのような紺色の肌。
    ふんどし一丁で、錆びた包丁を岩で研いでいた。
    卒塔婆に書かれた「鬼」の文字。
    ああ、これが鬼なのかと理解した。

    鬼「まあ驚くな。男は嫌いだ。無事に帰してやる
      いいからそのまぶしいのやめてくれ、目が痛いんだ」

    逆らっても勝てない、無事に帰してくれるというならとライトを消しその場に座り込んだ。

    それから何時間いただろうか、体感では3日以上に感じたが、もっと短いだろう。
    ただ岩にくぼみがあるトイレと、湧き水をもらった。
    時折いなくなったかと思えば、カエルや鳥を持ってきてくれた。
    そのままで食えるわけもなく、残してしまったが…

    暗闇に目が慣れてくると、散らばる骨の正体が分かった。

    人骨だ。
    鬼がいる周辺には無数の頭蓋骨が散らばっていた。

    女の脳みそがうめぇんだ。男はくせぇ。なんて言っていた。
    男に産んでくれた親にひたすら感謝し、無事に帰してくれるのを待った。

    鬼は外の世界のことを知りたがった。
    スマホのことや車の話など。
    鬼が知っている人間の名はみんな歴史上の人物だった。

    いよいよ鳥やカエルに手を出そうかと思うくらい衰弱したころ、
    急に滝の音が聞こえてきた。

    鬼「お前気に入ったぞ。またこいや」
    俺「迷い込んでしまいすみませんでした。今度何か持ってきます」

    俺は洞窟を後にした。フラフラで沢を下る。
    何度もつまずきながら、キャンプ地に向かう。
    外はまだ夕方のようだが、異様に寒い。

    キャンプ地に行けば、道路側へ行ける獣道がある。
    Sは帰っただろうが、誰かに助けてもらえるだろう。

    当然、荷物はない。
    衰弱した体に半そで短パン、そしてびしょぬれは寒すぎる。
    一刻も早く何かを食べたい。ベッドで寝たい。
    道路に出たが、車がなかなか通らない。

    麓まで歩いたら1時間コース…
    背に腹は代えられない。ゆっくりと歩きだした。

    20分ほど歩くと、一台の車が通りかかった。
    俺の様子を見てか、止まってくれた。
    山で遭難してしまったと話すと、快く車に乗せてくれた。
    実家まで送ってもらい、家のチャイムを鳴らすと、
    幽霊でも見るような顔で驚く母がいた。
    父が飛び出してきて、ガラにもなく抱きしめてきた。

    父「どこ行ってたんだ…」
    俺「いやいや、2,3日帰省が遅れただけでしょ」
    母「あんた、何言ってるの。1年間以上行方不明だったんだよ」

    とりあえず落ち着いて家に入ると、
    カレンダーは2018年11月。そりゃ寒いわけだわ。
    風呂に入って、飯を食って、ベッドで寝た。
    この上ない幸せだった。

    ケータイを充電したが、解約されていたようで、電話は使えなかった。
    LINEを開くと友人や会社の先輩、親戚とかいろんな人から心配の連絡が入っていた。

    SからのLINEがなんと今日も来ており、
    1年以上送り続けていたのかとちょっと笑えた。
    S含め各方面に電話をし、無事を伝えた。
    山で遭難したことにした。
    親やSには詳しい真実を話したが、まったく信じてもらえなかった。

    Sが言うには、滝の裏側から出てきてすぐ山奥に走っていったらしい。
    鹿か!って思うくらい速くて追い付けんかったんだって。

    あそこで過ごした3日間はこっちの世界では1年以上だったんだ。
    鬼の寿命なんて知らないけど、そりゃ坂上田村麻呂と知り合いだなんて
    信じてしまうよな。

    近年その山で女性の遭難なんて聞いたことがないから、
    あそこにあった人骨も何十年何百年前のものなんだろうな。

    たたられないように、毎年お盆に肉をお供えに行ってる。
    滝の向こうから話しかけられたこともあるけど、
    特に怖い話でもないので割愛。

    地方はあまり言えないけど、東北地方で「鬼」の名前が付く地域です。


    提供:奇々怪々-怖い話投稿
    引用元:(作者:イエティ/ 鬼の棲む滝

    続きもあるようですので気になった方は読んでみてください。
    鬼の棲む滝 part2
    鬼の棲む滝 part3




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