水難学会「現役のレスキュー隊員が勢いをつけて泳いでも、ため池から這い上がるのはムリ」
先日、水難学会が動画付きで発表した、「ため池に落ちると、なぜ命を落とすのか」という記事。

ため池に落ちてしまう様子、ため池から這い上がれない様子の動画は分かりやすかったけれど、「本気で這い上がろうとしていなんじゃないか?勢いをつければ這い上がれるのでは?」という感想も多かったようで、追加の動画を撮影して新たに記事化。

「勢いをつければ、ため池から這い上がれるのでは」という疑問に実験結果で回答 - Yahoo!ニュース

動画内でため池から上がろうと頑張っているのは、常日頃から身体を鍛えていて、消防に勤める現役の水難救助隊員。

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水難学会による「ため池に落ちると、なぜ命を落とすのか」の記事と動画が非常に分かりやすい

動画1 ため池から全力で上がろうとしてもダメ

平泳ぎで泳ぎ始め、クロールで加速しても、イルカやオットセイのように勢いで上がるのは人間には無理。
手のひらとコンクリート表面との摩擦も、体を陸にあげるほどの影響力はない。
両腕を思いきりかいた勢いで上がろうとしても、腰が水面に出ると足が滑って前に進めない。


動画2 ため池で救助を待つ体勢

平泳ぎで近づいて斜面に胸を乗せる、あるいは背泳ぎで近づいて斜面に肩甲骨を乗せると、救助を待つ体勢としては楽。


動画3 ため池中では靴を脱いでは絶対ダメ 「手とか足とか見るとさ、ザクザク切れてて・・・」

靴を履いていても、脱いでいても、滑りやすさは変わらず。
怪我の危険性を考えると脱ぐのはダメ。

この動画は実際に水難事故死のあった現場で行われているもの。
一度落ちたら自力で這い上がるのは困難であるのに、「頑張れば這い上がれるんじゃないのか?」と思わせてしまう所にこそ、ため池水難事故の恐ろしさがあるのだと思う。


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