第296話「歌」

お兄ちゃんを殺しやがってェ！豹丸の野郎ぜってェ許さねェ！

血の楽園を作り上げ、吸血鬼どもに普通の生活をもたらした豹丸は、吸血鬼らの中で一番まともな男かもしれねェ！もしかしたらお兄ちゃんが豹丸となって吸血鬼の改革をした英雄かと思ったけど違った！あの豹丸の野郎、改革者を簡単に殺しやがってェ！

ぜってェ許さねェ！

もうこうなったら、明さんたちと出会ってこの血の楽園を攻めるしかねェ！そのためには…自由の女神に行き合流するしかねェ！だがこの自由の女神が、上級地区にあって生き方が分からね…いや違う、血の楽園で受付したところに上級地区への道があったじゃねェか！

さあ、どうやっていけば…そうだ！ここには奴隷扱いされちまってる人間どもがうじゃうじゃいやがる！そして希お姉ちゃんたちが労働地区の鍵を持ってるから、ここで反旗を翻して一気にせめちまえば…

誰か…誰かいねェか…

ちくしょう！人間どもにやる気がなくて役に立たねェ！ちくしょうなんだこの人間どもはァ！奴隷根性入りやがって少しは根性見せやがれェ！

…ん？なんだこの、あまりにも美しすぎて可愛らしすぎて今にも抱きしめて守ってあげたくなるこの歌声は…

ゆかポン！？あのアイドルであり人類の天使、希お姉ちゃんがハゲとカップル成立しそうな今、明さんを救えるのはあなたしかいないと思ってたそのあなた！ゆかポンが歌い出したァ！

あの松本先生ェが吹き出しで♪マーク使っちまうほどの美声！とんでもねェこりゃとんでもねェ逸材じゃねェか！

なんてことだ…ここまで人を引きつける力を持ってるなんて…。昭和の名曲を歌ったそうだから、きっと「愛・おぼえていますか」とか歌ったに違いねェ。でも奮い立たせるならもっと激しい歌で奮い立たせてくれてもいいんですよ。

ここからは戦じゃ！

そして士気高まった人間どもを引き連れて受付を襲撃ィ！相手は吸血鬼どもとはいえ、人数の差、そしてガリガリだけど命がけで戦う人間どもと、吸血鬼だけど血の楽園で公務員みてェなことやってる生ぬる吸血鬼ごときだったら、勝負は明かじゃ！

そもそも人間どもには電気の警棒があるぜェ！なんでみんなこんなに持ってるか知らねぇが、この電気の棒、刃物で切り落とすより相手を動けなくするからすげェ有効じゃねェか！単行本80巻近くになって普通の人間でも勝てる吸血鬼の弱点が明らかになっちまったじゃねェか！

とにかく、所詮血の楽園でダラダラ楽園ベイビーしやがってる吸血鬼どもに勝てるじぇ！自由の女神へ行くぜェ！

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