逃げ上手の若君：第48話「京1335」

あっ…今日で若君と出会って1年が経つんだね。

若君との出会いは2021年1月。このご時世で家に引きこもるしかなかった私は、とある事情で愛を失ってしまい、長く無を生きていたね。このまま塵となって消えてしまうのか、はたまた標準に戻って普通の余生を過ごすのか、あのころの愛を求めて彷徨い続けるのか…ただ、どんな未来があっても絶対に愛すべき人とは出会えないだろうなと思ってたよ。本当に、愛って難しいね。

でも、2021年1月に衝撃が走った。だってそこに、愛がいたんですもの。自分でも驚いたよ、こんなに愛にドッキュンしちゃうなんて思わなかったよ。愛ってすごいね。愛って、最高だね。若君と愛を1年営めて、私は幸せだ。

だから、もうなんか不安な未来しか見えない1335年だけど、きっといい年になるに違いないさ。きっと…ん？

おい…おい…いいのかよ…こんな可愛い姿見せつけてきていいのかよ…もう知らんぞ！この1年、若君に一切手をつけないよう努力してたけど、1周年記念でこんな清純若君見せつけられて、こっちもだまっちゃおれん！これはもうナニっちゃえと言ってるようなもの！いいんだよねナニしたっていいんだよね！？知らんよ！こっちのせいでどんなことが起きても知らんよ！

…まあこのご時世規制厳しい昨今なんで、6畳1間の空間でしかしないけどさ！若君と一緒にこの6畳でナニが起こるか分からんけどナニかしちゃうからね！いいんだよね！？もう知らん！うっ

新展開へ

アニバーサリーフィニッシュしたところで…そうだ！天狗が襲いかかってきて大ピンチなんだ！今までと違い相当ヤバイ相手！いくらなんでも若君じゃあ勝てないかもしれない！というか勝つ勝たないじゃなく、若君という存在がバレてしまいかねない！

とくに1300年代、それこそ車もなければ自転車もない、ローラースルーゴーゴーもない、あるとしたら馬くらい。そんな自分は若君の馬になりたいヒヒヒーンと叫ぶのは置いといて、そんな時代に情報というのはとてもとても大事、そしてその情報を制してしまうのが天狗…。

さらに厄介なことに、頼重が若君の死をも予感してしまっていること。諏訪にいたらそうなってしまうから、なるべく遠くへ逃げたほうがいいって。

そこで作戦として、叔父の康家とともに信濃を離れて京の都へ上るという案が出てきた。京へ行けば協力者とともに乱が練れるし、天狗からも逃げられる。というかこの手しかもうないでしょ！

マイナスに考えれば逃げ…だがプラスに考えれば若君と一緒に旅行ができる！若君と一緒に愛の逃避行！愛！なんてラブい展開！叔父がちょっ～～～～～～～～～～っと邪魔だけど。

…ということで、若君が京を目指して進む新展開始まりました。付いてくるのは逃若党だけで、ようやく厄介親父の頼重とバイバイできるか…。せいせいしたわ！若君にあんだけ迷惑かけやがってクソオヤジが！

…でもなんだろ、頼重がいなくなったことで、とんでもなく不安になる自分がいる。もし頼重がいなかったら、若君は生き延びられないんじゃないだろうか…そして、若君が不安になって毎日涙しちゃうことも…そういうときはいつでも抱きしめてホールドオンミー、全部だきしめて、抱きしめたい。その覚悟はあるけど…でもこういうときって…

いやいや！年の差！若君が頼重のことを想って涙するなんて考えたらダメ！そんなベタな展開なんてあるもんか！いやだよ自分がライバル役でいい人扱いされて相手されなくてなんて展開！頼重のことは忘れて若君の京ランデブーを楽しもう！さあ、ここから楽しい未来が待ってますよ！若君…そうだよね若君…。

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