rty7765――公開初日からの観客の反応は予想していたのでしょうか?



・映画『大怪獣のあとしまつ』プロデューサーを直撃「予想以上に伝わりませんでした」



【中居P】予想外でした。正体を明かせないアラタ(山田涼介)が、怪獣の死体処理を託されたことをきっかけに、元恋人のユキノ(土屋太鳳)とともに雨音(濱田岳)の妨害を押し切り、人間のまま『あとしまつ』できるのか!? この三角関係に関して反応を期待していました。ところが、特撮部分やギャグ要素に反応が偏っている印象を受け、伝えたかった三角関係の部分が伝わっておらず、そこが予想外でした。

【須藤P】ラストの巨大ヒーローが全てを解決するというオチ、これは結局、「神風が吹かないと解決しない」という、ごく単純な政治風刺なのですが、これがほとんど通じておらず驚きました。本作の風刺的な要素に関しては、新聞世代(昭和世代)には概ね理解されて楽しんでもらえたようなのですが、特に、若い人々に伝わっていない事が発見でした。


・映画「大怪獣のあとしまつ」







――「テーマに対する着眼点」は良かったという意見は多く、映画館まで足を運びたいと思わせるパワーがありました。企画の原点は?

【須藤P】企画の原点は三木監督です。雑談の中で三木監督が「怪獣の死骸って、どうしてるんでしょうね」という事を話された時にこの企画が動き出しました。

――着眼点の良さを生かしきれなかった?

【中居P】先ほども申し上げたとおり、「巨大な怪獣の死体のあとしまつ」を巡り、正体を明かせない主人公が、元恋人の協力と、彼女の夫による妨害の狭間で葛藤する物語です。そこに本格的なSF映画のスケール感と、愚かな権力者たちの会話劇による社会風刺の要素を盛り込みました。「テーマに対する着眼点」をもとに、三木聡監督にしかつくれない作品になったと自負しております。ただし、伝わると思っていた三角関係が伝わらなかったために、「期待外れ」が生まれてしまったとも思います。