北米にまつわる、任天堂と商標権についてのお話としていて、そもそもアメリカではどのような解釈をされていて、そして商標権を失いかねない可能性もあるとしていて、その例もあって、なかなか興味深いですね。
インターネットを長くやっていると、1990年に任天堂が出した『Nintendo』という言葉の使い方を訂正するポスターに出くわすことがある。
この広告は、マリオがおばあちゃんに文法を教えているように見えるかもしれませんが、この画像が最初にインターネットに登場したときは、任天堂のいつもの尊大さ、つまり、自分たちのファン層に何ができて何ができないかを横柄に伝える会社として受け止められたのです。
しかし、この画像にはもっと個人的な存在意義があるのです。
何でもかんでも 『任天堂 』と言えば、ビッグ・Ｎにとってメリットが大きいのでは」と思われるかもしれません。『それは無料の広告であり、競合を打ち負かすものだ』と思うかもしれません。しかし、商標法の世界では、それは企業にとって文字通り最悪の事態なのです。
商標を取得するためには、その商品・サービス・会社を表現する言葉として、非常に具体的なものでなければならないのです。例えば、『ビデオゲーム』という言葉は、非常に広範な言葉であるだけでなく、誰もがそのメディアを表現するために使う言葉であり、公共の辞書の一部であるため、商標登録することはできません。
これは、1946年に制定された米国ランハム商標法（Fritz G. Lanham Trademark Act）の第15条に由来しています。
(4) 登録された商品、サービス、またはその一部の一般名称である商標には、争うことのできない権利を取得してはならない。
つまり、商標がユニークである限り、そしてユニークであり続ける限り、あなたは金ピカです！ということです。
しかし、企業にとって残念なことに、英語は常に進化し、拡張していく言語です。過去20年間でさえ、複数の商品名が辞書の一部になっています。掃除機を使うとき、『フーバー』と呼ぶか？『セロテープ』を使うか『粘着テープ』を使うか？ネット上で偽物と思われる画像を見て『That Looks Photoshopped』と言ったり、情報の検索を依頼するときに『Google it』と言ったりしたことが何度あったでしょうか？
そして、任天堂と同じように、AdobeもGoogleも、同じ損失を恐れて、ユーザーに言い方を変えるように公の場で要請しているのです。
つまり、商標登録された言葉が一般的な辞書に載るようになると、その言葉は『Genericized』、つまり形容詞が名詞になるとみなされるのです。そうなると、その使い方は誰からも法的に問われる可能性があります。
例えば、2019年の時点で、アップルはアマゾンに『App』と『App Store』という言葉を自社のタブレット製品に使用するよう法廷で争われ、商標権を失いました。
コカ・コーラのような巨大ブランドでさえ、レストランで『コーラ』と頼むのは、特にコカ・コーラのものではなく、どんなコーラ飲料でも頼む人が圧倒的に多いため、現在、コーラの商標権を失う可能性があるのです。それは、ウェイターが何度答えても、その飲料を表す辞書が進化してしまったものだ。『ペプシ』でいいでしょうか？
だから、当時はこのような商標がパブリックドメインになる可能性があり、セガは自分たちのゲーム機を合法的に呼ぶことができたのである。つまり、このような商標がパブリックドメインになる可能性がある以上、セガは自分たちのゲーム機を『ニンテンドーサターン』、あるいはソニーは自分たちのゲーム機を『ニンテンドーサターン』と呼ぶことができたはずだ。ということになるのだが、まあ、それはそれとして。
しかし、ブロックバスターから自社タイトルをレンタルする会社、自社でカートリッジを製造する会社まで、あらゆる会社を訴えた結果、『Nintendo』の商標を失うことが、1990年当時、同社が文字通り市場支配から最も恐れていたことだったのです。
長くなりましたが、今後、同社が作ったものであろうとなかろうと、ゲームのすべてが『任天堂』のブランドで統一されることを望まないのであれば、それはそれでいいと思います。今度おばあちゃんに、任天堂のゲーム機でHaloをやっているのかと聞かれたら、形容詞を訂正してあげましょう（あるいは、あなたがソニーやXboxのファンなら、励ましてあげましょう！）。
関連リンク
任天堂は海外において、NESから一環して任天堂という名前を入れてきましたが、唯一、wiiとwiiUでその名前を排除しましたよね。ニンテンドースイッチで復活しましたけどその辺も考慮されていそうですね。