ereewrew432防災アナリストで一般社団法人日本民間防衛連合会の金子富夫代表理事は「明らかに無謀な遊覧。売り上げ優先で、業界ルール無視の会社の体質が招いた事故だったのでは」と指摘する。



・知床観光船、運営会社の「ブラックぶり」次々 同業者から「潜水艦」揶揄も



 カズワンは昨年、浮遊物と衝突し、乗客3人がケガをした。さらに浅瀬で座礁と2度の事故を起こしていた。今月20日の船舶検査ではパスしていたというが、今年2月に撮影された同船の右舷船腹には、縦に亀裂が入っている痕がみられ、他の船員からも指摘されていたという。

 出航当日は波が荒く、漁船も帰港していたほどの悪条件だったが、ツアーを単独で強行していた。同社は他社に先駆け、この日がシーズン初日。昨年までコロナ禍で観光客が激減していたが、客足が回復し、書き入れ時となるゴールデンウイークに向け、いち早く弾みを付けたかったとみられる。

 定員65人の船は屋根で覆われた船内席の造りで「しぶきや雨に濡れたくない、でも間近で景色、野生動物が見たいというお客様にお薦め」とされ、多少の悪天候でも無理をして運航していた。そのため同業者からは〝潜水艦〟とも揶揄されていたという。


・知床観光船、解雇された元船長が衝撃暴露 「やっぱりやった」「今の社長は船のことも海のことも知らない・・」







 そのうえ小型船の強みを生かし、この時期は冬眠明けのヒグマをより近くでウオッチできるよう、岩場や滝に近づくことをウリにしており、暗礁で船体を破損した可能性がある。

 同社は2隻を保有しているが、船長の離職が相次ぎ、豊田徳幸船長(54)のワンオペ態勢だった。豊田船長は3週間前、自身のSNSに、北海道での仕事について「ブラック企業で右往左往です」とも記していた。

 救助態勢も遅れた。他の船も出航していれば、場所の特定も早かったが、単独での航行。海上保安庁の回転翼機が現場付近に到着したのは午後4時半と約3時間もたった後で、巡視船、航空機での捜索も見つからなかった。午後7時40分には航空自衛隊に災害派遣要請したが、時すでに遅し。深夜の捜索は難航し、行方不明者の発見は翌24日にずれ込んだ。

 金子氏は「海保、警察、当該行政機関の瞬発的行動が欠如していた。本来ならば巡視船が数艇、救助ヘリを数機飛ばすべきで、海保の警備態勢不足を露呈した。1日たって、10人を救助したが、遅すぎで、初動が早ければ、低体温症に陥らずに生存救助できたかもしれない。海保だけでなく、陸海空自衛隊、警察、消防機関の総合的連携体制の構築が必要です」と指摘している。






この事故は人災であると納得した。経営者はしっかり状況説明と謝罪、経営責任を果たしてほしい。
観光客は、経営者の裏事情まで調べない。安心安全なものだと信じて気軽に利用するケースが多い。
GW前の稼ぎ期に、同業者にとっては痛手だと思うが、大小に関わらず、遊覧船の安全対策をしっかり見直してほしい。


・会社は組織として動くが、組織のトップの意向は絶大だと実感しながら仕事をしてきました。
船長に出航の決定権があるのでしょうが、組織のトップからの意向があれば反論は難しいだろうと実感します。
安全重視で意見を言いやすい組織なら良いが、収益重視の高圧的態度のトップの下では出航中止の判断は非常に困難だったろうと推測出来ます。


・他船が出港しない条件なのに出港したあたり、何か事故の背景が
ありそうな感じでしたが…会社の圧力があったのでしょうか。
船の安全は船長が守り判断することではありますが、
運航会社の体質、法令遵守の姿勢の有無によって、雇われ船長の判断に
影響することはあるでしょう。


・船や海に無知な人間が旅客船の管理や出港の決定権を有するなんてことは本来あり得ないだろう
しかし、会社経営ではこういうことはけっこうある
例えば、昔GMで財務経験しかない人間が社長になった時に効率性を優先して自動車の品質が劣化したことがある
だが、それでも会社の各組織がバックアップすることが可能であれば大問題は起こらないことが多い
しかし、今回の事故ではそういった組織が存在しなかったが問題を顕在化させた
旅客船会社の社長は自分が人命に直結するような意思決定をしているとは大して思っていないし、かといって、船長は悪天候でも社長命令で本人の意思に反してでも出港しないといけない
そのような時に、旅客船組合のようなもの存在し、多数決で出港の可否を決定できるような強制力のあるシステムが存在すれば、荒波の中での単独での出港を防ぎ今回の事故も回避できたのではないか


・6年前に軽井沢スキーバス事故がありましたたが、通過してみると分かりますが、何故こんなところでという事故で、運転経験未熟な運転手を起用したバス会社によるものでした。今回も概要はまだよく分かりませんが、経営側の責任が強く問われそうな事故です。


・ウトロ港で知床半島の観光船を運営している会社は5社ほど。そのうち、網走と知床で流氷ツアーもしているオーロラ号以外の船の運航会社は、みな有限会社です。
もともと漁業であったのを観光業に転換した業者もあり、季節が限定されるので本当はその分ハイシーズンで高い料金取ってもいいと思うものの、インバウンド団体やネット旅行代理店販売では料金最優先となるので、薄利多売から抜けられず、利益も出ないまま、借入や収益により設備投資に回す資金的余裕もない。
最後は従業員給与、メンテナンスといったコスト部門が犠牲になり、最後は安全運航がおろそかになる。この実態は、地方の観光業共通に見られること。
インバウンドが復活する前に適正な価格帯に値上げして、そうして生まれた収益を経営者がきちんと次の投資に回せるようにする、それが当たり前にならないと、日本全体の観光業の発展はないと思います。


・この感じだと、会社と経営者の体質が最大の事故原因かな。しかも、天候や海の状況から出せないと判断するとなぜ出さないとかいうくらいだし、船長は経験不足で未熟だったようだし、これは起こるべくして起きた事故でしょうね。
それに、救援要請を出したのが出港から3時間後、予定通りならとっくに帰港している時間。なのに、まだ港から1時間くらいの滝のあたりというのも不可解。実際にはかなり早く浸水に気付いていたけど、自分たちで何とか対処しようとして連絡が遅れた可能性もありそう。携帯は圏外なので、乗客も外部との連絡が一切取れなかったわけです。
真相は乗客が持っていたスマホに記録されているはずですが、果たして・・。