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こしきバス



こしきバスのデータ




電気バス誕生の背景

全国に先駆けて導入された鹿児島県の薩摩川内(せんだい)市の電気バスが、先日引退した。電気バスは次世代バスのひとつとして注目されている。いったいどのような問題があったのか。

同バスの愛称は「こしきバス」。JR川内駅と川内港の間を1日4往復する予定で、2014年4月に導入された。車体は韓国ファイバーHFG製で、三菱重工業製の電池を搭載。1回の充電で通常は80km、冷暖房使用時は40km走ることができるとされた。総事業費は車両本体価格約8700万円のほか、設備費など合計約1億円だった。

車両の外装と内装の一部は、工業デザイナー・水戸岡鋭治氏が担当した。災害時の電源車としても利用できるとされ、実際に市の主催した総合防災訓練にも登場している。

全国に先駆けて電気バスが導入された背景には、市の街づくり方針があった。薩摩川内市は九州電力の川内原子力発電所と川内火力発電所が立地し、九州のエネルギー拠点として発展してきた。このうち川内火力発電所は2022年4月での廃止が予定されており、これに代わって、市では太陽光・風力による発電、蓄電器やエネルギーマネジメントシステムの導入を進めていた。

相次いだ故障

しかし、こしきバスは実用性に欠けていた。故障が相次ぎ、予定した稼働日のうち、運休が

「3割」

にも上った。その結果、運行は2019年3月に終了し(5年間)、非常用電源として保管されることになった。しかし、保管維持が年間約180万円もかかるため、ついに業者に引き渡され、非常用電源としても引退することになった。

エネルギー拠点として、電気自動車の普及を計ったはずが全く機能しなかった。ただ、これを失敗と捉えて本当によいのだろうか。

薩摩川内市と同時期に電気バスを導入したのが、福岡県の北九州市だ。同市では2014年3月、市営バス路線に電気バス2台を導入し、同市若松区のエコタウンセンター~JR戸畑駅間での運行を始めた。こちらも同じく、韓国ファイバーHFG製の車体に三菱重工業製の電池を搭載した。

市内の若松区響灘(ひびきなだ)地区に設置された太陽光パネルで発電された電池を使って動かす、全国初のバスであることが当時発表された。また、熊本県水俣市と並んで、公害を克服した環境モデル都市を志向する北九州市の先進的な取組として注目を集めた。

車体の信頼性を疑問視する人も

しかし、バスは2018年末で廃止になった。特に告知や報道されることなく、2019年7月に開催された「第1回 北九州市営バス事業あり方検討会議」の席上で

「民間会社が購入した電気バスを交通局に5年間貸与されたもので、平成30年度末で貸与期間が満了したこと、また車両が外国製であったことで、稼働率が極めて低かったこともあり、民間会社に返却を行っている」

と報告されるにとどまっている。こちらも薩摩川内市と同じく運休が相次ぎ、韓国ファイバーHFGの信頼性を疑問視する人もいるが、実体は明らかではない。

電気バスは開発途上であることから、これまでトラブルに対応するノウハウが蓄積されていなかった。需要もまだ限られるため、部品のコストも高くつき、CO2削減効果も疑問視されていた。



そもそも、電気バスは普及するのだろうか。調達を輸入に頼るのか、国内生産を強化するのか、選択肢は山積みだ。簡単に答えは出ない。ただ、導入は積極的に進めるべきだろう。失敗を恐れてはいけない。