wet今大会は、「繰り返しネタ」が多い印象を受けた。ネタ時間は、ファーストステージ、ファイナルステージ、ともに5分間。そのなかで同じような物事や動作を何度か繰り返しながら、しかし台詞や起きる出来事などの中身を変化させて笑わせるものだ。






・『キングオブコント2022』で浮上した「暗転問題」、その要因は「繰り返しネタ」の多さ?



ただこの暗転をめぐって、審査員と出演者の考え方が割れた一幕があった。

それはニッポンの社長のネタのときである。コントの内容は、博士がひとりの若者に「世界を救ってくれないか」と声をかけるが、「やっぱりエエわ」と断るというもの。そのやりとりを何度か繰り返すことで笑いをふくらませていった。そして博士が「やっぱりエエわ」と断ったあとに暗転させることで、「展開の切り替え」を表現していた。

ただ、審査員長の松本人志(ダウンタウン)は「暗転をたくさん使うコントは難しい。どのパターンでくるのか、先回りしてしまう。それを超えてこなかった」と語った。「暗転をたくさん使うコント」=「繰り返しネタ」は、展開を切り替えたあとの流れがある程度読めてしまうというのだ。すでに何度か見た場面が続くため、よほどの意表を突かないと苦しいということだろうか。また、暗転中に観る側の気持ちがリセットされたり、次の展開を考える余裕ができたりするからかもしれない。









審査員・山内健司(かまいたち)も、「暗転をはさむからショートコントっぽくなる。単発でくるなら、もっと爆発的にウケてかきまわしてほしかった」とコメントした。暗転と暗転のあいだの展開に物足りなさを感じたという。

それらを受けて、ニッポンの社長の辻は「暗転を使う良さもあると思うんです」と説明した。そこにコント師としての彼の矜持を感じとることができた。

さらにニッポンの社長の次に登場した最高の人間にも「暗転問題」が浮上。最高の人間は「繰り返しネタ」ではなかったが、回想シーンで暗転を多用。小峠英二は「猟奇的な展開がおもしろいけど、暗転の照明の使い方が連続して、いき切れなかった」と、暗転によっておもしろさが途切れ途切れになったと話した。